邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第三百八十六話 誘惑の竪琴
9章 Grim happy end
「鑑定」
サテュロス
山羊と人間を足したような姿の二足歩行生物。
常に竪琴を携えており、その音色と自らの声で人間やエルフなどを誘惑し意のままに操り、最終的に快楽を貪り尽くした後に喰らい尽くす。
この音色と歌声は対象の脳に特殊な脳内麻薬を発生させ、過度の多幸感を与え注意力を散漫にする。
非常に奔放で自分本位なことで知られており、時には味方であるはずの怪物を魅了し意のままに操ることで甚大な被害をもたらすこともある。
本体の戦闘能力は低いが、傍らには必ず操った犠牲者がいるため、強者が操られている場合は危険度が数段上に跳ね上がる。
また、戦闘中に魅了する対象を変えることも可能であり、それらを駆使したトリッキーな戦法を主とする。
魅了された対象は一時的に肉体の限界を超越するため、非常に手強くなるが、そのかわり精神が崩壊し、歌の束縛から解放されても正常な生活に戻ることは不可能である。
複数の相手を操ることは出来ない。
手に持つ竪琴は身体器官の一種であり、壊れたり失った場合再生しないため、竪琴を失ったサテュロスは大抵の場合すぐに死亡する。
「まだ単体での戦闘能力は低くてよかったですね……っと、ソーン・バインド」
目の前のサテュロスを鑑定したシグレは、先程から自分の方に近づいてきていた謎の生命反応に対し拘束魔法を行使した。
一瞬にして地面から荊が生え、その強靭な荊が犠牲者の体をぐるぐる巻きにして拘束する。
「4、5歳くらいのミノタウロスですか。幼児期とはいえ力は強いですし、サテュロスが魅了するのにもこのくらいが限界ですかね」
「な……!?僕の魅了が効かない!?」
鑑定の範囲内にサテュロスを入れるために近づいていたのが魅了できていると思われたのだろうか、存外に驚いた様子でサテュロスはシグレと距離を取る。
途中に竪琴を取り落としそうになりながらも木の上に立ち、拘束されたミノタウロスに声をなげかけた。
「オージー!助けて!あいつ!僕を君から奪っていくつもりなんだ!」
それを聞いたミノタウロスは荊の棘が刺さる痛みなどものともせずに荊を引きちぎろうとした。
「なんで、なんでオージーがあんな荊一つ引きちぎれないんだ!」
「さて、何故でしょうね?なんにしろ、ここが年貢の納め時です」
しかし、荊はビクともしないままであり、シグレはそれを呆然と眺めていたサテュロスを捕縛した。
精神が壊れたミノタウロスを眠らせた後、シグレは再び歩き始めるのだった。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
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「鑑定」
サテュロス
山羊と人間を足したような姿の二足歩行生物。
常に竪琴を携えており、その音色と自らの声で人間やエルフなどを誘惑し意のままに操り、最終的に快楽を貪り尽くした後に喰らい尽くす。
この音色と歌声は対象の脳に特殊な脳内麻薬を発生させ、過度の多幸感を与え注意力を散漫にする。
非常に奔放で自分本位なことで知られており、時には味方であるはずの怪物を魅了し意のままに操ることで甚大な被害をもたらすこともある。
本体の戦闘能力は低いが、傍らには必ず操った犠牲者がいるため、強者が操られている場合は危険度が数段上に跳ね上がる。
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魅了された対象は一時的に肉体の限界を超越するため、非常に手強くなるが、そのかわり精神が崩壊し、歌の束縛から解放されても正常な生活に戻ることは不可能である。
複数の相手を操ることは出来ない。
手に持つ竪琴は身体器官の一種であり、壊れたり失った場合再生しないため、竪琴を失ったサテュロスは大抵の場合すぐに死亡する。
「まだ単体での戦闘能力は低くてよかったですね……っと、ソーン・バインド」
目の前のサテュロスを鑑定したシグレは、先程から自分の方に近づいてきていた謎の生命反応に対し拘束魔法を行使した。
一瞬にして地面から荊が生え、その強靭な荊が犠牲者の体をぐるぐる巻きにして拘束する。
「4、5歳くらいのミノタウロスですか。幼児期とはいえ力は強いですし、サテュロスが魅了するのにもこのくらいが限界ですかね」
「な……!?僕の魅了が効かない!?」
鑑定の範囲内にサテュロスを入れるために近づいていたのが魅了できていると思われたのだろうか、存外に驚いた様子でサテュロスはシグレと距離を取る。
途中に竪琴を取り落としそうになりながらも木の上に立ち、拘束されたミノタウロスに声をなげかけた。
「オージー!助けて!あいつ!僕を君から奪っていくつもりなんだ!」
それを聞いたミノタウロスは荊の棘が刺さる痛みなどものともせずに荊を引きちぎろうとした。
「なんで、なんでオージーがあんな荊一つ引きちぎれないんだ!」
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しかし、荊はビクともしないままであり、シグレはそれを呆然と眺めていたサテュロスを捕縛した。
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