ダンジョンを現役冒険者パーティーで経営、そして冒険者から金品+命を奪うのはアリですか?
第14話 帰還
「琥珀君、やっと来たか。どうやらお仲間の救出には成功したようだね」
馬車にもたれかかり立っていたヨミスは琥珀に気づきそう言った。馬車の中にはアレックス、クレア、ヘイドの3人。そして御者台にはゼイドが座っている。
「ああ。お陰様で」
するとディアブルがこちらを向き言った。
「やはり、琥珀、お前は暗殺者だったのだな」
「ああ」
「「「「………….」」」」
ディアブルが琥珀にそう質問をしたことによって琥珀が暗殺者であるのではないかという疑問が確信へと変わった。暗殺者は冒険者に嫌われている。それは冒険者が死ぬ場合、一番確率的に多いものが魔物に殺されること。二番目は暗殺者。勿論、暗殺者を雇い冒険者を暗殺するよう依頼を出しているのはどこぞの貴族なわけだが、やはり直接的に冒険者を暗殺する暗殺者は冒険者に嫌われるのは当たり前の話だ。
少しの沈黙が続き、下へ頭を下げていたエレガは頭を上げ琥珀の方へ向いた。終いだ。受け入れられるはずが無い。そして同様に頭を下げていた琥珀は恐る恐る頭を上げた。
するとエレガ、ディアブル、エルク、メルは一切の曇の無い笑顔を見せおりこちらを見ていた。
「貴方、何でもっと早く教えてくれなかったのよ!?」
「まあ俺は薄々気づいてはいたがな」
「琥珀が暗殺者であれ何であれ、もうお前は俺達の仲間なのだぞ? もう少し自分の仲間を信用してはどうだ!? はっはっはっ!」
「私は…。別に琥珀が暗殺者でも…気にしないです…」
「感動の再開の途中に悪いが我々は一刻も早くこの町を出なければならない。感動の再開の続きは是非エルドに帰ってからか馬車の中でやってもらいたい」
ヨミスのお蔭で感動の再開は妨害されてしまったが言われてみれば現在、この場にいるものは全員この町から即座に出なければならない立場にある。証拠は隠滅したつもりだが、エレガたちの着けていた防具と武器は全員、カインに取られ屋敷に無かったことからして他に売れわたっている。つまり暗殺元が誰なのかということは少なくても数か月以内には知られてしまうだろう。そうでなくても最悪、今日か明日には貴族の屋敷内全員が暗殺されたということは町中に広がる。そして町を囲う塀の門が全て閉じるのも今日中だろう。つまり今日中にこの町を出なければ即、アウト。あとはこの町を暗殺の犯人が見つかるまでは逃げ隠れて走り回らなければ無くなる。
というわけで琥珀たちは馬車に乗り、ヨミスさん率いる暗殺者4人と共に早々にこの町を出た。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
そして4時間後・・・。
「どうやら着いたようだね」
馬車が止まり、琥珀たちは馬車から降りた。するとそこにはまだ夜とは思えないほど賑わいのある交易の盛んないつもの町があった。
「やっと着いた~~~」
「物凄くさしぶりに帰ってきた感覚だ」
「さ~、酒を飲むぞ!!!! はっはっはっは!」
エルクが酒場を目がけて走り出す。
と、そこで琥珀はエルクの肩を引っ張りエルクが酒場へ向かうのを阻止した。
「ん? どうした、琥珀?」
一枚の布を纏いまるで奴隷のような恰好をしたエルクはこちらへ振り向きそう言った。どう見てもこの町、いやこの場に不適切な恰好のエルク、エレガ、ディアブル、メル。4人はカインに捕らえられた際、荷ぐるみを取られ代わりにこのような貧相な服とも言えないような布一切れを彼等に着せていたため現在、4人はまともな服を一着も持っていない。
「自分が今何を着ているかわかるか?」
琥珀の言葉に4人は一斉に自身の身体を見る。すると4人は慌てて馬車の中へ戻り身を隠した。そう。布は体の大事な部分はいてもそれ以外の部分は全く隠されていないのだ。エレガは胸が大きい為、横からだと…。その…。,,,見えてしまう。メルは成長前だからギリギリセーフ。エルクとディアブルは…かなり似合っている。それはともかく4人には普通に町中でも歩けるような服を買う必要があるだろう。
馬車で服屋まで行くと4人と琥珀は服を買うためにダッシュで店内へ駆け込んだ。
「えっと、この4人に似合う服を今すぐ用意してくれないか? 出来るだけ早く」
「奴隷に服ですか…。いいのですか?」
「さっさと用意しろ」
服屋の店員を睨むと彼女は急いで服を選び始めた。この国では奴隷制度というものがある。奴隷は主人に絶対に逆らうことは出来ず、ただただ主人の命令に一生従うだけの存在。この国では金が無くなり毎月国に税金を払わなければすぐにでも人為権利が剥奪され、誰にでも奴隷になる確率はある。しかし何故か奴隷は生き物とは別の個体として認識されてしまっている。この国では一般市民や賭け事で借金を背負ってしまった商人、そして冒険者などが奴隷になるという話は珍しくない。
国に税金を納めなければ人間として扱われなくなってしまう。時には奴隷商人が勝手に田舎の子供を攫い奴隷市場で売りさばくなどと言ったこともこの国では日常茶飯事。要はこの国全体が無法地帯のようなもので自分の身は自分自身で守る必要がある。この国はそんな狂った国なのだ。
そんな事を考えていると4人はそれぞれ自分に似合う服を見つけたようだ。
「琥珀~、服選び終わったわよ~?…って、なんて顔してるのよ?」
エレガは琥珀の顔を心配そうに窺う。どうやらまた感情を顔に出してしまっていたようだ。琥珀が暗殺者であった時、あれ程感情的にならないようにと自分を制御していたが、今となってはその必要が無い為、気が緩んでしまっているようだ。
「あっ…。悪い。少し考え事をしていた」
「そうなの? 何か悩み事があるなら聞いてあげるわよ…?」
「いや、大丈夫だ。それより全員服を選び終わったか?」
店員の方へ顔を向けると彼女は急いで服の値段の計算をし始めた。
「ひぇっ…。えっと、全てで会計3万です」
「ん」
琥珀は3万を手元から出し、彼女に渡した。彼女の手はブルブルと震えており、そこまで怖い顔をしたか? と、思ったが彼女の反応からしてそうだったのだろう。
「あ、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
彼女は頭を深く下げ、5人を見送った。
「どうしたの琥珀? あの子物凄く貴方を怖がっていたわよ?」
「かなり恐れていたな」
「…あの、あの子が何かしたんですか…?」
最後にメルが心配そうにこちらを窺う。
「いや、何でもない」
「大丈夫? この後、ヨミスさんと―――」
琥珀はエレガの耳元であることを言うと、再び元の状態へと戻る。
「えっ? えっと…?」
エレガが不思議そうな顔をする。
「まあ、大丈夫だ。休めばすぐに良くなる」
そう言い、5人は再び馬車に乗り込むのだった。
馬車にもたれかかり立っていたヨミスは琥珀に気づきそう言った。馬車の中にはアレックス、クレア、ヘイドの3人。そして御者台にはゼイドが座っている。
「ああ。お陰様で」
するとディアブルがこちらを向き言った。
「やはり、琥珀、お前は暗殺者だったのだな」
「ああ」
「「「「………….」」」」
ディアブルが琥珀にそう質問をしたことによって琥珀が暗殺者であるのではないかという疑問が確信へと変わった。暗殺者は冒険者に嫌われている。それは冒険者が死ぬ場合、一番確率的に多いものが魔物に殺されること。二番目は暗殺者。勿論、暗殺者を雇い冒険者を暗殺するよう依頼を出しているのはどこぞの貴族なわけだが、やはり直接的に冒険者を暗殺する暗殺者は冒険者に嫌われるのは当たり前の話だ。
少しの沈黙が続き、下へ頭を下げていたエレガは頭を上げ琥珀の方へ向いた。終いだ。受け入れられるはずが無い。そして同様に頭を下げていた琥珀は恐る恐る頭を上げた。
するとエレガ、ディアブル、エルク、メルは一切の曇の無い笑顔を見せおりこちらを見ていた。
「貴方、何でもっと早く教えてくれなかったのよ!?」
「まあ俺は薄々気づいてはいたがな」
「琥珀が暗殺者であれ何であれ、もうお前は俺達の仲間なのだぞ? もう少し自分の仲間を信用してはどうだ!? はっはっはっ!」
「私は…。別に琥珀が暗殺者でも…気にしないです…」
「感動の再開の途中に悪いが我々は一刻も早くこの町を出なければならない。感動の再開の続きは是非エルドに帰ってからか馬車の中でやってもらいたい」
ヨミスのお蔭で感動の再開は妨害されてしまったが言われてみれば現在、この場にいるものは全員この町から即座に出なければならない立場にある。証拠は隠滅したつもりだが、エレガたちの着けていた防具と武器は全員、カインに取られ屋敷に無かったことからして他に売れわたっている。つまり暗殺元が誰なのかということは少なくても数か月以内には知られてしまうだろう。そうでなくても最悪、今日か明日には貴族の屋敷内全員が暗殺されたということは町中に広がる。そして町を囲う塀の門が全て閉じるのも今日中だろう。つまり今日中にこの町を出なければ即、アウト。あとはこの町を暗殺の犯人が見つかるまでは逃げ隠れて走り回らなければ無くなる。
というわけで琥珀たちは馬車に乗り、ヨミスさん率いる暗殺者4人と共に早々にこの町を出た。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
そして4時間後・・・。
「どうやら着いたようだね」
馬車が止まり、琥珀たちは馬車から降りた。するとそこにはまだ夜とは思えないほど賑わいのある交易の盛んないつもの町があった。
「やっと着いた~~~」
「物凄くさしぶりに帰ってきた感覚だ」
「さ~、酒を飲むぞ!!!! はっはっはっは!」
エルクが酒場を目がけて走り出す。
と、そこで琥珀はエルクの肩を引っ張りエルクが酒場へ向かうのを阻止した。
「ん? どうした、琥珀?」
一枚の布を纏いまるで奴隷のような恰好をしたエルクはこちらへ振り向きそう言った。どう見てもこの町、いやこの場に不適切な恰好のエルク、エレガ、ディアブル、メル。4人はカインに捕らえられた際、荷ぐるみを取られ代わりにこのような貧相な服とも言えないような布一切れを彼等に着せていたため現在、4人はまともな服を一着も持っていない。
「自分が今何を着ているかわかるか?」
琥珀の言葉に4人は一斉に自身の身体を見る。すると4人は慌てて馬車の中へ戻り身を隠した。そう。布は体の大事な部分はいてもそれ以外の部分は全く隠されていないのだ。エレガは胸が大きい為、横からだと…。その…。,,,見えてしまう。メルは成長前だからギリギリセーフ。エルクとディアブルは…かなり似合っている。それはともかく4人には普通に町中でも歩けるような服を買う必要があるだろう。
馬車で服屋まで行くと4人と琥珀は服を買うためにダッシュで店内へ駆け込んだ。
「えっと、この4人に似合う服を今すぐ用意してくれないか? 出来るだけ早く」
「奴隷に服ですか…。いいのですか?」
「さっさと用意しろ」
服屋の店員を睨むと彼女は急いで服を選び始めた。この国では奴隷制度というものがある。奴隷は主人に絶対に逆らうことは出来ず、ただただ主人の命令に一生従うだけの存在。この国では金が無くなり毎月国に税金を払わなければすぐにでも人為権利が剥奪され、誰にでも奴隷になる確率はある。しかし何故か奴隷は生き物とは別の個体として認識されてしまっている。この国では一般市民や賭け事で借金を背負ってしまった商人、そして冒険者などが奴隷になるという話は珍しくない。
国に税金を納めなければ人間として扱われなくなってしまう。時には奴隷商人が勝手に田舎の子供を攫い奴隷市場で売りさばくなどと言ったこともこの国では日常茶飯事。要はこの国全体が無法地帯のようなもので自分の身は自分自身で守る必要がある。この国はそんな狂った国なのだ。
そんな事を考えていると4人はそれぞれ自分に似合う服を見つけたようだ。
「琥珀~、服選び終わったわよ~?…って、なんて顔してるのよ?」
エレガは琥珀の顔を心配そうに窺う。どうやらまた感情を顔に出してしまっていたようだ。琥珀が暗殺者であった時、あれ程感情的にならないようにと自分を制御していたが、今となってはその必要が無い為、気が緩んでしまっているようだ。
「あっ…。悪い。少し考え事をしていた」
「そうなの? 何か悩み事があるなら聞いてあげるわよ…?」
「いや、大丈夫だ。それより全員服を選び終わったか?」
店員の方へ顔を向けると彼女は急いで服の値段の計算をし始めた。
「ひぇっ…。えっと、全てで会計3万です」
「ん」
琥珀は3万を手元から出し、彼女に渡した。彼女の手はブルブルと震えており、そこまで怖い顔をしたか? と、思ったが彼女の反応からしてそうだったのだろう。
「あ、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
彼女は頭を深く下げ、5人を見送った。
「どうしたの琥珀? あの子物凄く貴方を怖がっていたわよ?」
「かなり恐れていたな」
「…あの、あの子が何かしたんですか…?」
最後にメルが心配そうにこちらを窺う。
「いや、何でもない」
「大丈夫? この後、ヨミスさんと―――」
琥珀はエレガの耳元であることを言うと、再び元の状態へと戻る。
「えっ? えっと…?」
エレガが不思議そうな顔をする。
「まあ、大丈夫だ。休めばすぐに良くなる」
そう言い、5人は再び馬車に乗り込むのだった。
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