インフルエンザに囚われたラノベ作家のパパを助けに
第六章 上へ、そして下へ
ペガサスの背は安定魔法で守られているせいか、とても静か。
どんどん上昇してゆくが、耳も痛くならない。
後ろにどんどん流れる霧のような雲をビュンと突き抜けると、一気に視界が開けた。
西の方角、遠くの大地が、一面に黒いもので覆われている。地平線までずうっと。
その空も黒い雲のようなもので覆われ、赤い稲光のような閃光が、時折走る。奥の方は、もうすでに黒一色になっていて、天と地の区別さえつかない。
「あれが、インフルエンザ・ウイルス。」
「うん。」
「もう、こんなに広がってしまった。」
黒いところとこちら側の境に沿って、あちこちで火柱や魔法の発動に伴う青や黄色の光が起こる。この距離から見えるという事は、かなり大掛かりな魔法なのだろう。
「これから、どこへ?」
「いにしえの遺跡。そこにある三種の神器を取りに。」
「パパを助けに行くのではないの?」
「そのために、三種の神器が、必要なんだ。パパは、あの黒いとこのどこかに、囚われている。その場所を探し出し、奪還しないといけない。ウィルスからね。」
「さあ、降りるよ。しっかりつかまって。」
エピは、首を斜め左下へ傾けると急降下し始めた。
エピの首にぐっとしがみつく。
安定化魔法がかかっているのに、まるで垂直に降下するジェットコースターに、間違って乗っちゃったかのような感覚。何で、こんなスピード出すの。
その訳はすぐわかった。
エピの横を、こないだの黒い鏃の束がザザーッと通り過ぎる。上から、横から、それは次々と飛んで来る。
ウィルスの斥候に囲まれてるんだ。
サラが、防御結界を張ったようだ、少しの間、攻撃が収まった。
しかし、すぐに結界は、破られ、また、黒い鏃の束。
右に、左に、降下しながら、避けるが、そのうちのいくつかが、エピをかすり、次々と血しぶきが上がる、
「ヒール」
「ヒール」
「ヒール」
私は、叫ぶ。
「MPをそんな無駄遣いしちゃ駄目だ。僕は、大丈夫だから。それより、万一、死んじゃったら、蘇生して。」
そんな、洒落にならないような事を言う。
「そんなこと言わないで。」
エピが、死んでるような時は、きっと、私も死んじゃっていそうだ。
あ、地面が見えて来た。
雲を抜けると、赤茶けた地肌がむき出しになった山々がそびえている。
その山間にある谷に向かって、ほぼ垂直に落ちてゆく、いや、降りていく。早く減速しないと。
ドグッワーン、凄い爆破音。ちらっと視線を走らせると、ロドリゴが、気合いを放ち、谷の上部を吹き飛ばしたところだった。
ドグッワーン、ドグッワーン、ドガ、ドガ。うわ、何発も撃ってる。このままだと岩の塊が、全部私達の上に落ちてくる。なんて、無茶苦茶な。
地面にぶつかる寸前で、緩衝の魔法をペガサスがかけた。
さっと全員が、谷底の隙間に、移動する。バラバラと岩が降ってくる。
「ウォール」。岩がこちらに転がり込んで来ないよう壁を作る。
でも、上からみたら、これって、生き埋め状態だ。しばらく土砂が積もって真っ暗になった。
壁と、崖のくぼみで、少し残されたスペースにみんないるはずだが、何も見えない。
「ライト。」
魔法で、明かりを灯す。
ごほごほ。土ぼこりがひどい。
少し土ぼこりが、落ちつくと、くぼみが、崖に沿って続いていることが、わかった。
みんな、土ぼこりで、ひどい汚れようだったが、近くにいた。
「行こう。」
エバンズが、みんなを促す。
崖の壁に、何か落書きのような紋様が、書かれている。
サラが、何か唱えると、その紋様のあった所に、鉄の扉が浮き出てきた。
「ここが、入口。」
サラが、顔をこちらに向け言う。
「ありがとう、また、会おう。」
エバンズが、ペガサス達に、そう声をかける。
私はエピの首をぎゅっと抱いて、
「またね。」とささやいた。
ロドリゴが、現れた鉄の扉を開け、四人は中に入る。
石で、作られた螺旋状の階段が、下へ下へとどこまでも続いている。その先は白く輝いていてよくわからない。
壁も、階段も、白く輝いている。
螺旋状の階段はどこまでも続く。
小走りで、どんどん下ってゆくが、終点が見えない。ももの裏が張って、膝がガクガクしてきた。
「飛び降りちゃ駄目なのかな?」
「駄目ですよ。飛び降りたら着きません。」
とエバンズ。
「この階段自体が、迷路の役割りを果たしてるの。」とサラ。
一本道の迷路なんて、迷路じゃない。第一、迷わないし。
「でも、あかり、飛び降りようか迷ったでしょ?」サラが言う。
「選択肢を示す道は、いつも迷路なのよ。」
エバンズが、続ける。
「もし、飛び降りたら、下に行かずどんどん上に向かい、最後には入口から放り出されてしまいます。下に向かって落ちていると思いながら。」
「じゃあ、上に向かって飛んだら?」
すぐに、入口に着きますよ。
どっちに行っても入口?
なんか、エバンズの言っている事がよく分からないが、時間がない中で、試している場合では、なさそうだ。
今は、階段を下るという当たり前の選択肢しかないらしい。
どんどん上昇してゆくが、耳も痛くならない。
後ろにどんどん流れる霧のような雲をビュンと突き抜けると、一気に視界が開けた。
西の方角、遠くの大地が、一面に黒いもので覆われている。地平線までずうっと。
その空も黒い雲のようなもので覆われ、赤い稲光のような閃光が、時折走る。奥の方は、もうすでに黒一色になっていて、天と地の区別さえつかない。
「あれが、インフルエンザ・ウイルス。」
「うん。」
「もう、こんなに広がってしまった。」
黒いところとこちら側の境に沿って、あちこちで火柱や魔法の発動に伴う青や黄色の光が起こる。この距離から見えるという事は、かなり大掛かりな魔法なのだろう。
「これから、どこへ?」
「いにしえの遺跡。そこにある三種の神器を取りに。」
「パパを助けに行くのではないの?」
「そのために、三種の神器が、必要なんだ。パパは、あの黒いとこのどこかに、囚われている。その場所を探し出し、奪還しないといけない。ウィルスからね。」
「さあ、降りるよ。しっかりつかまって。」
エピは、首を斜め左下へ傾けると急降下し始めた。
エピの首にぐっとしがみつく。
安定化魔法がかかっているのに、まるで垂直に降下するジェットコースターに、間違って乗っちゃったかのような感覚。何で、こんなスピード出すの。
その訳はすぐわかった。
エピの横を、こないだの黒い鏃の束がザザーッと通り過ぎる。上から、横から、それは次々と飛んで来る。
ウィルスの斥候に囲まれてるんだ。
サラが、防御結界を張ったようだ、少しの間、攻撃が収まった。
しかし、すぐに結界は、破られ、また、黒い鏃の束。
右に、左に、降下しながら、避けるが、そのうちのいくつかが、エピをかすり、次々と血しぶきが上がる、
「ヒール」
「ヒール」
「ヒール」
私は、叫ぶ。
「MPをそんな無駄遣いしちゃ駄目だ。僕は、大丈夫だから。それより、万一、死んじゃったら、蘇生して。」
そんな、洒落にならないような事を言う。
「そんなこと言わないで。」
エピが、死んでるような時は、きっと、私も死んじゃっていそうだ。
あ、地面が見えて来た。
雲を抜けると、赤茶けた地肌がむき出しになった山々がそびえている。
その山間にある谷に向かって、ほぼ垂直に落ちてゆく、いや、降りていく。早く減速しないと。
ドグッワーン、凄い爆破音。ちらっと視線を走らせると、ロドリゴが、気合いを放ち、谷の上部を吹き飛ばしたところだった。
ドグッワーン、ドグッワーン、ドガ、ドガ。うわ、何発も撃ってる。このままだと岩の塊が、全部私達の上に落ちてくる。なんて、無茶苦茶な。
地面にぶつかる寸前で、緩衝の魔法をペガサスがかけた。
さっと全員が、谷底の隙間に、移動する。バラバラと岩が降ってくる。
「ウォール」。岩がこちらに転がり込んで来ないよう壁を作る。
でも、上からみたら、これって、生き埋め状態だ。しばらく土砂が積もって真っ暗になった。
壁と、崖のくぼみで、少し残されたスペースにみんないるはずだが、何も見えない。
「ライト。」
魔法で、明かりを灯す。
ごほごほ。土ぼこりがひどい。
少し土ぼこりが、落ちつくと、くぼみが、崖に沿って続いていることが、わかった。
みんな、土ぼこりで、ひどい汚れようだったが、近くにいた。
「行こう。」
エバンズが、みんなを促す。
崖の壁に、何か落書きのような紋様が、書かれている。
サラが、何か唱えると、その紋様のあった所に、鉄の扉が浮き出てきた。
「ここが、入口。」
サラが、顔をこちらに向け言う。
「ありがとう、また、会おう。」
エバンズが、ペガサス達に、そう声をかける。
私はエピの首をぎゅっと抱いて、
「またね。」とささやいた。
ロドリゴが、現れた鉄の扉を開け、四人は中に入る。
石で、作られた螺旋状の階段が、下へ下へとどこまでも続いている。その先は白く輝いていてよくわからない。
壁も、階段も、白く輝いている。
螺旋状の階段はどこまでも続く。
小走りで、どんどん下ってゆくが、終点が見えない。ももの裏が張って、膝がガクガクしてきた。
「飛び降りちゃ駄目なのかな?」
「駄目ですよ。飛び降りたら着きません。」
とエバンズ。
「この階段自体が、迷路の役割りを果たしてるの。」とサラ。
一本道の迷路なんて、迷路じゃない。第一、迷わないし。
「でも、あかり、飛び降りようか迷ったでしょ?」サラが言う。
「選択肢を示す道は、いつも迷路なのよ。」
エバンズが、続ける。
「もし、飛び降りたら、下に行かずどんどん上に向かい、最後には入口から放り出されてしまいます。下に向かって落ちていると思いながら。」
「じゃあ、上に向かって飛んだら?」
すぐに、入口に着きますよ。
どっちに行っても入口?
なんか、エバンズの言っている事がよく分からないが、時間がない中で、試している場合では、なさそうだ。
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