虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ドゥーハスト騒動 その05
「こちらが──封印の扉です」
「おお、これが……」
魔道具で照らされた先にあったのは、巨大な扉だった。
ジッと見てみれば、複雑な術式が施されているのがよく分かる。
「たしかに、街の術式と連動してエネルギーが供給されていますね。しかし少しずつ古びており……なるほど、そういうことですか」
「何か分かりましたか?」
これ……言っちゃっていいのかな?
てっきり貴族とのトラブルだと思ってたんだが──少し事情が違ってみたいだ。
「まずこの封印、姫様の血は関係なく解除できます」
「え……、どういうことですか?」
「それが必要だったから、姫様は狙われたんじゃねぇのかよ」
「血は必要です。ですが、そこにある封印とはまた用途が異なるのです」
「で、ではいったいどこで──」
自分の命がかかっているだけあり、真剣に訊ねてくる姫様。
うん、俺もここに来るまでは気づかなかったんだが……微かに反応があったから、ある程度予想はつく。
「──この先で眠る存在。それこそが、王族の血によって目覚めるのですよ」
死亡レーダーは反応しないんだが、これまでの勘がなんとなく訴えかけていた。
なのでこれまでに作ったアイテムを使い、調べてみれば……それが判明する。
「血によって再起動する傀儡、おそらくそれがこの先にあるものです。解明できていない部分がまだありますので断定はできれませんが、おそらく城にいる貴族の無意識に血を求めるよう訴えかけたのでしょうね」
「そんな、この城にそのような物が……」
「どうにかなんねぇのか?」
そりゃあそうだ、いつまでも置いておけばいずれ姫様が死ぬ。
騎士として、どうにかしたくなるだろう。
「時間が封印に綻びを与え、傀儡を待機状態にさせたのでしょう。おそらく貴族をどうにかしても、城に誰かが住まう限り姫様の血は狙われ続けます。一度傀儡の元へ向かって、止める必要があるかと……」
「──分かりました。では、そうしてもらえないでしょうか。お礼はいくらでもします、ですので傀儡を止めてもらえませんか?」
頭を下げてまでそれを願う姫様。
その様子を見たロイスもまた、共に頭を下げて俺に嘆願する。
「姫様を助けたい……頼む、力を貸してくれねぇか」
「……報酬は、高くつきますよ」
「人の命でなければなんでも用意することを誓います。傀儡は、そう簡単には止められないのでしょう?」
「そうですね、待機状態とはいえ稼働はしていますので……迎撃はしてくるかと。しかし報酬もありますし──お任せください」
傀儡……いや、機械ならどうにかなるだろうし。
持っているアイテムでどうこうなればそれでよし、駄目でも洗脳を防いだ上で再封印することは可能だ。
さて、チャレンジしてみますか。
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