虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

星再生プロジェクト 前篇



 S7 ???

 星脈は、海の底に眠っていた。
 これなら、先に活性化させた方が良かったのかな? と思っていたのだが、ある程度地脈や龍脈が活性化しないと出現しない仕組みだったのか、ある日突然この場所が現れたらしい。

「なんか、雨を降らす伝説のホ°ケモンみたいだよな。色々と都合が良過ぎるし」

 そう、殿堂入りという条件を満たして出現した『海の洞窟』のようなものだよな。
 優れた執事AI『SEBAS』によってそれを知らされた俺は、即座に船を使って海を渡った。
 そして海底の眠るその地へと、個人用潜水スーツでやって来たのだ。

 海底にあったその場所には、とても幻想的な光景が広がっていた。
 不思議な輝きが空間内に巡らされた管のような物を通り、様々な色で光っているのだ。
 ついでに、空気が溜まっているスポットでも何故かあった。
 ……これも、ご都合主義というヤツなのだろうか。

「ここが……星の鼓動」

 なんだか発言の順番が逆な気もするが、細かいことは気にしないでくれ。
 それより、今は再生させる方が先だろう。

「えっと、まずはこの装置を中心に取り付ける……って、中心は何処だ?」

 あ、管を辿っていけば源に辿り着くか。
 フラフラとこの場所を歩いていると、そうした場所にすぐ辿り着いた……なんてこともなく、まるで迷路のように入り組んだ道が、辺りに広がっている。

 用意していた星脈探査機を使い、最も反応の強い場所を探り当てながら進んでいく。
 ついでに綺麗な洞窟へ鶴嘴を当て、鉱石を採掘しているぞ。
 いやー、ファンタジーな鉱石が沢山出てくるな。
 例え:DIY:で用意しても、その場に残らないからな。
 鉱石をインゴットにすれば残るんだが……面倒だし。

 お、ここかもな。反応がだいぶ強いし。
 そんな場所へと、採掘を行いながら進んでいった。



「あ、あんびりぃばぼぉ」

 おっと、つい微妙な英語で感想を言ってしまったよ。
 最奥には、巨大な宝珠のような物がドーンと置かれていた。
 そこからは、先程から見ていた管が繋がっており、それこそが中心部分であると理解できる。

「……おっと、そろそろ始めようか」

 そんな神聖感たっぷりな宝珠に、ペタッと装置を張り付けていく。
 複数の装置を張り付けていくのだが、その中の一つには俺の掌を模った認証装置のような物がある。
 それに掌を置いて、生産を意識して――:DIY:を起動させる。

「星の生産……:DIY:起動!」

《:DIY:が起動されました
 使用者『ツクル』の指定能力値の概念崩壊……成功しました
 ――再星に関わると判断されます
 特殊リソースを解放――【■■■】を一時的に使用可能とします》

 ……ん? 何だか最後ら辺が妙だったな。
 ま、別にいっか。 
 それより早く始めていかないとな。

 俺の使う装置は、地脈や龍脈から解析したエネルギーを、魔力から変換して創り出すことができる魔道具である。
 無限の魔力をどこからか生み出し、星の核へと注ぎ込んでいく。

「あれ? 前よりやりやすい……のか?」

 やっぱり、最後の部分が何か影響を齎したのだろうか。
 俺としては楽になる、それだけで充分なんだけど。

 特にその後はあまりイベントも無く、ただただ魔力を注ぎ込むだけの時間が延々と過ぎていく。
 変化と言えば、少しずつ光っているってことぐらいかな?
 だんだんと眩しくなっている気がする。

 遮光グラスを付けて、更に作業を行うのであった。


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