虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
貢献イベント その09
「…………うん、無いな」
ポイントを探した俺、そして手に入れたポイントを確認できたのだが――そこには、0以外の数字は記されていなかった。
「うーん、何故だ? イピリアはイベントとは別の精霊だったのか? それとも、プレイヤーが瘴気を相手にすることを想定していなかった? 扉に封印はあったけど、アレはそろそろ壊れるはずだった。なら、イベントに乱入して来る予定だと思ったんだけど……どういうことだ?」
思考を口に出して考えていく。
いや、なんだか俺のやったことが全て無意味にされるってのも、ちょっと癪に障るってことなんだよ。
クレームを付ける気はないが、せめて1ポイントぐらい欲しかったなー。
「……もしかして、倒さないとポイントって貰えないのか? それか、俺のやってことだとポイントが入らないだけ? ……確かに、某狩猟ゲームでも討伐か捕縛をしないと依頼は達成にならないしなー。だからと言って、今さらイピリアの討伐か捕縛? 無いな、全然する気にならないな。トライ&エラーを繰り返せばいずれ可能だが……折角何かを決めようとしているのに、そんな無粋なことはしたくないしな。あそこにはプレイヤーが入れないようにしたし、多分大丈夫か」
封印は解除されたが、外側から侵入できないような結界を張っておいた。
イピリアが外に出たいのならばすぐに出れるが、そうでないならば充分な休息を得ることができるだろう。
イピリアが何を考えて何を求めるか、一体頭の中でどう纏まったかは分からないが、それでも決まる前に殺されるってのも……少し味気ないしな。
「ま、早くプレイヤーたちに合流するのが先決なのか? ――『光学迷彩』起動」
この先で、魔物を討伐していると思われるプレイヤーの反応がある。
念の為姿を隠してから、村の方へと移動を始めていく。
◆ □ ◆ □ ◆
村に辿り着いた俺は、情報を集めた。
偵察用の超小型ドローンを周囲にばら撒いたので、俺はどこかでのんびりと座っているだけで情報が手に入るって寸法だ。
「……ふむふむ。サーバーがあって、プレイヤーは色んな場所に送られてるのか。道理で誰にも会わないわけだ」
普段は巨大なサーバーを一つしか使っていないこのゲームは、どうやらイベント時のみ複数のサーバーを使うみたいだ。
それ故に、有名なプレイヤーでもあるルリやショウ、それにマイが居るという情報が俺の元へ来ないのだろう……別サーバーでの武勇伝は来るんだけどな。
「えっと、ならイピリアは別のサーバーにも居るのか? それとも、このサーバーにしかいないのか? ……うーん、同じ存在がいっぱい居るってのも不思議な気分だな」
もう少し、情報を集めていこうか。
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