虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
イベント参加
「イベント? 俺も参加できるのか?」
「いや、今までお前が出ていなかったことにビックリするわ」
「俺も色々とあったんだよ……狙われたり、追われたり、誘拐されたり……色々な」
その結果、一度もイベントに参加していない俺を笑えよ。
どんなイベントでも大活躍な家族と違い、そもそも参加すらできてないんだぞ?
俺にどうしろって言うんだ。
拓真も俺の深いため息を見て、そこには何も触れずに会話を続ける。
「安心しろ、今回のイベントは多分お前でも楽しめるさ。なんせ、どんな奴にも活躍の時があるって公式サイトがご公認だからな」
「へぇ~、そりゃあ大胆な発言なこって」
「前のイベントは……もう、弱者は不要と言わんばかりの内容だったからな。初心者そっちのけで強者たちが荒れ狂う戦乱の世だ」
「……だけど、うちの家族は全員満足したと言っていたんだが……」
「そりゃあ覇者だしな、戦乱の世を平定した真の強者の一角だ。今回のイベントが同じ内容だろうと、誰も逆らえないだろうさ」
遠い目で、そう語る拓真。
いや、本当に何があったんだよ。
「そ、そうか。それより今は、今回のイベントについて話してたんだろう?」
「……お、おう、そうだったな。悪い悪い、あのときのことが色々とフラッシュバックされてた。――今回のイベントは、簡単に言えば星ごとに分かれたチーム戦だ」
「チーム戦?」
「アドベンチャーワールドみたいな星、いっぱいあっただろ? マジックワールドとかプロダクションワールドとかさ。そこのチームごとにイベント中にポイントを稼いで、何処が一番ポイントを手に入れられたか、それを競うんだ」
「それ、アドベンチャーワールドの奴が圧倒的に有利だろ?」
一番デカいサーバー、それが俺が冒険の場として赴いているアドベンチャーワールドである。
逆にアイプスルは、極小だろうな。
「ああ、チームの人数にさすがに平等性が無いことは分かっているさ。だから、星ごとに呼びかけをしているだろ。うちのチームなら報酬にこれをプラスする、とかそんな感じでさ。お前、見てないのか?」
「そうだな、全く気付かなかった」
「冒険者ギルドで、よく宣伝していたんだけどな……」
それなら分からないか。
俺の活動範囲は、死に戻りの地点から東に行く辺りしかないからな。
北にある冒険者ギルドには、中々行くことがないんだよ。
「人数に差があれば、人数の少ないチームの手に入れられるポイントに補正が入るし、多分大丈夫だろうさ。それより、お前はどこのチームで参加するんだ? やっぱりアドベンチャーワールドか?」
「うーん、そうだなー。一番面白い選択ってのが、良いな」
そして、俺は――。
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