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世界は何も変わらない。変わったものはルールだけ。

クラウン

情報収集。原因不明。

「さ、てと。」

管理室内にはデスクトップパソコン1台とモニターが8台。
それとトランシーバー。これは持ち運べるタイプじゃなくて、設置してあるものだ。おそらく、この学園の敷地内にある残り2つの警備員室に繋がってるんだろう。…が、今は使わん。

まずはネットで情報収集だ。どうせある程度校内に居る生存者の数が減るまでは動かないんだし。スマホの充電も同時にしとこ。






19:58。

大体思ってた通りかな。少しずつ、ネット上でも屍者の目撃情報がアップされてる。まだネタ動画と同じ扱いだけど、そのうちニュースとかにも取り上げられるだろうな。2、3日で本格的な騒動になりそうだ。

届くかは半々だけど、さっきネットで色々購入したんだよね。サバイバルグッズとか非常食とか蝋燭とか電池とかとにかく手当り次第に大量に。必需品じゃなくとも、交渉の種として使える様なものもいっぱい買った。多分1室潰れるくらいには。勿論名義はせんせー。俺も個人資産として2億くらい持ってるんだけど、まぁ気にしない。せんせーはきっともっと持ってる。

なんでそんなにお金もってるんだって?そりゃあれだ。研究施設にいた頃に、実験動物モルモットにされてた時のバイト代みたいな。あれ、給料出てたみたいなんだよねあとから知ったんだけど。非人道的な実験の内容が発覚した時の逃げ道として、合意の上での実験だ、証拠に対価としてきちんと給料を支払っている。みたいな感じの口実を用意してたらしい。

MまじG下種Fふぁっく

まぁ過ぎたことだどうでもいい。ゴミクズ共の事なんて思い出したくもない。今はこっちだ。

さて、次にすべき事と言えば警備員室内にある武器や設備の調査だろう。永くて3日程はここで生活するんだから、何かあった時のためにくまなく調べておいた方がいい。もう外は十分暗いから、屋上に出てもバレないだろう。周辺の状況なんかも確認したい。ただしその場合は音を出さないように、慎重に。

「魅流」

「あれ、せんせー?」

てっきりもう休んでるかと思ったんだけど。表情にも態度にも出して無いけど、先生今日はずっと雰囲気ピリピリしてたし。不安と緊張と、少しの罪悪感って所かな。まぁそりゃそうだ。俺にとってはルールが変わっただけだけれど、先生にとっては世界が変わったと思える状況なんだから。

3人の中で唯一の大人(肉体的に)なんだから、自分が護らなきゃいけないみたいな事考えてるんだろうなぁ。

でもねぇ…

「先生。俺と先生は対等だ。お願いはするけど命令はしない。先生の気持ちはある程度分かってるつもりだよ」

だって俺たちは二人ともに歪にたものどうしなんだから。

だからこそ、先生も俺の気持ちくらい分かるでしょう?

「自分の身くらい自分で護るさ。ある程度、って言葉はつくけどね」

「…はぁ、そのある程度が不安なんだよ。ったく」

お、雰囲気が和らいだね。よかったよかった。それでこそだよせんせー。

「それで、せんせ。どうかした?」

「あぁ、ここの中を見て回ったんだがな」

おぉ、さすがせんせーだ頼りになるね。今日はせんせーに感心させられっぱなしだ。いつもありがとうございます。

「武器に使えそうなもんがいくつかあったんで持ってきた。まだ細かく調べたわけじゃねぇが、問題なく使えそうだ」

「お、意外と残ってるもんだね」

拳銃×7
弾丸×7ダース(84発)
特殊警棒×4
警杖×4

「警備員室に駐在する警備員は15人だった筈だ。他の2箇所も変わらん」

人数の半数の武器ってことは、予備用かな。まぁ何にせよ、残ってて良かった。

「十中八九拳銃は使わないだろうけどね」

「だろーな。」

サプレッサーついてねぇし。これなら弾丸の火薬だけ抜き取って爆弾紛いのもの作った方がいいかも。作れるかなんて知らないけど。

「まぁ、持ってて損は無いしとりあえず貰っとこうか。使わないにしても、交渉材料にはなりそ。」

特殊警棒と警杖か…。どっちも高度な殺傷能力があるわけじゃない。まぁでも音が出ない分、現状拳銃よりは有用だよな。特殊警棒は所持していてもバレない見つからない。有用だ。警杖は120cmくらいか。まぁ、ギリギリ俺でも使えそうだけど…桐生に使わせよう。あいつ身長170cmくらいあったし、俺が作った短めの槍よりはこっちのが使いやすいだろ。

「俺の方でもいくつか調べて分かったことがあるから伝えたいんだけど。今更なんだけど時間ある?」

「問題ねぇよ。教室から持ってきた工具の点検はやったからな。まぁなんだ、やることがねぇ」

言うねぇ。外は阿鼻叫喚の只中だろうに、暇だなんて。まぁ、やることが限られてるのは事実なんだけどさ。暇だからって生存者を助けに行こうなんて気には微塵もならないけど。そんな所が歪んでるんだよ俺達は。

「インターネットはまだ生きてたからちょっと調べてみた。ちょくちょく屍者の目撃情報が上がってるけど、まだ本格的じゃない。2、3日経てば話は別だけど」

「日本以外もそんな感じか?」

「いいや、日本よりは侵攻してるっぽい。島国って事が関係してるのかな?これが感染症なのであれば、早く被害が広まった場所が発症地だと考えていい」

「日本は海外からの観光客が多い。遅いか早いかの違いだろうな」

「そだね、でも遅ければ遅いほどより多くの対応策を講じる事ができる」

そもそも、ここに被害が出てる時点で天川財閥は現状を把握してるだろ。病気なら特効薬を作れそうなものなんだけど。それは期待しすぎなのか?

「…さっき、知り合いの財閥関係者に電話したんだがな。繋がらなかった。天川は既に、落ちた可能性がある」

「…はぁ?それ、本気で言ってるの先生」

単に仕事中とかじゃなくて、ホントの本気で?世界トップクラスの財閥団体が?政治家にも自衛軍にも警察にも医療機関にも勢力を伸ばしてる天下の天川が、落ちた?

「しんっじらんない」

「そりゃ俺もだがな。ありえねぇって保証がねぇだろ。最悪を想定して動くべき、だったろ魅流」

そうだけど、そうなんだけど!

「なんで報道されてないの。今日の朝の新聞もニュースもいつも通りだった。たった数時間で、日本の中核が落ちるものなの?」

そんな、ピンポイントで?
だとしても何かしらの情報があるだろう。なぜこの程度の情報しか出回ってないんだ?

「…テロか?」

「海外からのテロ攻撃?それ、意味あるの?天川を敵に回して、その行為がもし失敗したら未来なんてないでしょ。明らかにデメリットの方が大きいよ」

「テロ行為を行った国に、既に特効薬が存在するとしたら、どうだ?」

…、いや。だとしても、天川を日本ごと潰すには世界的にダメージが大きい。実績と金と発言力はあるんだから、1つの国が単独でなんて…1つじゃないとしたら?
例えば、天川を良しとしない国同士が手を組んでの大規模な犯行?
若しくは、特効薬を与えて恩を売るつもりか?天川へ多大な恩を売れたなら間違いなくその国は世界的に有利になる。…いや、俺が考えつく事だ。国の行動原理がそんなに単純なわけが無いし、この程度の策略なら天川はすぐに気づく。医療分野にも精通してんだからな。もしこれがことの真実なのだとしたら、そりゃ舐めすぎってもんだろう。
そもそもこの想像は屍者の原因が感染症だという事を前提として並べ立ててるだけだ。宇宙からの飛来物かもしれないし、神の怒りや呪いの類かもしれないな。つまり現段階では何も分からない…はぁ、もうっ。

「もういいわかんない知らないどうでもいい」

いくら考えたってわかるもんかよこんなの。国際的なものだとしたら尚更だわ情報が少なすぎる。

「もう寝よ!せんせ。いくら考えたってわかるわけないよこんなの時間と労力と気力と体力と心力と思考力の無駄だわ」

「そこまで言うか」

だってまじ分かんねぇし。

「まぁ今日は疲れたからな。しっかり休んで、また明日だ」

「ん、そだね。また明日。適当に空いてる部屋使いなよ。ベッドで寝ること!いいね」

せんせーはよくソファで寝ようとするからな。お前が使え〜なんて言って身体を丸めて小さくなって。ベッド大きいから問題ないっつって引きずり込むんだけど。

「分ぁってる。余ってんだからベッド使うさ」

「そ、ならいんだけど。そういや桐生は?」

「あいつはあれからすぐに寝たが」

早いな、相当疲てたみたいだ。当然か、17歳だもんなぁ。そうじゃなくても疲れてるけど。

「んじゃおやすみ、せんせ」

「あぁ、おやすみ。…寝ろよちゃんと」

「寝るから。今日は多分、すぐ眠れる。俺も疲れたし」

「…そうか、ならいい。おやすみ」

おやすみせんせー何で2回言ったのかは敢えて突っ込まないでおこう。寝ろってことを強調したとかそんな感じだろ。心配しなくともほんとに寝るから。

ふぁ〜ぁ、ほんとに疲れたな。


20:32。
おやすみ世界。


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