虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

山再生プロジェクト 前篇



 結論から言うと、魔道具マジ便利!

 とある魔道具(難易度:鬼級)に、地脈を回復させるという代物が存在していた。
 俺がやりたいのはあくまでDIYなので詳細は省くが、これまた超巨大な魔方陣を描いたり縮小したり装置に組み込んだり……色々とやらされる羽目になった。

「大量生産……は、無理だったけど。それでも効果はあると見た!」

 同時に作った地脈探査機を用い、地脈の中心点――源泉と呼ばれる場所に先の魔道具を設置しまくった。
 すると、その周辺地域で育てていた植物の成長率が向上し、新たに魔力が広がっていくことが発見された。
 その地の持つ自然エネルギーとやらを活性化させ、魔力を循環させるらしい(AI談)。

「ま、理屈なんてどうでも良いんだよ。大切なのは、これでまた一歩進んだってことだよな。……うん、順調順調」

 大体、星の活動が止まっているのに生きて居られる時点で、ほとんどの常識は捨てる必要があったのだ。
 少なくとも地球では、内部が冷えた場合世界が滅ぶとされている。
 地球内部が冷えると、地球表面上で動いていたプレートによって引き起こされていた現象ホットスポットやプレートテクトニクスなどが停止する。
 すると、地球を守っていた磁場がいずれ消滅してしまい、宇宙から浴びせられる宇宙線の被害に曝されてしまうのだ。
 俺たちは被曝をして体はすぐにボロボロになるし、地球の表面深くにあるマグマが刺激されて地震や火山噴火なども誘発される。

 ……うん、まさに『SEKAI N〇 〇WARI』だな。

 だけど、俺は何の状態異常も無く生きていられた。
 今では(異常無効・極)によって、なお健康にいられる準備は万端である。

 そしてだが……これもまた、海の時と同様に魔力が関わっているのだろう。
 被曝という魔力の関わらない現象に対し、魔の力がそれに罹ることを拒むことで無効化した……そう考えると夢があるんだよなー。

「まあそれよりも、地脈を再生できることは分かった。それじゃあ、次に行こうか」

 地脈が生命エネルギーを活性化させることは確かだが、それでも星が再生されるわけではなかった。
 確かに、装置の周辺は自然な状態で自然ができるだろうが、それでは延命装置を使った植物人間と同じであろう。
 もっと根本的な――それこそファンタジーな方法を用いた再生法を行使して、星を癒していかなければならない。

「地脈の次は……龍脈だな」

 地中を流れるエネルギーの流れ――龍脈、次はこちらを探り当てる所から、始めていかないとな。
 この世界がどれくらい広いかを、未だに俺は知らない。
 なら、そこから始めないとな。
 今もドローンが動いてるし、龍脈っぽいポイントが見つかるまでは、地脈を使って応急処置をしておくか。


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