邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百八十九話 雑踏に紛れて。

9章 Grim happy end


「聞いたか?また太陽の国と戦争をするらしいぞ」
「ああ、聞いた聞いた。もう一部の農民には徴兵令が出てるらしいな。いい迷惑だよ」

「俺たちの生活も考えてくれってんだ。
これから小麦の収穫したり麻を育て始める時期なのによぉ……男手が足りないぜ」

「今回もさっさと終わってくれると助かるんだがな……長く村を開けて国から金が出る訳でもないし」

「戦争なんてやる必要ないのになぁ」

そんなことを話しながら、粗雑な麻の服を着た二人組が遠ざかっていく。

「……なるほど、今ひとつ活気がないのはそれが理由ですか」

周りを見てみれば男が少ない。
屋台で料理を作っているのも女性であり、道端に作られた料理店などにも男性の姿は見えない。

「やれることもないですし、とりあえず冒険者ギルドにでも行きましょうか」

シグレは門兵に予め場所を聞いておいたので、迷うことなく冒険者ギルドに向かっていった。

「ここですね。それじゃあ入りますか」

そうして数分ほど歩くと、シグレは二本の剣が交差したようなシンボルが彫られた木の板の揺れる場所、すなわち冒険者ギルドに到着した。

スイングドアを押し退けて進んでいくと、薄暗い内部にはほとんど人がいなかった。
酒場としても活動しているのだろうか、入口からさほど離れていない位置にある巨大な丸テーブルでは昼間から酒を飲んで、いや、飲んだくれている大男がいる。

やる気のなさそうな受付嬢の方へと歩いていき、「すみません。冒険者登録がしたいのですが」と言ってみると、数秒間気だるそうにシグレを見やった後に、小さな声で「わかったわ……」と言ったあとにのそのそと動きだした。

「とりあえずこれに手を触れてくれればいいから……」

数分後
どこかから人の頭くらいの大きさの水晶玉を持ってきて、シグレにそれを触るように指示した。

罪顕の水晶  ☆5

人の罪を映し出す水晶玉
何も罪を犯していないならば水晶玉には何も起きないが、なにか犯罪を犯していた場合は水晶玉が光を発する。

(レッドを弾くためのアイテムですか……)

今頃は始まりの街などにもこれが導入されているのだろうか、そんなことを考えながら水晶に手を触れる。

もちろん水晶が輝くことは無く、チェックは何事もなく終わったのだった。


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