虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

科学道具



 次にやってきたのは、『錬金王』たちが住む屋敷である。
 こちらでも、なぜか熱烈な歓迎を受けた。

「……まあ、別にいいですけど。では、錬金に関する道具を全てお貸しください」

「こちらでやっても構わないのだぞ?」

「残念ながら、今回使用するのは私自身で創り上げた物しか意味を成さないらしく……そうでないなら、話は別だったのですけど」

「まあまあ、師匠様も『生者』さんも。まずはそちらへ向かいましょうよ」

「む、それもそうか。では『生者』、そちらに移動しようか」

 前回は自分の足で移動していたが、今回は『錬金王』が用意した転送陣によるワープで目的の部屋へ移動する。

「一度来ていますが、やはり設備が充実してますね」

「師匠様の工房ですから!」

「なんてことはない、古今東西ありとあらゆる知識を集めただけだ」

 ……まあ、その時点で凄いんだがな。

 ポーションを大量に製造できる大釜や、水晶でできた球体のフラスコ。
 他には土製の坩堝、それにかなり現代科学で使うような道具が見受けられる。

「あの、こちらの道具は?」

「錬金とは少し違うが、『超越者』の中に変な知識を集める者がいてな。ソイツの資料を基に作ってみた物だ。魔力を使わずに事象を変化させると聞いたのだが……『生者』、これの詳細な使い方が分かるのか?」

「少し、調べても良いですか?」

 許可を得ると、すぐさま科学関係のアイテムを『SEBAS』に調べさせる。

 プレイヤーが地球から技術を持ち込むことも予想済み、といったところだろうか。
 過去の日本において、突然西洋文化を押し付けられて反発に遭うということもあった。

 ──そのようなことに陥らないよう、最初から地球の知識を与えたのか?

「……これを知っていた方は?」

「『学者』。とある国で学園をやっている、小難しい奴だ」

「もう、師匠様。『生者』さんに変な印象を持たせちゃ駄目ですよ。『生者』さん、『学者』さんには師匠様を治すために巡っている最中で会ったんですけど、尋ねたことには答えてくれる優しい人でしたよ」

「ふん、尋ねられたことにしか答えられない『後の先』のような奴ではないか」

「師匠様!」

 劣化版『SEBAS』というところか。
『学者』とやらと異なり、『SEBAS』なら──もしかして○○? というサービスまでやってくれるからな。

 まあ、仕入れている情報が違うだろうし、一度会ってみたくはなるが。

 それから、ポーションの錬成を何度か試してみた。
 あえて:DIY:は使わず、完全な俺の技術のみで挑戦を行ったのだが……まあ、かなり問題点を指摘してもらったよ。


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