虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
央都
しばらくして、巨大な都へ辿り着く。
イメージ的には京都、和風な街並みが遠くから見える。
「あれが央の都……」
「そのまま呼んで央都、他の区画にある都も同様の読み方だぞ」
ウシトラ都って読みづらくない?
一番難解な区画のことを思い、ついそう感じてしまう。
「この牛車自体が証明となる。妾たちは関所もスルーだ」
「なんとも便利な乗り物ですね。式神? から呼びだすから偽装ができないと」
「魔道具による証明があるので、そこも簡単なのだ」
便利な技術だよなー、魔力。
指紋以上に偽装しづらいから、なかなか利用し甲斐があるのだ。
「──では、先に向かうぞ」
「……ゆっくりと、お願いしますね」
「うむ、相分かった」
街の中で勢いよく進む気は無いらしい。
ゆっくりのんびりと牛は動き、車輪を回して俺たちを運んでいくのだった。
「……お屋敷、って感じですね」
停車した場所にあった建物。
それを観た感想がこれである。
「建築方法は……古いですが、しっかりと整備が行き届いています。これも式神によって行われているのですか?」
「うむ。妾のような戦闘用の式神がいれば、そうではない別のことに特化した式神もおるぞ。そうした者たちがこの屋敷を磨き、今も維持されているのだ」
大名屋敷……と呼べるサイズの物はここに来る前に何度も見てきた。
しかしこの場所はそれ以上、過去の天皇が住んでいたと言えそうな大きさだ。
それを式神とはいえ人力で掃除か……機械に任せれば、どれだけコスパが良くなるんだろうか。
……金の匂いがプンプンするな。
「それにしても、式神ですか……。もしかして、私でも使える可能性が?」
「適正があるからのう。妾のような超優秀な者であれば、主のように優れた者でなければ契約を交わせぬ。だが、最下級の者であればあるいは……といったところか」
「本当ですか!?」
「嘘は言わん。詳細は主に聞くと良い。何度も妾には及ばぬとはいえ、それなりに強い式神たちと契約を交わした──」
「だーれーがー、一火以下の式神だと言ったのですか?」
俺たちの会話に入り込むように、一人の女性が現れる。
こちらはロリではなく中学生程の少女。
──ただ、額から角が生えている。
「げげっ! 『四瑠』!?」
「ハァ……。『生者』様、大変申し訳ありません。一火はそれなりに優秀な式神なのですが、少々抜けていまして……」
「いえいえ、害はありませんでしたよ。彼女のお蔭で、道中も楽しく来れましたしね」
逃げるために少し離れていたのだが、そこで胸を張り始めたロリを見ながらそう言っておく。
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