虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ボス戦の仕組み
S11W6
「やれやれ、こんな形で足止めをくらうとはな。というより、これまでの部分が解放されていたことに今さらビックリしたよ」
《エリアのすべてに設置されているわけではなく、抑える必要がある部分に設置されています。仮定ですが、脈が関係あるかと……》
「制御できなかった部分をプレイヤーたちにやらせるってわけか。進みたければ、代わりに浄化しとけってか? まあ、ギブ&テイクができたいい方法だな」
星脈か龍脈かは知らないが、澱んだ物が溜まるとそこから魔物が現れる。
この世界では発生した淀みを至る所で封印しており、プレイヤーがそれに触れることで解放される。
プレイヤーがそれを倒せば淀みを封じていた結界が解除されるため、さらに奥のエリアに進むことができる。
……まあ、回り道をすればいちおう進むことはできるようだし、住民たちも困るには困るが絶対に不味いというわけではない。
「そしてそれが、次の区画に在りました。やれやれ……プレイヤーよ、早く解放してくれることを待っている」
《魔王のセリフでしょうか》
ボートで移動していた俺たちは、海中で揺らめく一つの術式を発見する。
正方形のキューブのような物に封じ込められた淀みは、海中の中でも一際自身を主張していた。
「淀みを開けばそれは溢れ、いつしかよからぬ形で災を齎す。パンドラの箱を開けた時、何が起きたかを想像すれば分かることなんだし……触らぬ神に祟りなし。勝手にやってくれるのを待とうか」
《はい、そうするのが最適かと》
ああした場所も、好奇心旺盛なプレイヤーならばいつか辿り着く。
誰よりも早く新天地に向かいたい。
いつの世もそうした者がいたからこそ、改革や改心が行われていたのだから。
なら、そのときを待てばいい。
死んで死んで死に続け、一ダメージずつチマチマと与えることしかできない俺よりもそれの方が話が早い。
……ま、要は面倒だからだな。
◆ □ ◆ □ ◆
「かと言って、なら次に何をするかだな。本当に『超越者』に会ってみるか?」
「──そうか、ついに決断したか!」
「うぉっ! 早いな、『騎士王』」
街で悩んでいると、どこからともなく逃亡者である『騎士王』が現れた。
「細かいことは気にするな。それよりも、ようやく諦めたか」
「違う違う、そうじゃない。全員にいっせいに会う気はない。お前や『闘仙』さんみたいに、一人一人会っていこうと思う」
「む? まあ、『生者』がそれを望むのならば、それでも構わないが……監禁されるぞ」
「監禁!?」
「そういう奴もいるのだ」
……ま、まあ、俺にはエスケープの極みとも言える死に戻りがあるし、非常時にはどうとでもなる。
「とりあえず、分かる限りで座標を教えてくれ。いつか行ってみることにする」
「そうか。では言おうか」
そして俺は、『超越者』たちが住む場所を知ることになる……これって、ある意味ラスボスの場所を知るのと同意だった。
それに気づくのは、称号を調べるはるか先のことだ。
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