虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
教会情報
「仙人の街……アナタも冒険してるわね」
「瑠璃ほどじゃないさ。何がどうなったら迷えるアンデッドたちを導く、なんてイベントに遭遇するんだよ」
夜。子供たちが寝ていることを確認して、俺と瑠璃は一緒に話をしていた。
キャンドルライトの灯りだけを灯し、幻想的な光の中で語り合う……こういうの、俺たちは好きなんだよ。
「ふふっ、偶然よ。ちょうど歩いていたら、そこで言葉が話せるアンデッドの子供に会ったのよ」
「その時点で結構ツッコめるけどな」
さすがに冥界に行ったわけではなさそうだが、墓地で成仏できずにいたアンデッドたちに浄化魔法とやらを使ったらしい。
そのお礼として置かれていたのは、浄化が成功しやすくなる宝珠だったそうだ。
ちょうどその際一緒に居た騎士によると、その宝珠は世界に数種類ある超絶レアアイテムだったそうだ……。
そこで、俺は話を止めさせた。
「ちょっと待て、騎士ってなんだ?」
「あら、騎士さんは騎士さんよ」
「……そうだ瑠璃、そろそろゲーム内も再会しないか? そっちの人たちに、いろいろと挨拶したいしさ」
とりあえず、男どもにはとっておきのアイテムをプレゼントしようか。
呪いの剣に呪いの盾、呪いの鎧に呪いの指輪……エトセトラエトセトラ。
だが、その思考は一瞬で破壊される。
「ごめんなさい、男子禁制なのよ」
「そんなに騎士が……え? それじゃあ、その騎士は……」
「くっころさんに決まってるじゃない。わざわざ男の騎士にする必要はないですよ」
「あ、あはは。そ、そうだよな! そりゃそうだよな!」
「ふふっ。子供たちが起きちゃいますよ」
おっといけない、静かにしないとな。
お口にチャックで静寂を作り、しばらくしてから話を再開する。
「しかし、実際会えないもんだよな。会おうとすると、片方が遠くに移動しているって、どんだけ運が悪いんだろうか」
「翔と舞はとっくに会っているけど……他の組み合わせはまだですね」
「そういえば、最初に会ってたな。イベントで会うことはなかったのか?」
「全員別サーバーよ。運営に目でつけられてるのかしら?」
ここでなぜか、死神様や俺の作った神像っぽい子供がサムシングしているイメージが頭の中を過ぎる。
……神様と運営、普通は運営の方が上位の存在なんだけど。
なんでだろう、神様の悪戯的なものが感じられる気がする。
「まあ、絶対に会えないなんてことはないだろうし、その内会えるか。瑠璃のやってる教会の前でスタンバイしてようか」
「止めた方がいいわ。うちのくっころさんは凄いわよ」
「何が!?」
くっころさんへの謎が深まる中、今日の情報交換はこれで終了となった。
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