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異世界召喚されたら学園通いながら冒険者稼業(仮)

佐藤美味

第5話 モヒカン頭に注意!?

「空也君て学生時代は清潔感のある子だったんだね。」

 その言葉に違和感を覚える。
 佐倉さんと初めて会ったのは5年程前、学生時の俺を佐倉さんが知る由がない。

「すぐ空也君って分かったよ。無精ヒゲやボサボサの髪ではなくなっているけど顔は空也君のままだったもんね。」

 そうか、俺も若くなっているのか。話の流れから佐倉さんと同じ高校生ぐらいなのだろう。身体的な変化に納得しつつ、それとなく女神の事を聞いてみた。

「ここに来る途中、頭のいかれた青紫の髪の女に会わなかったか?」

「会っていないわ、黒髪の普通な人達か、他の多種多様な髪色の人は例外なく獣の耳がついていたわ。何?その女性と揉めているの?」

「そうだな、この村に来る途中に会った人なんだがとても性格が悪かったので佐倉さんが同じ被害に遭っていないか気になったんだ。」

「そんな…、気になった、なんて… 」

 佐倉さんの様子がおかしい。腕や足をよく内側にすり合わせている。トイレでも我慢しているのだろうか?

「また失礼な事を考えているでしょう?」

「いや、そんな事は……。」

「そう、ならいいわ。」

 女性の勘というのは怖い、そう感じた瞬間だった。

「さっきギルド内で揉めていたみたいだけど、何があったの?」

「そうだ! 聞いてよ、私があそこで受付の女性に色々と質問していたら、いきなり後ろからあのモヒカン頭が私の胸を揉んで『俺が色々答えてやるよ』って言ったのよ!! 今思い出しても気持ち悪い!」

 俺は何も言わず立ち上がり無言のまま歩き始めた。

「待って、空也君。どこにいくの?」

「…… 」

「ねぇ、聞いてる?置いていかないで。」

ハッ!? 余りの怒りに我を忘れてしまった、こんな事本当にあるんだな。

「ゴメンね。モヒカン野郎に地獄を見せてやりたいと思ったら、いつの間にか身体が動き出してた。佐倉さんを置いてい行くつもりはないから。」

「ありがとう、でも空也君じゃ怪我をして終わっちゃうよ。言いたくはないけど相手の体格を見る限り、空也君よりも相当鍛えられていると思うよ。嫌だよ、私のせいで怪我をするなんて。」

 情けない……。 女性が嫌がる事を平気でする人間に喧嘩を売るどころか、被害にあった女性に身体の心配をされ止められてしまうのか。しかし、これ以上彼女に負担をかけたくない。今は落ち着いてモヒカン頭には機会を見て地獄を見せてやろう。
 そんな事を考えをしていると灰色と黒色の縦じまのスーツをきた小太りの男に声をかけられた。

「お二人とも珍しい生地のお召物を着ていますが、私にそれを売ってもらえませんか?」

「「 ヒィッ!? 」」

「なんで空也君まで怯えているの?」

「最近、身(特にお尻)に危険を感じる出来事があったばかりで過剰に反応してしまった。」

「どうでしょうか? 私は行商人をしておりますが、そのような美しい生地は見た事がありません。高値で買い取らせて頂きますよ。一着あたり金貨5枚でどうですか?」

「空也君…。」

 そんな上目使いで腕を掴まれたら萌え死んでしまう…。
 佐倉さんの服はこんな男に売れないとしてもお金がないと今夜、俺のお尻に危険が近寄ってくるかもしれない。

「この服は異国で作らせた一点物でこの世に二つとない大切なものだ、売るわけにはいかない。」

「そうですか、せめて何処で作ったのかを聞きたいのですが。」

「すまんな、これは俺も仕事が関わっている事で言えないんだ。」

「なるほど、同業者でしたか。わかりました、一着あたり金貨8枚でどうでしょう?」

「そうだな、俺の着ている一着だけなら考えないこともない。しかし、売った後は俺の着る服がなくなってしまう。」

「そこは私があなた様に似合う服を差し上げます。」

「あぁ、お前の熱意に負けたよ。金貨8枚に替わりの服で手を打とう。」

「おぉ、ありがとうございます。」

 お礼を言いながら深々と頭を下げている姿をみていると、この世界でも礼儀作法は一緒なのだなと親近感を覚えた。

「俺の名前はクーヤだ。」

「私はベイル・タッカーです、クーヤ様。」

「タッカー、ついでにこの村で防犯面に信頼のおける宿屋を紹介できないか?」

「それでしたら、あそこに見えます『白銀亭』はどうでしょう。家族経営の宿ですが旦那様は元高ランク冒険者で防犯性は高く、奥様の作る郷土料理は村一番と人気ですよ。」

「それはいい事を聞いた、白銀亭を使わせてもらうよ。」

「では、さっそく替えのお洋服を見繕いましょうか。」

 タッカーはすぐに俺のサイズの服といって何着か見繕ってきたのだが、服のセンスが全くない俺が固まっていると

「これとこれでどうかな?」

 佐倉さんが悩んでいる俺を見かねてアドバイスをしてくれたのだ。

「じゃあ、それで。」

 好きな人に選んでもらった服というのは少し気恥しいがそれ以上に嬉しいものだ。すぐに着替えを終え、佐倉さんに見てもらった。

「いいね、カッコいいよ。」

「ありがとう、俺も凄く気に入ったよ。」

 佐倉さんの言葉で浮かれているとタッカーがソワソワと近づいてきた。

「空也様、ではこちらが約束の金貨8枚です。ご確認ください。」

「ああ、確かに。 また何かあれば教えてくれ。」

 そういって俺はタッカーに着ていた服を渡し、佐倉さんと白銀亭へ歩き始めた。




登場人物が増えてくると大変ですね。
身をもって実感しております、誤字脱字がありましたら気軽に教えてください。




 

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