虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

ドローン



 ま、遠征といっても、そんなに俺が冒険をするわけではない。
 俺のHPは1だぞ?
 未だにセーブポイント的な場所をここで見つけたことはないから、俺が死んだら死に戻りをどこで行うかは全く分からない。
 生産時は、反射的にMPで防御膜を張っていたので問題無し。
 今は制御できるので、もっと安全だな。

 通常時も、溜め込んだMPでそれを行えているので問題無い。
 だが、戦いになった時にそのMPが持つかどうか、そこが不安なんだよ。
 一度試さないと分からないが、試して死亡なんてのはお断りだ。
 いのちだいじに、それがベストだ。

 さて、それならどうやって遠征をするか、そこが気になるだろうか。
 ……フッ、答えは複数あるんだけどな。

「行け、ドローン軍団よ!」

 その1、ドローンによる上空撮影。
 撮られた映像はPCとリンクしており、即座に地図として纏められる。
 いやー、現代文明最高!
 このドローンは魔力によって動いているのだが……もし止まって場合はそこに着陸してから自爆する。
 すると、中に仕込まれたあるプログラムが作動して、あることが起こるようにしてあるのだが……今は良いだろう。
 とにかく、今はドローンを待つだけで遠征は十分だ。

 さーて、生産生産。

◆   □   ◆   □   ◆

 小さな無人航空機たちは、予め設定されたプログラムに従って行動を行っていた。
 モーターを動かしてプロペラを回し、自身の腹部に設置されたカメラに地面に広がる景色を押さえていく。
 ある機器はどこまでも広がっていく真っ黒に染まった大地を、ある機器は今までの大地よりも凹んだ罅割れた大地を、ある機器は少しずつ映っていく巨大な山の影を。

 そうしてドローンたちは、進む先にある世界の一部を、小さなレンズの中に収めていくのだが……どれだけ丁寧に作られても、消耗品にはいずれ終わりがやってくる。

 プププ ププ プ ……

 だんだんとモーターから運動エネルギーが回って来なくなり、プロペラの回転速度が落ちていく。
 そして、最後には完全にモーターの駆動が止まり、
 横では無く、下にスピードを持って進んでいってしまう。

 だが、そのスピードを生かしてドローンは再び起動する。
 風力をまた、一種の発電方法として利用可能だからである。
 電気によって再び動き出したドローンは、二度目の起動を果たした時に行われる、最後のプログラムを実行する。
 今までに送ったデータをもう一度送信し、そのときを待つ。
 落ちたドローンは地面に着いた瞬間――

 ドォオオオオオオオン!!

 強烈な衝撃を起こした爆発する。
 辺りには煙が立ち込め、周りからは何が起きているかが分からなくなってしまう。

 そして煙が晴れた時……そこには、今までその場に存在しなかった物が設置された。


コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品