虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神像 前篇
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クエスト:『神像の作成:???』
イメージは任せるから、直しておいて
基本報酬:???
このクエストは強制受注となります
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祈りのために目を瞑っていた俺が、再び刮目してみると――依頼が表示されていた。
この適当な依頼内容……どこかで見たことがあると思うんだよな。
「どうですか? 何か変化は」
「……えっと、分かってましたか?」
「はい、天啓ではなく勘ですがね」
どうやら神父さん、この展開になることを知っていたみたいだ。
そんな回りくどいことするなよ、言われれば普通にやっていたよ、とも思うがとりあえず我慢だ。
「これから神像の修復を行わさせてもらいます、よろしいですか?」
「当然です。こちらも既に、道具の方は揃えてあります。ただ、材料となる素材の回収の方をお任せしたいのですが……」
「いえ、大丈夫です。ですが、少々特別な方法で修復を行いたいので、神父さんには一度出てもらいたいですね」
「そういうことでしたら」
神父さんは道具をこの場に残し、再び子供たちの元へと向かった。
本当、現代の親よりも親らしい人だよ。
俺もあんな風に、子供から慕われる父親であり続けた……いって、今もそうだよな?
「それじゃあ早速――:DIY:開始!」
《:DIY:が起動されました
使用者“ツクル”の指定能力値の概念崩壊……成功しました
アイテムの作成成功後、または条件無視によって解除されます》
いつもの連絡と共に、俺の虚弱ステータスは最強ステータスへと塗り替えられていく。
特に見た目に変化は無いのだが、体の中から熱いナニカを感じられる。
「まずは材料の用意からかな……」
神父さんは、材料が取れる場所や買えるまで教えてくれた。
時間をくれれば自分が取ってくるとも言っていたが、忙しい人に重ねて仕事を与えるのは嫌だったのでやんわりと断った。
それに、一瞬で用意できるからな。
ポケットの中から取り出した装置を取り出すと――
「ペタッと触れまして、解析っと」
そのまま神像に張り付ける。
これはアイテムの材質を調べ、その情報を別の場所に送るための魔道具兼機械である。
《解析完了。素材の情報を報告します――》
『SEBAS』はそれを即座に纏め、簡潔に俺へと報告する。
一見、ただの石像のようにも見えた神像だが、やはりファンタジーというか……解析不可能な神の力とやらが籠められた一品だということが判明した。
たぶん、俺が直すとそれが再び石像内に循環して神像として使えるのだろう。
「……よし、多分イケそうだな。というか、それだけならトライ&エラーを重ねればいずれできるか」
神父さんには悪いが、自前の工具を使わせてもらおうか。
俺が取り出したのは――。
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