【打ち切り】Rank.0にして最強につき
第4話 放蕩の王は片鱗に触れ
「・・・・・・・・・・・・んっ、ぅ?」
えっと、此処は、何処だろう?
「お、やっと目が覚めたか」
誰かと話していた空亡先輩が私に気が付いて顔を覗き込んできた。
寝起きの所為なのか、それとも此処は夢の中なのか、何故か先輩の顔を私は見上げていた。
夢だったのなら、私は何を思ってこの夢を見ているのだろうか。
その顔はとても眩しくて、私は反射的に再び目を閉じてしまった。
後頭部には鉱物のように硬くもどこか人肌のようながっしりした感触が当たり、頭のてっぺんには撫でられている感触がある。それはとても気持ち良い。
「おいおい、流石に二度寝は勘弁してくれよ?そろそろ脚が痺れてきた」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
先輩のその発言で自分がどう言う状態なのかをハッキリ理解した。
「ッ〜〜〜〜〜!!」
つまり私は・・・・・・・・・先輩に膝枕をしてもらっている!?
今自分自身の顔が真っ赤に染まっているのを自覚している程顔が熱い。
しかし同時にハッとし、体起こす。
その際、つい力を入れてしまい先輩の顔とぶつかりそうになったが、ギリギリ先輩が避けてくれた。
「おっと、大丈夫か?顔が真っ赤だが」
「だ、大丈夫です!すいません御心配お掛けしました!」
あまりの恥ずかしさに先輩の顔が見れない。
だが、起き上がる瞬間に一瞬だったが私は確かに見た。
先輩の顔がニヤニヤと笑っていたのを。
恐らく今もまだニヤニヤしているか、或いは笑い声を噛み殺して居るのだろう。
背後居る先輩から面白がっている気配がする。
「これこれ。忉利よ、あまり私の前で後輩を揶揄うものじゃないぞ。羨ましいではないか」
声をかけられて他にも人が居たのに気付くが、気付いた事によって尚のこと顔が更に真っ赤になる。
膝枕されてるところを見られて居たなんて辱しめ意外にならない。
しかも空亡先輩とは初めて顔を合わせて間も無いのに見っともないところを見せてしまった。
だけど、先輩に頭撫でられるの、気持ちよかったなぁ。
「アリスよ。そんなににやけてどうしたのじゃ?」
「な、何でもありません!」
バッ、勢い良く顔を隠した。
呆れた顔で聞かれたからつい両手で顔を隠してしまった。
「まぁ、後輩いじりもこれくらいにしておくとして、本題に入れよ」
そ、そうでした。
私と先輩は学園長の放送に呼び出されて此処に来て居たんでした。
私は急いで正面を向き、姿勢を整えた。
しかし、正面を向いたと同時に学園長の隣に座っている人物に疑問を覚えた。
右に座っている方は、学園長の付き人、兼自然魔法学担当の教論、プリトゥビマータ・アウスピト先生。
丁寧で居て分かりやすい授業をする事から、生徒達からの人気が高く、噂ではファンクラブあるんだとか。
中等部の私の目から見ても尊敬してしまうようなお方だ。
学園長の付き人なので此処にいる理由は分かる。何故座って寛いでいるのかは分からないけど・・・・・・。
私が一番疑問に思うのは学園長の左、私の右隣の椅子に座っている人だ。
見てくれは長い藍色の髪を後ろの首元で一本にまとめ、髪と同じ藍色の瞳は奥まで見えない。だが何処か残念そうな空気を漂わせて居た。
この人を見た事のあるように思うのだが、何故かハッキリとしない。
先輩、と謎の男性は私の疑問に気付いたのか、先輩と男性は学園長へと視線を向けた。
「む?何じゃ?」
「あの学園長、この方は一体・・・・・・?」
「え?あぁ、なんじゃ貴様認識阻害でもかけておるのか」
「そりゃな、うち出たのバレたなんて民間人に知られる訳にはいかないからな、特に報道人とか。まぁ上さんにはバレてるんだが・・・・・・」
「そうね。この状況じゃ当たり前だわ」
え、かみさん?
私は更に疑問点が増した事に頭がついていけず、更に困惑した。
先輩は相も変わらずニヤニヤしている。この人は絶対に全部分かっている。
「ま、今回の件じゃそいつも無関係じゃ無いからな。居てもおかしくはねぇわな」
「何じゃ、やはり分かっておったのか」
「そら分かるだろうよ学園長。国王参加イベントなんて数多くねぇしな」
「・・・・・・・・・・・・こくおう?」
「おう、そうだ。まぁ、今は釈天と名乗ってるから、呼ぶならそっちで頼む。他の奴等にバレちまうからな」
ギギギ、と擬音が出そうなくらいぎこちなく首を回して見た先には、学園長の前に出されたお茶に手を伸ばしてその手をプリトゥ先生に叩かれながら自己紹介をする国王。
え、でも国王と分かってもいまだに既視感だけでハッキリと国王様だと断言出来ない謎の感覚。
でも確かさっき学園長が認識阻害魔法とか言っていたし、その為なのは理解できた。
でも何で国王様がこんな所に?
国王様が参加するイベント、この時期だと1つだけ思い当たった。
「・・・・・・・・・全国年格決定大会クァルプギス?」
「そう、その通りじゃ。その事についてお主ら2人に話があったんじゃ」
自分の顔からサァっと血の気が引くのを感じた。
「大事な事だから王たる俺からが説明しよう。我が国は現在クァルプギスを5年連続で優勝していてな。国格一座をキープし続けている。だが、今年になって他の国に超新星と言える実力を持つ人材が数多く現れており、国自体がその人物達を磨きに掛かっていると聞いたんだ。となるとうちでもそんなカードを切る必要があるよな?そこでお前ら、アリセリシと空亡だ」
「いや、何でそこで私何ですか!?私なんて少し魔質変化長けているだけの学生ですよ!?」
「この大会学生限定だし」
「そんなこと聞いてません!!」
無理だ。
学園第三席なんて名誉を受けて居ても所詮はそこ止まりだ。
Rank.も去年になってやっと4になったばかりだ。
しかも第三席なんて中途半端な。
少なくとも後2人は上に実力者がいるのだ。
第二席のディアブロ=レベルノワール。
通称・大悪魔と呼ばれる、今年で高等部2年になる先輩。
第一席、金糸雀。
通称・“人類最強”と謳われるお人で、今年で高等部3年となる人物。
この人物2人を差し置いて私が選ばれるなんて・・・・・・・・・。
クァルプギス代表選手に選ばれるのは実は凄く嬉しいのだが、自分には自信が無い。
それに・・・・・・・・・。
「まぁ、トルドレスは納得出来るな。実力も学園公認の第三席様だ。だが、何で俺の名前が出るんだ?・・・・・・・・・白夜の魔王及び護法の王よ」
「「「!?」」」
「やっべ・・・・・・・・・」
「やっちまったのぉ・・・・・・・・・」
途端にこの部屋に再び殺気が溢れ出て、重圧感が私を襲った。
だがこの重圧は先ほどとは比べ物にならない威力で、力を入れ続けても直ぐに意識が落ちるのは明白だ。
死神の鎌が既に私の首に刃を当てているかを思わせ、少しでも、本当に少しだけでも間違った行動を起こせば首を刈り取られるのでは無いかと思うほどに死を予感させ、息が苦しくなった。
最早この殺気に当てられた瞬間から私の目からは涙が溢れてうて、同時に汗も滝のように流れている。
「答えろ。俺の領域に踏み込む愚か者共」
「そ、それは・・・・・・・・・」
どうにも学園長と釈天さん、プリトゥ先生でも踏み込んではいけない領域だったらしく、3人も脂汗を流し苦虫を噛んだような表情をしている。
瞬間、思考を逸らしてしまった所為で意識を保てなくなってしまい自分の身体が前に倒れて行った。
「おっと、そうだった。コイツ耐性無いんだったな」
殺意が霧散し、身体が前から肩を持たれたお陰で床に倒れる事は無かった。
「はぁはぁ・・・・・・・・・」
呼吸が辛かったのは3人も同じなようで、一斉に深く深呼吸をした。
「はぁ・・・・・・」
殺意を放った先輩は、釈天さんと学園長の方を見て呆れており、今度は私を見て申し訳なそうな表情をした。
先輩は静かに私を支えながら立たせて来れた。
「二度目か。悪いな、トルドレス。原因が俺でないとは言えお前にまで迷惑を掛けちまうのはお門違いってもんだ。悪かった」
そう言って先輩は私に向けて頭を下げた。
確かに私にはとばっちりだったかもしれない。
でも私には先輩あそこまで怒る理由が分からなかった。
初めて顔を合わせて間もない所為も有るのだろうが、私は先輩が怒っている時の表情が何処か悲しそうに見えた。
そんな先輩を見てしまったから私は先輩を責める事が出来ない。
「い、いえ!頭を上げてください!確かに私には怒気を受ける理由は思い当たりませんが、きっと先輩があんなに怒る理由があるんだと思いますから!」
「そうか。・・・・・・ありがとな」
そう言って笑う先輩の感情は、多分心からの気持ちだと思う。
だからさっきもあんなに怒ってしまったんだ。
そして先輩は今度は学園長と釈天さんに鋭い視線を向けて手のひらと拳を合わせた。
「大人なんだから後先考えて酒は飲めよな。御神酒なんてただでさえ強烈なんだからよ。取り敢えず床に正座してろ」
「「グッ・・・・・・・・・はい、ごめんなさい」」
お二人は文句も無く先輩の言う通り椅子を降りて2人並んで正座をしてしまった。
しかも先程の先輩の殺気の原因はお酒だったらしい。
・・・・・・・・・何なんだろう、この状況は。
あ・と・が・き
うんやっぱ足りないね文字数。
無理よこんなの。
「1ヶ月あってこのざまか、世話ねぇな」
うるせぇわ。
・・・・・・とか言ってみたりして〜?
「ま、次回に乞うご期待で」
次回、釈天死す!?
「虚偽だ」
コメント
夜桜 水烙
はじめまして水烙と申します。
毎月楽しみに読ませていただいています。
第4話 主人公の立場が大変興味深く感じられました。
ゆっくり更新、文字数少なめで結構なので無理なく身体に気をつけてください。
読者としてこの作品が長く続くことを切に願っています。
また、本編とは関係がないことで
バグなのでしょうか
話数の投稿順が
4→3→2→1→プロローグとなっていて
システム的に読みづらくなっています。
どうにかなりませんか?