虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
貢献イベント その19
ダーンという音が森中に響き渡る。
発生源は俺の隣、銃を構えたスリュからであった。
俺が渡したのはスナイパーライフル。
魔法という技術が存在し、エルフという遠距離攻撃に優れた者が使用すれば――三キロぐらいまでなら正確に射抜けていた。
うん、俺には無理だぞ。
「……持ち主よりも使いこなしますね」
「お前が居る間だけ、その約束がとても残念に思える程だ。ずっと、この場所に住まないか? 里のみんなも大歓迎だぞ」
「銃の持ち主兼経験値としてですけどね」
うん、俺という存在自体は別に特段、必要というわけでもないだろう。
え? 頼み事をされていた?
あれだって、ここからちょっと離れた所にあるドワーフの里に行けば、すぐに直してもらえるよ。
このイベントエリア、結構多種多様な種族が居るらしいんだよ。
他のプレイヤーがそれを見つけているかはさておき、少なくとも俺の行ったことのある範囲で、そういう話はあんまり聞かないな。
ま、他人のことはさておき、今は魔物狩りの方に集中しようか。
「ここから二キロ先、ブラインドモンキーが隠れています。群れですよ」
「分かった……なら、拡散を使う」
そう言うと、肩の前面に銃の後ろの部分を押し当てて、獲物を狙う。
そして、数十秒も経たないうちにダダーンという音が鳴り響く。
「――確認してくれ」
「はい。……レーダーに反応なし。全滅していますね」
「……やはり恐ろしい道具だ」
銃を仕舞い、そう呟くスリュ。
まあ、本当はメンテナンスやら銃弾の補充やら色々とやらなきゃ駄目だからな。
そんな長距離を撃つのだって、かなりの反動があるはずなんだし。
魔法による補助があることで、反動・火薬無し、銃弾補充要らずのチート銃に昇華しているのだ。
俺はそれを:DIY:の補正があってどうにか作れたわけだが、いつかプレイヤーの誰かがそれを作れるようになった時、世界は一体どうなるんだろうな。
少量の魔力さえ持っていれば、この銃は使える。
この世界の人間は魔力量が他種族より少なくて困っているそうだが……これを手に入れたら、きっと好からぬことを考える奴が生まれるだろうな。
「……後のことはその内考えるか。それより今は、今を過ごさなきゃ」
「急にどうした」
『キィエ?』
「いや、何でもないです。それよりこの先、やはり嫌な予感がしてきました。慎重に進んで調査しましょう」
「……分かった」
『キィエ』
気配を隠しつつ、慎重に目的の場所へ移動していった。
「これは……本当に危険でしたね」
「……すぐに知らせなくては。フリュ、頼めるか?」
『(コクリ)』
俺たちが森の奥で見つけたモノ。
それは――大量の魔物たちであった。
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