邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百三話 打ち克つもの

8章 復活儀式


「グッ……」

立ち上る土煙の中から、ジークフリートの呻き声が聞こえてくる。

「傷口を通じて直接流し込まれた神の呪い。如何に理外のものであろうと、ただで済むはずはない」

「……まさか、あそこで飛び道具・・・・とはな……失念していた」

そう、命中したのは放たれたいくつもの魔法ではなく、投擲された飛び道具スペツナズナイフだったのである。

『体力の魔法で私の気と反応を遅らせ、ギリギリまでナイフを隠してから空間を接続して背中の弱点へと投擲、そしてそれに反応した私のガードが間に合う前に刀身を発射し、そこから神呪を流し込んだか……なるほど、確かに、愚策ではなかったな』
「これでやっと一撃、あと六回は遠いですねぇ……」
『二度同じ轍は踏まんぞ、しっかり対策をさせてもらう』

そう言うとジークフリートは背中の弱点に深々と刺さったスペツナズナイフの刀身を掴み、勢いよく引き抜こうとする。

が、それを抜くことは出来なかった。

『何だと……』

幾度試そうと、黒曜石のように光を反射する黒い刀身をその身体から引き抜くことは適わない。

「無駄です。私の権能によって、それは空間的にも、性質的にも固定されている。貴方が本気で抜こうとすれば抜くことは出来るでしょうが、この状況においてそんなことをしたらどうなるかは、あなたが一番わかっているはずです」

黄金に変えようにも、性質的な固定により情報の書き換えが不可能だから変換することも不可能だし、物理的な力で引き抜くことも不可能。

「そして、抜かなければ神呪はその強さを増し、内側から貴方を貪り喰らう」

従魔と共に剣戟を加速させながらシグレはいたって落ち着いた声音でジークフリートにそう告げた。

『これで戦況は傾いたな。召喚者よ』
「ええ、これで時間が経てば経つ程に向こうは神呪によって身体能力が低下し続け、こちらは守りに徹すれば敵の攻撃を受けることも無い。ただ、呪いに耐性を得たり、解除される可能性は考慮しなければなりませんが」
『なるほど、つまり、戦況は非常に簡単だな』
「私はあと六度傷をつける」
『そして俺は、呪いが解除されるまで待つという事だ』

そう言いながらジークフリートは自分の腰の肉をバルムンクによって抉りとり、血反吐を吐きながらも肉ごとナイフの刀身を自身から外した。
そして、外されたナイフの刀身が地面に落ちると同時に突然シグレの眼前に現れたジークフリートはシグレに大剣を振り下ろすが骨刀に弾かれ、腕輪での反撃とアンデッドの追撃を辛うじて鎧で防ぐ。
神呪による戦闘能力の低下は如実に現れていた。

「まあ、ですよね」
『体内だから普段よりかは時間はかかるがね、それでも解呪にそう時間はかからん』


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