邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二百八十一話 刻神の審判

8章 復活儀式


「悪足掻きを、始めましょうか」

そう言うと、シグレは灰褐色の通路を歩き、何処かへと向かっていく。

クァチル・ウタウスとアルカードがそれに続き、やがて光が見えてくる。

ゆらゆらと頼りなく、今にも消えてしまいそうに揺れる蝋燭の青白い炎に照らされたそこには、書架があった。

精緻に、病的なまでに美しく整理され、数億年以上の時を経たのであろうが劣化していない無数の本。
これまでの灰褐色とは違い、埃も、染みもない黒い広間。
広間を照らす青白い蝋燭を収めた燭台の横にはきぃきぃと軋む音を響かせる安楽椅子があり、やはり劣化など微塵もしていない黒いクッションの上にはいくらかの塵が残っており、その傍らの机には1つの本が置かれている。

「カルナマゴスの誓約の原本ですか」
「そうだ。当然時を戻す力もお前の見た複製とは段違いだが、今なら余裕だろう。ちなみにあれは読んだものの成れの果てだな」

不思議そうな目で2人を見るアルカードに気づいたシグレはアルカードに向き直って説明を始めた。

「ああ、説明をしていませんでしたね。いまから、あなたには数億年の時を遡っていただきます」
「え?」
「具体的には、クァチル様により時を巻き戻すことで呪いのかけられた時間より前に逆行させ、呪いそのものがかけられた事実を消滅させます。当然呪いにも抵抗が_____
「待ってください!それは私への害に該当する。成功するはずがない!」
「ええ、なので、これを使います」

シグレが取り出したのは、先程の刀。出会ったはずであったが、その刀身は赤く、両刃となり、伸びたその姿は槍を想起させた。

「それは……」
「ゲイ・ボルグ。かの大英雄クー・フーリンの置き土産です」
「しかし、それでは……」
「ええ、直ってしまうでしょう。だが、今回に限ればそれでいい・・・・・

すると、シグレが持つ赤い槍に青白いオーラが纏われる。

万象壊絶エンド・パニッシュメント、そして我が権能。あらゆる理を命中しさえすれば壊す必滅の一撃。たとえ改変されてしまうとしても、一瞬だけでも呪いの効果を消せれば、意味はある」
「『命中したという事実を作る』能力があれば、必ず命中はします。あなたの呪いは、命中してから効果を発揮するもの。そして、一瞬だけでも命中すれば、呪いは消える」

「その瞬間に、私が時を戻すという訳だな」
「なので、いまから封印を解きます」
「さすがの私でも、本体で無ければそれほどの時間操作はできんからな」

「は、はは……」

スケールの違う壮大すぎる話に、慣れたと思っていたアルカードは立ち眩みを覚えたのだった。


苦労人やな。アルカードさん。

いいね7000ありがとうございます!!
これからも励みにして努力して参ります!

毎回の誤字報告ありがとうございます。
つきましては、クロシヲからひとつ読者の皆様にお願いがあります。

誤字脱字の報告におきましては、何話に誤字があるのか、というのを明記していただきたいです。

(例)

245話の〇〇は、△△では?

みたいな感じで、誤字脱字の報告の前に、このように何話かの記載をお願いします。
こちら側からでは、「作品にコメントされた」ことが分かるだけで、詳細に何話にコメントされたかはいちいち確認するしかないのです。
ご理解とご協力の程よろしくお願いします。

誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)

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