虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

堕ち続ける穴



 そして、プレイヤーの間で噂が広がる。
 俺はそれを気まずい顔で聞き続け、いくつかの情報を手に入れる。
 曰く――

 突然草原に穴が現れ、抵抗できずに落ちてしまうと。
 どれだけスキルや魔法で抵抗しようとも、吸い込まれるように穴に向かってしまうと。
 穴の底には人影があるが、光で照らそうとしても火を灯そうとしても何故か付かず、そのまま死に戻りしてしまうと。

 ……嗚呼、またこのパターンなのか。

「どいつもこいつも面倒なことばっかりするよな――何、『超越者』って実は暇なの?」

 もしかしたら、違うのかもしれない。
 今まで落ちた全てのプレイヤーが人影の求めるような人材ではなく、今でもその人材を探しているだけなのかも……無理だな。 
 ショウたちが穴に行ったという話は聞いていないものの、噂によるとかなり有名なプレイヤーが言っても駄目だという話があった。

 大体、どうして草原に穴が開いたんだ?
 初心者を求めていたから……ということでもないだろうし、強い奴を探しているならより遠いエリアでも構わないだろう。

 人影の住まいがあの場所の下に在るから?
 死亡レーダーによるとあそこには人影しかおらす、それ以外の者が隠れているということも無かった。
 多分人影は使いで、下にあった魔方陣でそのまま移動でもするんじゃないか?

「死に戻り以外に特に影響は無いらしいしからな~、別に俺は何もしなくていいと思うんだが……どうだ?」

《邂逅時に解析が済んでいれば良かったのですが……申し訳ありません》

「あれは不意打ちだったからな。穴を開ける行為自体に死を感じることはできなかったんだ。しょうがないさ」

 そう、しょうがないのだ。
 だからこそ、次は無いようにする。

《ダンジョン専用の機能をいくつか応用できれば、恐らく緊急時にも対応可能です。旦那様、よろしいでしょうか》

「構わない。ただ、誰かを実験に使うなら先に俺を呼んでくれ。死亡レーダーが役に立つかどうかを調べたい」

《畏まりました、そのように》

 鞘型の結界によって防御の方はバッチリだし、攻撃は狂気に満ちたアイテムを使えばどうとでもなる。

 今必要なのは察知系なのだろう。
 死亡レーダーを持ってはいるが、あれは直接的に俺が死ぬ状況でなければ使えない。
 嵌め技などで封殺される場合、俺は何も気付かぬまま死んでしまうのだ。

「さて、とりあえずは作業で籠もるわけなんだが……あれ、大丈夫だろか?」

 結局何もしないで放置する穴事件。
 誰かが解決してくれるはず……だよね?


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