邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
閑話 毀骸の王子 十四頁
閑章 遥か遠く、あの宙の下で。
お前は誰だ?
その問いかけは無視され、再びどこからか声が響いた。
汝、力を欲するか?
ああ。
答えた。即答である。
拍子抜けしてしまいそうで、あまりにもシンプルな、その問いかけに。
幾星霜の時を経て、それのみを求めて来たのだ。当然と言えば当然である。
汝は力を求めた。
しからば、試練を受けねばならん。
どこからか、そんな声が響いた。
そして、それは目の前にいた。
一見すれば、それは黒い靄である。
目の前に存在するそれはこの空間の中で絶えず収縮し、膨張し、密度を増し、凝縮された「闇」でその体を覆っていた。
悪魔を狩り続けた数億年、それによって昇華した肉体の視力で持ってやっと視認することが出来る極小の粒子がその体の周りに旋回し、小さな球体を作り続けていた。
試練とは、殺すこと。
あらゆるものを、殺す決意と事実。
いいだろう。やってやる。
すぐさま返された答えに、目の前の存在は鷹揚に頷き、満足そうに首肯した。
それでは、汝にはこれを殺してもらう。
目の前のなにかがそう言うと黒い靄が晴れ、ある人間を形作った。
ッ!
思いがけず嗚咽が漏れる。
視界が白熱する。
動くはずのない心臓は際限なく鼓動を加速し、流れるはずのない汗が頬を伝う。
そこに居たのは、柩の少女。
今も彼の横にある柩の中にあの時のまま変わることなく眠っているはずの少女であった。
さあ、殺してみろ。
それこそが汝の決意の象徴にして過去との決別だ。
こちらの状態など関係ないと言わんばかりに少女の姿へと変化した何かはそう告げた。
思考が加速する。
肉体が意思の制御から逸脱し、限界を超越して疾駆する。
幾星霜の時を経て、数万という悪魔を殺すために体得し、最早本能として染み付いたそれが目の前の何かに深々と突き刺さる。
すなわち、見敵必殺。
必ず殺すための戦闘法である。
一瞬にして前腕部から突き出した水晶を鋭利な刃に変貌させ、突き刺した腹をかっさばく。
飛び散る内臓に心が乱されることは無く、彼は淡々と少女を手にかける。
ふむ、合格だ。良いだろう。
ついに少女の首を切り落とした時、何かはそう言った。
このまま去れば汝に力は授けられるであろう。何かはそう告げ、彼は再び光に包まれる。
しかし、躊躇しないのだな。 
何かは、去り際にそう呟いた。
そして彼は、何かをつぶやくまもなく、光に呑まれて消え去った。
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お前は誰だ?
その問いかけは無視され、再びどこからか声が響いた。
汝、力を欲するか?
ああ。
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汝は力を求めた。
しからば、試練を受けねばならん。
どこからか、そんな声が響いた。
そして、それは目の前にいた。
一見すれば、それは黒い靄である。
目の前に存在するそれはこの空間の中で絶えず収縮し、膨張し、密度を増し、凝縮された「闇」でその体を覆っていた。
悪魔を狩り続けた数億年、それによって昇華した肉体の視力で持ってやっと視認することが出来る極小の粒子がその体の周りに旋回し、小さな球体を作り続けていた。
試練とは、殺すこと。
あらゆるものを、殺す決意と事実。
いいだろう。やってやる。
すぐさま返された答えに、目の前の存在は鷹揚に頷き、満足そうに首肯した。
それでは、汝にはこれを殺してもらう。
目の前のなにかがそう言うと黒い靄が晴れ、ある人間を形作った。
ッ!
思いがけず嗚咽が漏れる。
視界が白熱する。
動くはずのない心臓は際限なく鼓動を加速し、流れるはずのない汗が頬を伝う。
そこに居たのは、柩の少女。
今も彼の横にある柩の中にあの時のまま変わることなく眠っているはずの少女であった。
さあ、殺してみろ。
それこそが汝の決意の象徴にして過去との決別だ。
こちらの状態など関係ないと言わんばかりに少女の姿へと変化した何かはそう告げた。
思考が加速する。
肉体が意思の制御から逸脱し、限界を超越して疾駆する。
幾星霜の時を経て、数万という悪魔を殺すために体得し、最早本能として染み付いたそれが目の前の何かに深々と突き刺さる。
すなわち、見敵必殺。
必ず殺すための戦闘法である。
一瞬にして前腕部から突き出した水晶を鋭利な刃に変貌させ、突き刺した腹をかっさばく。
飛び散る内臓に心が乱されることは無く、彼は淡々と少女を手にかける。
ふむ、合格だ。良いだろう。
ついに少女の首を切り落とした時、何かはそう言った。
このまま去れば汝に力は授けられるであろう。何かはそう告げ、彼は再び光に包まれる。
しかし、躊躇しないのだな。 
何かは、去り際にそう呟いた。
そして彼は、何かをつぶやくまもなく、光に呑まれて消え去った。
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