インフルエンザに囚われたラノベ作家のパパを助けに

御社 欅

第一章 それはいつも突然に

はあ、疲れた。

だいたい、受験生の一日は、忙し過ぎる。

朝早く、遠くの学校に行って、帰りには、塾。

帰ってきたら、もう十時過ぎ。

まだ、高校生にもなっていないのに、
こんな生活してたら若さにカビが生える。

いや、もう生えてるかも。

リア充じゃなくてもいいから、せめて本屋で立ち読みする時間くらい、もう少し欲しいよなあ。

漫画を夜中に読んでいるのを親にバレ、スマホもすでに没収されている。

LINEで、こんな愚痴を誰かに聞いてもらう事さえ出来ない。

「あかりさん。」

耳元で誰かがささやいたような。

「ほえ?」

まわりには、だれもいない。
電気はすでに消してあるが、外から漏れる明かりで、それくらいは分かる。

「空耳かな?」

「まあ、かなり疲れてるし、早く寝よ。」

ベッドの布団を、鼻の下まで両手で引っ張り上げる。

時計はとっくに夜中の12時を回っているはずだった。

目を閉じると、声の主がいた。

「あかりさん。」

それは白のレースの付いた金色の服を着たでっぷり太った小人だった。 

金色の王冠を被り、宝石っぽいものが先にはめこまれたマッチ棒程のステッキまで持って、こちらを見上げている。

「あなたは、誰?」

「私は、お父さまがお造りになられた国の王様です。」

そう言うと、頭を深く下げた。

「あかりさん、お父さまを助けて下さい。」

「え、パパが、どうしたの?」

そういえば、確か前にも、こんな事があったような気がする。

でも、それは、夢だったような気も。

「それが、今度は、インフルエンザに囚われてしまったのです。」

インフルエンザ?あの病気の?囚われるって?

「でも、インフルエンザって、ウィルスでしょ。そんなのタミフルでも、飲んで寝てれば。」

確かに、今、パパは、インフルエンザを患い、寝室に隔離され一人で寝ている。

「肉体面は、それで良いんです。しかし、ウィルスが、思考回路に影響するところに侵入しようとしていて、その結果、精神面でまずい状況になっています。このままでは、肉体面でも、抵抗力が落ちて、脳症にかかり、臓器の機能不全につながって、死に至らしめられるかもしれません。」

「で、どうすれば?」

「これから、あかりさんの夢とお父さまの思考回路が繋がるように致します。そこで、お父さまをお助け下さい。」

「ちょ、ちょっと待ってよ。そんな急に。」

「そう。事は、急を要するんです。」

あまりノーとか、考えさせてとか、言えるような状況には無いらしい。

「で、準備するものは?」

「特にありませんが、気持ちをしっかり持って下さい。」

「よくわからいけど、わかったわ。」

「では、参りますよ。」

そうして、今回の旅が始まった。



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