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もののけ庵〜魍魎の廓〜

尊(みこと)

もののけ庵の遊女達



  正確に言うと、この廓にはあまり遊女達の上下関係も無ければ、廓自体の明確な目的もない。ただし、遊び賃は他に比べかなり高いわりに、遊女達だけでなく金勘定をする遣り手や楼主も金への執着は皆無に見える。
 まあ、それはこのもののけ庵とそこの遊女達を案内していけば分かる事だ。

  まずはもののけ庵の主な人物を紹介していこう。

・蛇乃女(じゃのめ)
  元、もののけ庵の一番花魁だった美しい白髪の楼主。此処の遊女達は皆そうだが、客が入らぬ昼間なんぞは本来の姿である妖怪の容姿だ。昼間は腰から下が白蛇の姿で帳簿机に座り、薄い灰色の目に猫のような縦の瞳孔で帳簿を睨み、そろばんを弾きながら考え込むたびに真っ赤な下が苛つきをあらわすようにチロチロと覗く。
 夜、見世で楼主の姿をとる時はおっとりした物腰柔らかな白髪に赤い羽織を着たしっとり微笑む女に化ける。


・尾沙希(おさき)
  もののけ庵の遣り手の年増だが人懐っこく遊女達からも客からも好かれている。正体は老齢の狗。狗も歳を経ると尻尾が二本に分かれる故の名前。もちろん夜は尻尾を隠して中年の遣り手婆に化ける。


・山彦(やまびこ)
  もののけ庵の遊女の一人。元は大樹の聖霊。普段は半透明のおかっぱ頭で幼女の姿。夜は緑色の花魁着や羽織を着て、ツヤのある髪は本物の草花を簪にして遊女にしては珍しく結わずにそのまま垂らしてある。


  他にも様々な美しい妖怪が働いているものの、全員を紹介すると目が回ってしまう。
 前述したようにもののけ庵にハッキリとした上下関係はないが、遊女達の中に二人だけ花魁太夫(最も高級な花魁)と名の後につく妖怪がいた。あくまでも客が有り難がってそうつけるだけで、本人達は気安く他の遊女達と接していた。もちろん他の遊女達も同じ。
 何故、器量、手管、床上手に加えて妖艶な不思議さを兼ね備える遊女ばかりがいるのに、たった二人だけが花魁太夫と呼ばれるのだろう?しかも一つの遊郭に二人も。
 二人の正体はこれいかに?

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