魔法学園アヴィリオンハーツクライ

宮藤みほ

第1章〜行き倒れ少女〜

夜の道を二人の少女が歩いていた。
一人は腰まで伸びた黒髪に学校帰り
なのか制服を着た
和服姿が似合いそうな少女であった。
そしてもう一人の方は、ロングヘアーの金髪に
ブルーアイのメイド服を着た少女であった。
黒髪の少女、黒野凪咲(くろのなぎさ)は
メイドの少女の方をみると
訝しげにこう言った。
「ねえメイビスいい加減迎えに
来る時くらいメイド服着るのやめたら?」
名前を呼ばれたメイド服の少女は
凪咲の方を見ると、こう言った。
「何故?」
「何故って、その格好で迎えに来られると
無駄に注目されるからよ」
と凪咲が返すとメイビスは
「別に良いのでは?」
「メイビスが良くても私は良くないの!」
と二人がそんな会話をしながら道を曲がり
しばらく歩いていくと前方に何かが
あるのを凪咲は見つけた。
「何かあるわね」
と凪咲は言いながらそれに近づく。
するとそれは人だった。
その人物の顔を見るとどうやら少女のようだ。
ふと凪咲は少女の近くに少女の物と
思わしき袋が落ちていることに気づいた。
ひろってみると意外にもそれは重かった。
何が入ってるのかと思いつつも
凪咲は少女に目を向けてみる。
少女の服には赤黒い染みがあり
一目で凪咲はそれが血だと分かった。
「この子怪我をしているわ」
それを聞いてメイビスはすぐさま少女に駆け寄り
少女の体を揺すると少女は
少しだけ「うっ・・・」と唸った。
「どうやらまだ生きているみたいなので
あの人のところに連れていきましょう。」
とメイビスが言うと凪咲は
「確かにそうね」
と言うと少女を背負った
「行きましょう」
「はい」
そして二人は夜の道を往く。
少女を救える人物の元へと
そしてそんな少女達を見つめるものが居た。
その男は黒い服を着ていた。
まるで夜の暗がりに潜むかの様にそして
男は少女達の背中をみて、こう言った。
「・・・・面倒なことになったな」
男はそれだけ言うと、夜の闇に溶けるかの様に消えた。
そして辺りには何の音もせず、
ただどこかで猫の鳴き声が聞こえた。
まるでこれから始まる事を予見している
かのように





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