虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
該当超越者
アイプスル
要するに、今回は特別なエリアに行く必要がないというわけだ。
期間内のデータを運営側が纏め、対象となるデータの中で優れた物を有している者が選ばれるイベント。
「攻撃力なら核兵器、防御力なら結界。魔法ならどうしようもない、クエストクリア数も無理。生産は……反則ギリギリだが、それが合法ならトップだ」
核兵器は知らぬ間に置かれていた。
いかにも『押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ』というガラスケースの中に起動用のボタンが入っていて、正直呆れた。
……そのときの俺は、どういった心情でそれを造り上げたんだろうか。
「なあ『SEBAS』、何か情報は入っていないか?」
《プレイヤーの皆様が予想スレを立てていますが、まだ明らかとされていません。公式サイトには、複数の部門があるとしか……》
「戦闘職と生産職で二つ、それに近接職と遠距離職でも分かれるかな? あと、与えたダメージなのか討伐数なのか……ここでも違いが出るよな」
一定以上の強さを誇る魔物を対象、そんな風に絞れば測定もしやすいだろう。
というか、E1に現れるような魔物相手にオーバーキルの練習……なんてものをイメージすると、例えソイツが超強力な一撃を放とうと冷めてしまう。
「『超越者』の中だと……このイベント、あくまでプレイヤーだけだよな? 『超越者』のメモを見てみたら、かなり該当しそうな奴の名前が書かれているんだけど」
《プレイヤーだけ、その部分に間違いありません》
攻撃力の高さなら『一撃』、討伐した数なら『殲滅』……。
バリエーション豊かな『超越者』は、個々がなんらかの能力が人の域を超えた者たち。
何か一つの高みを比べるこのイベントは、彼らにとって最高に適した祭りである。
「ならいいんだが……『騎士王』とか、そういう暇な奴が混じると、イベントも大変なことになりそうだと思ってな」
《『騎士王』が参加しますと……戦闘関連のすべてが、『騎士王』に取られます》
「だよな……。攻撃も魔法も優れた、まさに戦闘のオールラウンダーだし」
剣も魔法も、槍も弓も扱える。
あらゆる距離で戦闘が行うことができる、本当にうらやましい存在だ。
ここで普通の奴は器用貧乏、とか中途半端な状態になるはずなのに、『騎士王』はそういったこともなく全てが一流の枠を超えているからなお凄い。
……なのにどうして、一部が抜けているんだと思うことがあるけどな。
「ま、とにかくランキングに該当しそうな行動、それを試してみるか」
《では、こちらは捜査に励みましょう》
そして俺は、冒険世界に向かった。
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