虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

星再生プロジェクト 後篇



「それで父さん、結局どうなったの?」

「ん? 満タンにしてから、色々と星を弄ってみた。SPを使うと星を操作できるんだ」

「ねえ、何をしたらそんなことをやるゲームになるの? もうそれってさ、46アースだよね?」

「あんなに手間暇が掛かったリアル開拓を、そんなバグだらけのゲームと同じにしないでほしいな。というか、舞。どうしてそんなに古いゲームのことを……あ、家にあったか」

「やっぱり、アナタは変なことをやっているのね」

「(いや、絶対にお前たちの方が楽しくて面白いイベントを発生させているからな!)」

 これは、しばらく星の開拓を行った後の話し合いである。
 あれから実験として、火山を復活させてみたのだが……非常に消費SPが高い!

 前段階として地球と構造を似たような感じにするだけで、もうSPが枯渇したんだぞ!
 お蔭様で、マグマを山に引き込む作業は全部手動でやる羽目になった。
 どこの世界に、火山へマグマを誘導する奴なんているんだよ。

 SPを消費しての世界の設定変更をした場合は、その環境をSPがある限り保ってくれるというサービスが付いているのだが、手動で創り上げた物に関しては、自分でなんとかするかSPを消費して保護してもらうしかなかった。
 何をするにもSPが必要となり、最低限の開拓が終わるまでに……有休が終わっちまったよ!


 一息吐いてから、今度は俺が質問をする。

「翔、前に剣がどうこうと言っていたが……父さんの剣より凄いのはあったか?」

「ううん、無かったよ。一度王国の剣とか呼ばれている剣士と闘ってみたけど、ソイツが持っていた宝剣にも打ち合えていたし……さすが父さんだね」

「…………そうか、さすが翔だ。
 舞、鞭の方は使えているか? 色々とモードチェンジを付けたが」

「お父さんの作ってくれた鞭、あのダメージが全く無い鞭が一番役に立っているよ。お蔭で聖獣を捕まえたの」

「(あれって、確かその分痛覚に強い衝撃が行くヤツだった気がするんだが……)うん、凄いな舞は。
 瑠璃には儀式用の短剣だったよな。それは役に立っているか?」

「ええ。あれのお蔭で、死の病で死にそうになっていたご老人を助けられたの。あ、その功績で位階が助祭にまで上がったのよ」

「……瑠璃、その助けた人ってのは?」

「確か……枢機卿と言っていたかしら?」

 なあ、ここまでの俺の家族の話を聞いても俺は間違っていると思うか?
 絶対に、俺よりみんなの方が奇想天外なイベントを行い続けてるだろ!

 俺なんて、俺なんてただ一人寂しくVR版の星造りゲームだぞ?
 そんなのわざわざ、MMOでやらなくてもできるじゃないか!

 ……決めた、俺はあの星を出る!
 なんとしても別の星に行く装置を造ってやるからな!!
 絶対にみんなと同じくらい楽しんでやる!

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