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もののけ庵〜魍魎の廓〜

尊(みこと)

二人の花魁太夫の謎




 さて、前項で奇妙とも言える不可思議な花魁太夫の二人を紹介しよう。この者達抜きでは話が前に進まない。



・道世(みちせ)
  正に魔性の花魁太夫と呼ぶべき美貌があるが、男心をくすぐる抜けきれぬ幼さの面影がある。黒々とした髪と目を持つ化猫。ピンと立った猫の耳に二本に裂けた尾、黄色いまなこに縦に走る瞳孔、長い爪を持つ。
 夜は鈴を転がすような声としゃなり、しゃなりと濃い紅の着物と孔雀を連想させる金色に緑の刺繍が目を引く羽織を着て衣摺れの音を出して歩くおしとやかで気品のある花魁に化ける。


・尊禍(そんか)
  きりりとした意志の強そうな美形、我が道を行く性格で客に媚を売らぬ、道世と間逆の魅力がある花魁太夫。銀髪と九つの銀尾を持つ妖狐。張り詰めた様な耳に真っ白い肌、緑のまなこを持ち煙管を好む。
 夜になると耳と尾を隠し、低く響く声を出すが、愛想は良くない。目尻には赤い紅を引き、烏のように黒い着物と金色に黒の刺繍がある羽織を引きずり、大きな歩幅で歩く様は中性的な魅力を持つ花魁と化す。


 さてと、この道世と尊禍は間逆のように見えるが共通点があり、それ故に客から花魁太夫様と呼ばれるようになった。それは...この二人には性別が無いのだ。もちろん花街の花魁故、おなごに化けるが男にも化けられる。
 おなごの妖怪は人の姿に成り代わっても、おなごの姿にしか化けられ無い。だがこの二人は本来の妖怪の時点から元々、性別という線引きが無い事から人に化けるにも男女好きに成り済ませるという事だ。
 つまりおなごでもあり、男でもある。おなごでもないし男でもない。
 だが、そのおかげで男心をぎっちり掴んで離さない手練手管を持っていると言える。
 上品で愛想があり、可愛らしい幼さの残る道世は単純明快に男は可愛がり、通うたび鈴のような声で笑うようになり甘え上手になってゆく道世にどんどん骨抜きになっていく。
 
逆に美形だが視線は鋭く、最初の何度かは客と目も合わせず仏頂面。話しかけても無表情に、もしくは見下すように片方の口の端を僅かに上げて低く囁き返す尊禍は、男にとって追いかけて捕まえたいという本能を刺激して勝手に通う。

 そんな間逆の二人だが、もののけ庵で一番仲がいい。
花魁太夫という同じ立ち位置と、間逆の性格が二人を惹きつけ合うのかも知れない。

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