邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

閑話 毀骸の王子 九頁

閑章 遥か遠く、あの宙の下で。


そして、その後は先程語った通り、何かは少女を壊し、柩に納めたあと、王子様の元へと近づき、水晶の檻を一部分だけ壊し、王子様の頭を露出させました。

「君には、いままでの奇跡の分の罰を受けてもらおう」
「彼女を……解放しろ」
「は?何を言っているんだ。君は」
「彼女を、解放しろと言っている!」

王子様は水晶から脱しようともがきますが、水晶と腕の間には隙間などなく、徒労に終わってしまいました。
その様を見ていた何かは、ため息をつくとやれやれとでも言うように頭を振り、唐突に王子様を殴りつけました。

「君、いま自分がどんな状況に置かれてるかわかってる?」
何かはそのまま感情のない瞳を王子様に向け、その顔を殴り続けます。
「これだから王族ってものは嫌いなんだ。世界を知らないから、なにか言えばそれが通ると思ってる」
「なにを……」
「だってそうじゃないか、今の状況を考えてご覧?君の愛する人は一撃で殺せるし、君だってやろうと思えば殺せる。そんな状況で何故君は怒鳴り散らす?それで相手が解放してくれるとでも思ってるの?」
「そんなことはどうでもいい、彼女を元に戻せ!」
「無理だよ。ああなったら誰にも治せない。勿論、僕にもね」
「あ、あぁ……」

軽々と告げられたその事実は、王子様の精神を刈り取る死神の鎌となって深く突き刺さりました。

「おっと、君には発狂させないよ。そんなことは許さない。彼女の代金は、君に払ってもらうんだから」

「というわけで、このまま君を殴り続けるとしよう。何せ君は吸血鬼だ・・・・。しかも真祖、死ぬことは無い」

「は……?きゅうけつ……吸血鬼……だと?」

「ああ、知らないのか。よっぽどお姉さん達が巧妙に隠したんだね。君、一度死んでるんだよ」

「え」

告げられた事実に頭がパンクしそうになる。
情報量が多すぎる。
吸血鬼?真祖?死んだ?
何を言っているんだ。
死んだはずがない、その証拠に今も僕は生きて……

その瞬間、王子様の脳裏に、壊れたビデオのように儚く、しかし確実にある映像が思い起こされました。

美しい草原の中で走り回っている……
でも、石に転んでしまう……
空が回転する。だんだんと地面が近づいてくる……
そして、黒百合に着地して……
目の前には、ボロボロになった幼少期の自分がいた。
首が折れて、腿から骨が突き出した死体の自分が。
俯瞰するように眺める自分はなんなのか、そう考えていると、自分の体が、時が巻き戻ったように治り始めた。
黒百合は、消えていた。


従魔スキル紹介
傍観者ゲイザー
あらゆる瞳に起因するスキルを使用可能
瞳に起因するスキルの判定失敗無効

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