虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

レベルアップ



 結論から言う――俺、めっちゃ頑張った!
 家も建てたし、武器も造った。
 現代文明にこの環境を整えるために、自分でできる範囲で産業を発展させ続けた。
 DIYの域を超えたスキル:DIY:のお蔭で、俺のイメージ通りの光景が目の前には広がっている。

「俺、造りたかったんだよな――夢のカプセルハウス(意味深)」

 どこかの世界で有名なCのマークがデカく描かれた家が、ドーンッと建てられている。

「自分でも、どうやって建てたか分かんなくなったんだよなー」

 生産活動に栽培や園芸が含まれており、今では俺の居る世界にも植物が茂っている。
 それを使って必死に作り出したエネルギードリンクと共に、俺は色々な物を造った……うん、そのときの記憶が全く無いんだよ。
 目が覚めたときに、考えるだけで造るのを諦めていた物が並んでいたらどう思う? ――超絶怖いわ!
 俺、本当に何をやってたんだろうな。
 一度気になってカメラを仕掛けたんだが、丁寧に電源をOFFにされていたから、余計にたちが悪い。

 おっと、今は説明に集中しよう。

 とりあえず意味の分からない俺の活躍により、近代生活に必要な物が全てカプセル化していた。
 更に、ネットも使えるようになり、情報の持ち込みも可能になる。
 ……ここが一番重要だったな。
 俺だって作り方さえ分かれば、それなりに試すことができる。
 実際、ネットで情報を調べながらの作業ができるようになって、色々の物を作れるようになった。
 ネットって便利だよな。
 昔、3Dプリンターで銃が造れるということで揉めたらしいが、:DIY:はそれ以上のことが可能なスキルだしな。

 必要な物を指定すれば、それが作成可能になる……便利過ぎる。
 加工も手袋を使えばほとんどできるし、プリンターでは不可能な銃弾の作成にも成功したよ。

 ――そして、何よりLvが上がった!

 何がか、というと種族Lvがである。
 種族Lvが上がると、能力値がランダムで上昇する。
 その前に行った行動によって、上がる数値と箇所が変わるとのことだ(家族談)。

 俺の場合、確か上がる能力が決まっていると最初に言われたからな。
 装備やアイテムでいつか改善できるときが来るまでは、ずっとその値だけが増えるのだろう。

 念のため確認してみた。
 上がっていた能力値なのだが……

「ま、そうなるよなー」

 上昇したのはMPとDEXの二つ、かつて頭をガンガンと打ったMP枯渇現象と、生産に最も必要器用さの二つである。
 うん、MPもDEXもあるに限るんだよ。
 MPがあれば(鑑定)が使えるし、DEXがあれば普段から器用になれる!
 俺、DIYをやるぐらいだから、一応は器用なんだけどな。

 それでも、DEXが上がるのは俺としても好ましい。
 何故ならこの世界ではDEXに、体の制御能力の補正が含まれているからだ。

 ――大車輪がしたい!

 凄いどうでも良いと思うが、昔からやってみたかったんだよなー。
 手先は器用でも、体は全然器用じゃなくてさ、回ろうとした途端に、ボテッと倒れるんだよ。
 ちなみに、一回試したけど失敗した。
 やっぱり、DEXが足りないんだな。

「よし、頑張ってLvアップを目指すぞ!」

 こうして、今日もまた生産活動を行っていく。……全ては、大車輪を成功するために!


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