ディス=パータ

ノベルバユーザー196004

第8話 帝国軍侵攻開始

「ふむ、なるほど。我々を襲った部隊はアウレンツ大佐のとこの連隊でしたか。今回の騒動での指揮系統は一体どうなっていたのですか?アウレンツ大佐が直々に指揮を?恨みを買った憶えはないが……」


船内の通信機から少佐と軍幹部か又はそれに匹敵する関係者と思わしき人物との会話が聞こえてくる。聞こえてくる感じでは軍総本部による襲撃でなく、アウレンツ大佐とやらの独断作戦らしいが。
それにしても物騒すぎる。
今となっては内部抗争など珍しくもない話だ。肥大化した軍事力を持て余す利己主義な指揮官が増え、度々内戦が勃発する。その度によく戦闘に参加したものだ。
こんな悲惨な軍の体制組織のまま既に数百年が経とういうのだ。
よくこの国を維持できているなと不思議に思っていたが、彼女等の言う『覚醒者』なるモノたちの存在を考慮すれば不思議でもない。


「……アウレンツ大佐だが、彼の遺体が先ほどオフィスで確認されたのだ。それも、死亡推定約三日前と十三時間だ。作戦決行日には既に彼は生きていなかった。だが連隊の話によれば、君らがいた例の建物を襲撃した際、大佐は現場で指揮を取っていたと言うソルジャー達の証言がある」


「と、なると。導き出される答えは能力者による成りすまし。といったところでしょう……」


「姿まで似せていたとなると、非常に高度な能力だな。人物の抽象化、具現化。もしくは変身を能力で行うというのは余りにも非現実的だが、それ以外の線は薄いだろう。それにレイシア少佐を襲ったことを考えれば、レイシスである可能性も捨てきれん」


あまりにも非現実的……?まさか彼らの会話でその言葉がでるとは思いもしなかった。彼女の能力は紛れもなく非現実的なモノだ。それ踏まえてなお不可能に近い能力というものがあるのか。
いくら能力といってもなんでもありというわけでもないのだろうか……?


「数多のレイシスを討伐してきた身としては、狙われても不思議ではありませんでしたが。だとしても……まぁそれはさておき、大佐の追っ手はこちらには向かってきていませんよね?」


「どうやら追っ手は出ていなかったようだな。というのも空港でのゼノフレーム出撃命令以降、大佐は姿を消している。追っ手を出さなかったのは意図的ともとれるが……何はともあれ。少佐が無事で何よりだ。そのまま本部に帰還すると良い。前線帰りにいきなりこんな事態に会ったのだ、少し体を休めることだ」


「いえ、我々はこのまま北上して北部第3都市の前線基地に向かいます」


「なに、それは本当か?ならいますぐ引き返せ」


「なぜです?」


「ヌレイ戦線は崩壊した。北部共和国軍は北部第3都市ステーションまで撤退している。前線基地は既に陥落しているとの情報も入っている」


会話を聞いていたゼンベルがいきなり驚愕した表情で声を荒げる。


「えぇぇ!なんだとぉお?!少佐ァ!今すぐむかわねば!!我が部隊がいま危機的上だ!救援に駆けつけんと!!」


「あぁ、もちろんそのつもりだ。悪いですが、我々は北部第3都市ステーションに向かいます」


「ふむ……そうか、ではそうするといい。何かと戦い続きだが、幸運を祈る。くれぐれも死んでくれるなよ少佐。君は共和国の貴重な戦力なのだからな」


そう言い残して通信が切れ静かな空気が数秒続き、ここぞとばかりに口を開く。


「なぁ、戦線が崩壊したってヤバくないか?その、俺たちの部隊もそこにいるんだろ?それに……帝国軍が本気で取りにくるなんて一体何が起きてんだ……」


「私にもさっぱりだが、今はとにかく現状打破が最優先。我が隊の最終目標は部隊と合流し、北部第3都市から帝国軍を追い出すことだ」


「分かった、少佐がそういうなら。俺はそれに従うだけだ」


ガンシップは北部第3都市ステーションに進路をとった。


気流に揺れる船内で、レオ・フレイムスは戦場に赴く覚悟を静かに決める。

          

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