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もののけ庵〜魍魎の廓〜

尊(みこと)

気高き情け深い実力者





大の男4人の喧嘩が、綺麗な声で一言だけぴしゃり『おやめなさい』だけの声で収まってしまった。

「蛇乃女様...!?」
  尊禍と道世は固唾を飲んで、そう言い終わらないうちにゆっくり振り返った。
 そこには一切の色も混ざっていない真っ白い髪の毛、真っ白い着物、白い蛇の目傘をさした美しい女性が立っていた。そう、もののけ庵楼主、蛇乃女である。
蛇乃女「この者達が盗みを働いたという証拠はどこにあるのですか?」
見張り「で、ですからこの男達の風呂敷を調べたら高級花魁が身に付けるものが出て来やして...」
 蛇乃女は悲しげに頭をふり、言った。
「その着物や装飾品は私や私の廓の遊女、そしてこの2人が以前身に付けていたものなのですよ。貴方がたは、もののけ庵をご存知ですか?」
 男達は顔を見合わせて、蛇乃女に向かって何度か頷いた。
「へ、へい...ですが俺達は新参者でして、噂くらいしか聞いたことがありやせん。」
 蛇乃女はやっぱり、というように溜息を吐いた。尊禍と道世は怒りの中にも軽蔑さを表す瞳のまま、霧雨の中突っ立っていた。
蛇乃女「やはりそうでしたか...もののけ庵は実在しますし、遊女も存在します...皆が正体は妖ですが。なぜ、金銭も着物もいらない妖怪達が遊郭で遊女として働いていると思いますか?何故この2人はもののけ庵に遊女や自分らの品々を男に化けて大門をくぐろうとしたか、それが分かりますか?」
 見張りの男達は静かだけど迫力のある蛇乃女の声に押され、分からない、と首をかしげるのが精一杯のようだ。
蛇乃女「貴方がたが個人的にどこまで妖怪について知っているかは分かりません。けれどこの2人には性別がないのです。ですから男性の姿と力でこうして大荷物を抱え、ある場所に寄付しているのです...夜鷹や、梅毒によって花街を追い出された気の毒な遊女達に、ね。」
 
見張り達は言葉もなくうなだれた。金銭に目もくれず、身体で稼いだお金を物品に変えて酷い生活を強いられている哀れな遊女達に無償で...。

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コメント

  • あつしくん

    難しい字が多くて読むのに時間がかかっちゃったです。

    1
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