虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神様談
ツクルの向かった冥界、そことは少し異なる昏い場所。
そこで二人の存在が、会話を行っている。
片方は老人、巨大な鎌を背負っていた。
片方は子供、腰に生産道具を携えていた。
「……アヤツを利用したのか?」
「ノンノン、ちょっとした御節介さ。これで僕も、新しい体をゲットだね」
「天啓の仕方が雑過ぎる。あれでは■■■の規定に反するぞ」
「それならこの体にはなれないさ。それに、ツクル君にはアレがあるんだから何も問題はないよ」
子供はそういうと、ニカッと笑う。
無邪気な笑顔を老人に向けると、老人は頭に手を乗せてため息を吐く。
「そんな小さな話はどうでもいいじゃん! それより見てよこの体! 神像が完璧な出来だったから、僕とのシンクロ率も相当な物になったんだよ!」
「お前の像に使われた材料が問題だ。あれの鉱脈など既に存在しないだろう」
「うーん……普通は精製する必要があるからね。ツクル君以外の人だと、プレイヤーでも不可能なんじゃないかな?」
「お前の加護があれば可能だろう」
「さあ、僕も加護を本気で渡したことがないから分からないよ」
彼らは『神』と呼ばれる存在。
姿形など必要とせず、時代によってその有り様が変わる一種の概念。
二柱は、そのような存在であった。
「――もういい。それより、あの場所に関する情報はどうなった」
「ん? ああ、◆◆◆◆が資料を纏めてあるよ。持ってきて!」
子供――創造神の呼びかけに応じ、七色の髪を持った女性が老人――死神にあえて紙で纏めた資料を提出する。
「……なぜ、紙なのだ。■■で行っても構わないだろう」
「それはもちろん――神だから!」
「「…………」」
その瞬間、周囲に冷たい風が吹いた。
話はいったん中断され、再開されるのにしばらくの時間を要した。
「ツクル君の行ったダンジョンに問題はないよ。成長すると、勝手に制限が緩和されていく設定だったみたい」
「あれのお蔭で、少々力を使ったからな。仕組まれた出会いであったならば、一度話し合う必要があった」
「【救星者】はまだ完全に目覚めるには程遠いみたいだからね。そっちで少しずつ開いてくれると助かるよ」
「……いや、どうやらあれで限界だったようだ。あのときにそれを実感した」
「え゛? き、君でもかい?」
「嘘は言わん。あれ以上開くならば、全盛期のお前以上の力が必要だ」
「ふ、ふーん。そ、それってもしかして、アイツらに頼まないと駄目ってこと?」
「当然だ。【勇者】や【英雄】、【聖女】や【魔王】と異なり、【救星者】は世界そのものを変革するのだからな。必要とする力が一線を超えた代物だ」
「そそっ、そんなことないんじゃないかな」
明らかに狼狽した創造神を、◆◆◆◆と死神は黙って見守った。
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