死刑

西田夏樹

5章 ② 3人目

かなり急いでいたようだ。男はかなり疲れた様子で、私たちがいる廃工場に走ってきた。そして私たちの方を見るなりすぐにこう言った。
「なんだ・・・こんな所にも人がいるのか・・・。」
かなり息は荒いでいる。



「あの、どうしたんですか?こんな時に・・・。」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
「なんでそんなに疲れてるんだ?」
「はぁ・・・。」
「あの、私、水田恵子です。あなたは・・・?」
「おい、なんで名前言うんだよ。コイツがどんな奴か分かんねえだろ。」
「怪しむことは無い・・・。」
「は?」

「私は・・・池川・・・勇だッッ!」
男はよく分からないポーズを取った。
「いや誰だよ。」
「私の事を知らないのか?」
「有名な方・・・なんですか?」
「その通りッッ!・・・いや、それを話すのにはまだ早すぎる・・・。」
「怪しいな。」
「怪しい?そんな事は無い。」
「何を根拠に言ってんだよ。」
「根拠は・・・。」
池川、と名乗った男は少し考える素振りを見せた。

 

「おい、何も言えねえのか?」
「やっぱりこの人、怪しいですかね・・・?」
「どう見ても怪しいだろ。」
「そうですかねぇ・・・。」
「おい、何か言え。何か言わないと・・・殺すぞ。」
そう言って彼は近くにあった鉄パイプを持った。
「いや、それはマズイですよ。」
「大丈夫だ。俺たちは。」
「そういう使い方はダメですよ!!」



「お前は・・・」
「は?」
「お前の名前はなんだ・・・?」
男は突然質問で返してきた。
「私は水田恵子・・・」
「いや、お前は言っただろ。・・・それを俺が言えば、お前は何か言うのか?」
「当然だ。」
男は何故か満足気な表情をした。
「俺は、瀧川忍だ。」
「えっ・・・」
「なんでお前が驚くんだよ。」
「いや、そういえば知らなかったなーと思って。」
そんな名前だったのか、と思う。正直、性格に対して名前が合っていないような気がする。

「フフフッ・・・正直に言うとは面白い。なら一つ、お前達に情報を与えよう・・・。」
「なんでそんなに偉そうなんだよ。」
「それは・・・私だからだ。まあそんな事はどうでもいい。」





そして男は、衝撃の言葉を口にした。
「お前達の携帯は、全てハッキングされている。」

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