まっくら

まっくら闇に一人取り残された

音もなく、四方見ても誰もいない、気配さえない

そうだ。自分はひとりなのだ。そう思って、心の奥底がしんしんと冷え、凍えていくような感覚に襲われた。

どん底、そして孤独。まだ冷静な部分が今の自分を安易な言葉で置き換えた。

早く死にたい。こんなに辛くて、しんどくて、寂しいなら、早く死にたい。



カンカンカンカン
長く閉じていた踏切がやっと開き、ユウコははっと我に返った。
「またぼーっとしちゃった」
誰にも聞こえないくらいの声で呟き、踏切を足早に渡る。早く渡らないと、すぐ閉まっちゃう。

ユウコは自分が自殺祈願者のような思考を持ち合わせていると気づいている。ただ、本気で画策しようと思っているわけでは決してないということもわかってる。本来は、(自称)明るく、前向きで、周りを元気にしてきたタイプなのに。こうなったきっかけは、4年前の父の死だった。何かが途端に切れてしまった。常に心が疲れ、孤独と悲しみ、苦痛を抱え続けている。気づいたら上の空になり、さっきのようなことを思い浮かべては、冷静になることを繰り返す。

これって心の病かな。

何度もそう思うが、本気に死のうとまでは思ってないからまぁいっか。とそのままにして4年が経った。

この4年の間に環境がガラッと変わった。まず結婚。
父が亡くなる直前に付き合い始めた人とそのまま結婚した。付き合って10ヶ月で入籍したスピード婚だった。父の葬式に来てくれたことも結婚を決めた理由の一つだ。唯一父に合わせることができた彼氏だった。結婚を機に子供を考え始め、職場に相談したら妊娠してないのにマタハラを受け、耐えられずに退職。今は前々職で働いていた教室でパン、ケーキの講師としてバイトで働いている。
結婚・仕事と変化したがさらにもう一つ。不妊治療による通院も始めた。今の生活はこれが中心。仕事のスケジュールも食べ物も人付き合いも貯金の使い道も全てこれが第一優先。息がつまる、疲れる。でも、、自分でやると決めた、、こんな葛藤の繰り返し。

ああ、やっぱり死んだ方がどんなに楽なんだろう。

死にたい



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