虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
称号について
そして、【仙王】に関するイベントが終了した。
一旦ログアウトした俺は、身支度をして出勤することになる。
「――は? 13区画!?」
拓真は公共の場だと言うのに、突然大声を上げる。
周りに迷惑そうな表情で睨まれると、慌てて周囲に頭を下げて謝罪を行う。
「やれやれ、発狂するなんて……これは、もう拓真が歳だと示しているのかもな」
「いやいやいや、これは間違いなくお前が悪い! なんだよ、13区画先に居るって」
「ハァ……、そのままの意味じゃないか」
ちなみにだが、家族のみんなは普通に受け止めていた――だって、俺以上に攻略を進めていたから。
簡単に言えば、「ふっ、ついに来たか」という悪役みたいな感想を頂いた。
「回復職の瑠璃だって15区画まで行っているって話だろ? そんなに凄くないだろう」
「いや、確かに廃人や一部の凄い奴らはお前以上に進んでいるんだけど……」
「ん? どうかしたんだ?」
「お前のイベント発生率はおかしい。初期地点から13区画に飛ばされるなんて、今まで聞いたことねぇよ」
「……あー」
通常のRPGでそんな事態に陥れば、間違いなくバグであろう。
俺にとっては全ての魔物が等しく強敵であるが、普通のプレイヤーなら突然難易度が上がったとき、色んな意味で悲鳴を上げたくなるところだよな。
「それより、称号と職業の違いが気になってさ。教えてくれないか?」
「効果付きのレア称号まであるのかよ。ちなみに、職業はなんだ?」
「バグがあるから分からないって、前に言わなかったか? レベルも上がらないから他の職業にも転職できない……まさに永久定職な状態さ」
「いや、笑えないからな。永久就職と絡めてもネタにならねぇよ」
少し揉めたが、結局拓真は情報を開示してくれる。
コイツ、情報屋でもやっているのか?
「称号はあれだ、ソイツのやったことを形に残している。魔物を殺せば『○○キラー』、ダンジョンに行けば『迷宮探索者』、戦士職に就けば『見習い戦士』とかな」
「就いたら称号が貰える? 実績が反映されるってことか」
「ただし、一部の称号以外は装備しないと効果が発動しない。強制的に装備される、犯罪者系の称号もあるけどな。――お前は、どんな称号を設定しているって訊きたいところだけど……どうせその顔じゃ、何もセットしていないと分かるな」
そんな設定あったんだ。
俺の場合、『生者』があったからな。
強制セットにプラスして、生と死に関する称号全てを制御して使えるという効果があるだのと、言われた記憶があるような無いような気がするし。
ん? それなら今までに使ってきた称号も強制設定だったのか?
ほとんど使われない『○○無双』シリーズも、スキルの常時発動が効果内容だし。
さて、次は職業の説明を聴こうか。
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