虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

情報開示



 既に説明をしたいたが、瑠璃のLUCは半端無い。
 古今東西あらゆるゲームにおいて、運の介入する余地のないゲームですら、何らかの方法で運という要素が働く。

 昔、チェスをやる機会があった。
 相手は世界大会に参加する程にチェスが得意で、瑠璃はルールすら知らない初心者。
 とある小説でチェスは二人零和有限確定完全情報ゲームと言っていたが、それはあくまで最善手を打てればの話だ。
 瑠璃の運は、フィールド盤上の方ではなくプレイヤー騎手の方へ干渉した。
 まあ、相手の方が可哀想だったから詳細は省くが、色々あってソイツは敗北した。
 今頃何やってるのかな~アイツ。
 紙オムツさえ……いや、社会的地位を守ろうとする人格者でなければ勝てたかもしれないのに。

「父さんが急に遠い目をしてる……」

「また、何かを回想してるのかしら?」

「(お母さんの話?)……大変ね、お父さん」

 家族たちが裏でこっそり話している……多分だが、大体当たっている気がするな。

「よし、それじゃあ俺の番だな。俺はちょっとトラブってしまったから、色々と質問が浮かぶと思うが……それは後にしてくれよ」

 そう前振りをしてから、俺はこれまでを振り返り、家族へとそれを話す。

◆   □   ◆   □   ◆

「とりあえず……見てくれ」

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ステータス
名前:ツクル (男) 
種族:【普人】Lv1
職業:なし

 HP:1/1
 MP:1/1 【スキル発動時∞】
 AP:1/1

 ATK:1 【スキル発動時∞】
 DEF:1 【スキル発動時∞】
 AGI:1 【スキル発動時∞】
 DEX:1 【スキル発動時∞】
 INT:1 【スキル発動時∞】
 MIN:1 【スキル発動時∞】
 LUC:0

【特記事項】

通常スキル
(鑑定Lv-)

職業スキル
なし

種族スキル
ERROR

唯一スキル
:DIY Lv1:

祝福
(◆◆◆◆の加護)(■■■の注目)

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「名前と容姿の色以外を全てランダムにする代わりに、条件を提示したらこうなった」

「条件ってのは当然DIYをしたいってことだったんだが……それが酷いのなんの」

「言った物が何でも出てくる設定だったんだぞ! そんなのDIYじゃないだろう!」

「……ゴホン。MPも1しかないから(鑑定)は一度しか使えないし、祝福は意味が分からない。:DIY:は本格的に使う前にログアウトしたからよく分かってない。……まあ、二回目の時には報告ができるよ」

「ワールドは……多分生産の世界だと思う。詳細はバグっていて見られなかったからな」

「現在は分からないことだらけだが、目指すはDIYのできるベストな環境だ。できたらお前たちも呼んで、休みをのんびりと過ごそうな」

◆   □   ◆   □   ◆

「……って、どうしたんだよ、そんな異物を見るような目をして……」

 話を終えると、再び家族がこちらをチラチラと見ながら、こっそり話し合っていた。
 それ、父親や夫に見せる目じゃないぞ。

「翔もお母さんもかなりイベントを起こすけど……」
「やっぱり一番は……」
「あの人よね~」

『異議なし!』

 最後の部分だけ聞こえたが、何について異議が無いんだろうか?
 そんなことを考える、会議であった。


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