虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
指定依頼
再び噂を聞いた。
E3に突然爆音が鳴り響き、大量の魔物が気絶状態で散らばっていたらしい。
プレイヤーたちはそれを回収して利益を得たが、その所為で一部の魔物の価値が落ちてしまいパニックになったとのことだ。
……耳の良い魔物もいるんだな。
しかし、問題はその後だ――
プレイヤーがそうして素材集めを行っていると、空から女の子……じゃなくて、巨大な怪鳥が現れたらしい。
言葉を解する魔物だそうで、音の発生源を探していたそうだ。
(やっべーよ、やっぱり(死亡)フラグが立ってるじゃねぇか)
発生源は俺(の装置)、つまり狙われているのは俺なのだ。
噂によるとその怪鳥は血走った目でそれを訊き、しかも話し終わったら即殺してきたらしい。
うん、前回の臭いとのダブルパンチでキレたんだろう。
俺だったら絶対キレる。
不快な臭いを嗅がされ、しかも大きな音を鳴らされたのなら。
怪鳥には悪いことをしたが、俺もできるだけ死なないように頑張ろうとしているのだ。
死んでいる現状とは矛盾しているが、いつかは一度も死なない一日を過ごしてみたい。
◆ □ ◆ □ ◆
まあ、そんな希望はいつも折られ、些細なことで死に続けている俺なのだが――
「え? 指定依頼ですか? OO系のヤツはお断りって言いましたよね」
「ご安心ください、それは全てこちら側で対処しております。しかし、ツクル様でも逃れられなくなるのも時間の問題かと……」
や、止めてくれよ。
ただでさえLUCが低いせいか、ハプニングに襲われやすいんだからよ。
「さて、指定依頼の方ですが――こちらとなります」
そういって受付嬢は、一枚の紙を差し出してくる。
えっと、何々――
===============================
指定依頼:ツクル
ライフポーションを一ダース頼みたい
値段交渉は直接行ってほしい
場所はこの場所、このギルドで
依頼主:秘匿
===============================
「……物凄く怪しい依頼なんですけど、これでそもそも依頼として受理されたので?」
「ええ、とある地位の方でして。ギルド長の知己の方でもありますのでご安心を」
「そうなんですか。……で、この依頼を仮に今受けることを了承したとして、会うのは今すぐになるのですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。ツクル様にとって相応しいポーションが完成するまでの時間として、一週間空けてからの交渉となります」
「……分かりました、お受けします」
「では、先方にもそう連絡しておきますね」
ギルドカードにハンコを押され、依頼を受けたことがそこに記される。
……このタイミングで依頼主が不明な指定依頼? 何が起こるかぐらい、さすがに理解できてしまう。
だが、逃げていても仕方がない。
交渉で済むのならば、そうしてもらおう。
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