邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百五話 破壊の杖

8章 復活儀式


突き立てられた鋭い牙は流れる赤い血により真紅に染まり、白銀の毛並みは差し込む僅かな太陽の光により頭上に広がる黄昏色の空と同じ色になっていた。

『超極小世界をループさせているのか、どおりで近づけないはずだ』
「今更気づいてももう遅いですよ?」

そして、異形と化したシグレと、もう一人、噛み付くシルが声を張り上げた。

「「破壊の杖ヴァナルガンド!」」

北欧の神話、大戦にて目覚め、全てに遍く破壊と終焉をもたらす破滅の杖。

一人と一匹により全く同時に発動されたそれは、共鳴し、融合し、ただ一つの純然たる力の結晶、破滅の力となってジークフリートに襲いかかる。

一人の叫び、そして一匹の咆哮により産み出された純白の波動が狭き黄昏の世界に瞬く間に広がり、術者以外のあまねく全てを破壊していく。

空間を伝う破壊の奔流がジークフリートの手のひらに触れると、その部分が揺れた・・・

そして、そこに訪れるのは、一切の存在を無に還元する波動の力、ジークフリートでさえ、気を抜けば一瞬で虚無に還されてしまうだろうほどの強さを持った攻撃。
空間が揺れ、存在が不確かになり、歪曲した空間の中で腕が捻り切られる。
絶えず歪曲し、変化し続ける空間の中で全てを防ぐはずの悪龍の加護が、そして身体が、ゆっくりと内部から破壊されていく。
血液は沸騰し、筋肉は断裂し、骨は粒子にまで粉砕される。
あらゆるスキル、そして肉体防御は粉砕され、再発動することすら許されない。
捻れ、ちぎれた肉は皮膚を貫通して外へと逃れ、異形の容貌となっていた。
そして瞬く間にジークフリートの全身にも同じような症状が現れ始める。
再生してもすぐさま破壊され、身体は徐々に粒子、そして虚無へと還元される。
太陽の光注ぐ黄昏時にぐちゃぐちゃに捻れたジークフリートの咆哮が轟き、極小世界に響く。

数十秒間続いた破滅の再演が終わりを告げた時、ジークフリートの身体は見るも無惨になっていた。
筋肉は反転して皮膚を突き破り、関節は歪曲して草食動物のように膝が後ろを向いている。
そして、美丈夫であったその顔からは眼球が抜け落ち、耳が片方消滅していた。
しかし、英雄は剣を手放すことは無く、破壊の杖で自分の腕に半ば呑み込まれようとも、その剣はしっかりと、ジークフリートの手の中にあった。


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これからも努力して参りますので、ご愛読の程よろしくお願いします。

また、昨日投稿ミスがあったことをおわびさせていただきます。

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