邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二百四十八話 撤退:Evacuate

7章 あゝ神よ


「気づかれたか!?」
「いえ!そのような気配はないです!あれは、もっと別のものに反応している!」
『なんで何で!?』
『ええい黙れクトゥルフ!!いま探っている!早急にここから退避しろ!』
「言われなく……ともっ!」

クリードの咆哮は巨大な音の濁流となって二人に襲いかかり、二人の鼓膜を破り、その体を吹き飛ばした。

「音が聞こえねぇ……」
「私もです」

二人とも鼓膜が破れたため、現在は念話で会話している状態である。

「鼓膜を回復させたいですが、とりあえず逃げてからにしましょう!」

ようやく咆哮が収まったと思うと、クリードは歩みを止めてその場で地団駄を踏み始める。
なにか一点を集中的に踏み潰すかのように念入りに、何百回も何かを足でふみつける。

「何やってんだありゃ」
「見てみますか」

何かを夢中で踏みつけ続けるクリードから全力で逃亡するシグレとクーフーリンはクリードの奇怪な行動に疑問を覚え、シグレは千里眼でクリードが延々と踏みつけているそれを確認する。

「なんだ……?石材。それもかなり苔むしている…………?なにやら欠片に彫刻のようなものがありますね……」

それをシグレの背中の上で聞いていたクーフーリンがはっと頭を上げて話し出す。

「成程!奴らの狙いがわかったぞ!」
「なんです?」
神殿・・だ!やつら、神共の神殿や各地の社を狙ってやがる!」
「だから創造神ダグザ光神ルーも、師匠も簡単にやられたのか」
『成程、神とは、信仰からなるものだ。もちろん我々のような例外はいるが、殆どの神は信仰がなくては生存すらできん。そしてその信仰の源とは……』
「人、というか人の作った神殿なんかですかね?」
『そうだ。正確には人の願い、祈り、そういったものやそれの具現たるものだな』
「ダグザは創造神でありながら人々の神、であれば人や神殿を壊せばダグザの力は弱くなる。今頃この森周辺の神殿や社はひとつ残さず破壊されてるだろうな。弱体化してるから、ダグザもルーも簡単に取り込まれたんだろう」
「とりあえずクリードが夢中になってる今のうちに逃げますよ!」

黒い鳥が、黒く染まった森の上空を滑るように飛んでいた。


誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)

いいね、フォローもお願いします

Twitterのフォローもお願いします
(IDは@87lnRyPJncjxbEpです。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品