死んだら神になりました

叉龍

78-集落

『こちらHQ。指定地点に到達』

ようやく本隊がたどりついた。
本隊が向かったのは敵主力の後ろ側。俺が攻撃したのは最も手薄だった場所だ。
襲撃されている集落側の人間は敵主力をずっと足止めしていた。
規模は自分たちの何倍もあるのにずっと足止めをするとは大したものだ。

「こちらドラッヘ11。総員敵主力へ攻撃を行われたし」

『HQ了解。ただちに攻撃を開始する』

本来ならばこの距離で味方が真正面にいる状態で撃つのは味方に弾が当たる可能性があるため控えるべきなのだが敵もこの密度だ。それに爆裂射撃で近接信管を設定すれば問題ないと思う。確証はないが。

「総員爆裂射撃用意。弾種を近接信管に設定。目標、前方のゴブリン集団。
撃て!」

眼下では米軍の船が対空戦闘でも行っているかのような弾幕だ。
そのせいでどんどん視界が悪くなっていく。まあ適切なところで魔法でも使って煙を晴らすか。

「お、だいぶ減っているな」

煙が晴れたら敵が相当減っていた。

「撃ち方やめ! 撃ち方やめ! 総員着剣。突撃する」

もう数が減ってくると誤射が多くなってしまうだろうからあとは白兵戦で殲滅する。

「突貫!」

そこら中からウラーの声が聞こえる。
俺たちは赤く染まった覚えはないがやはり突撃、歩兵といったら赤の国のやつですよ。

「さて、そろそろ集落側とコンタクトを…」

敵がある程度殲滅されたところで集落に降り立ち、この村の代表に取り次いでもらう。
つかほんとに角はえてんな。何族だろ。

「助かりました。俺はこの集落の代表のロウといいます」

「スーデリア王国第一特殊即応連隊連隊長、ジン=リークド=アクテリア元帥です」

自分で言ってて気が付いた。肩書きがバカ長い。長すぎて貴族ってこと言ってないけどいいよな。

「苗字があるとは、貴族様でしたか。間に『リークド』と入っているのはどこかの頭首様でしょうか」

「ええ、まあそうですね」

ちなみのこのロウという人。くっそイケメン。ワイルド系のおっさんではなく好青年。
背も高いしかなりもてているんだろう。しかもこの集落の人は全員顔面偏差値が高すぎる。

「その年齢で頭首とは。どれほどすごいか想像もつきませんね。
それで、第一特殊即応連隊というのは?」

「それは軍隊の中の部隊の名称ですね。
スーデリアではまもなく騎士団が解体され、新しい仕組みになるんです。
階級とかもいろいろ分けられて、自分は元帥なので軍の最高司令官ですね。
ちなみに貴族位は大公爵です」

「な、大公爵様でしたか。スーデリア王国の王族の血縁者でしょうか」

「いえ、ただの婚約者ですよ」

婚約者の時点でただ者ではないのだけれども。

「それよりも、あなた方の種族はなんなのですか?」

「ああ、我々は鬼人族です。大鬼オーガ小鬼ゴブリンと同じ鬼ですが、鬼というよりも獣人のほうが近いです」

「鬼人族…そんな種族もあるんですね」

「まあ、知らなくても当然です。二、三千年も前に人との関わりを断つことになりましたから。それでもたまに人に紛れて村を訪れたりする人がいますが、角は隠していますからね」

なるほど。二、三千年も前のことはさすがに文献にも残っていないのだろう。

「にしても、このような襲撃はよくあることなのですか?」

「数十年に一回の周期できます。普段も小規模な襲撃はあるのですが、このような規模での侵攻は初めてです。キングがロードを投げるなんて初めて聞きました」

「我々は、危うくそれがこの森の生態だと間違えるところでしたよ」

ゴブリンキングの知力が高かっただけなのか。
本当にゴブリンはずるがしこいな。

「ところで、あなた方はなぜここで生活を?」

そう。俺の一番気になっていたことだ。この危険地帯になぜ人が住んでいるのか。

「なぜ、と聞かれましても…ここの家がある。それだけですよ」

なるほど。

「それで、あなた方のこの集落は、国ですか? 村ですか?」

ここが重要なのだ。国といえば国交を開くだけなので問題ないが、村と言ったら王国に税を納めなければならない。ここが俺の管轄になればまだいろいろと考慮できるだろうが、他家の領地となった場合はわからない。

「そうですね…ここは鬼人の国。ようこそ皆様。鬼人の国へ」

大根役者。この演技をわざとやっているのならばすごいものだがな。

「コウ。各隊へ連絡。至急調査を終了し駐屯地へと帰還。第一特殊即応連隊は機甲アーマー装着の上すぐにここへ、第101飛行中隊はスクランブル待機だ」

「了解。でもなんでだ?」

「一時方向上空。ワイバーンが滞空している。
12時方向から一時方向にかけて多数のワイバーンが集結中。
さらに地上にも大量の魔力反応。おそらく大群がいるだろうな。
ワイバーンが地上を攻撃していないことからおそらくはでかい群れ。
いろいろなところから一つの地点に集まっているし、この規模をゴブリンやオークが指揮できるはずがない。
ワイバーンを指揮できるのは…十中八九ドラゴンだな」

簡単に言えば絶望的な大規模侵攻。
俺も遭遇したことのない規模の大侵攻だ。
訓練にはもってこいだろう。総戦力で挑ませてもらう。



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