第三十八話狼の長

3章イベントとその先

「ふむ、お主らが我々に料理を振舞ってくれるのか？」

二人はこれまでの狼が吠えているようにしか聞こえなかったのに対し、普通の日本語に聞こえたことに困惑しているようだ。

「ええ」

そう答えながらステータスを覗く。

フェンリル Lv.800

状態:衰弱　神呪

神の天敵にして霊峰の管理者、神を喰らったことにより神格を持っている

スキル
神討の魔狼フェンリル破壊の杖ヴァナルガンド復讐者アヴェンジャー破滅の咆哮ルインズロア神殺
威圧眷属生成変幻自在真偽判定激怒
全魔法全魔法耐性拘束耐性物理耐性

圧倒的である。
戦う気すら起きないほどの力量の差、どんなに小細工を、策を弄しても純粋な力でそれを蹂躙できるであろう暴力の化身が、シグレの目の前に佇んでいた。

『なんでこんなところにいるんだ…わからない』

「あまり覗かないでおくれ、ああ、料理はそこの広場で頼む」

鑑定を察知する術でもあるのか、鑑定した瞬間に警告を発してきた。ここで逆らうのは悪手だろう。
シグレはそう考えて素直に鑑定をやめた。

「なんで神殺しの魔狼様はこんなところでウルフの長をやっているのですか？」

「私がどこにいようと自由だろう？それに、もう寿命もないしね」

十中八九状態異常デバフの神呪だろう。詳細はもはや何も言えないほどである。

神呪

神の呪い
この世の不浄を滅し、清浄へと導く

不浄なるものの能力と寿命を消滅させる

「本来なら一瞬で消え去るところだが訳あってこれに抵抗し今も生きている。少しづつでも呪いは進んでいるためそろそろ私は消滅するだろう」

「さあ、私のことはいいんだ。早くあの子たちに何か食べさせてあげておくれ」

その日は遅くまで皐月たちと料理をし、フェンリルはじっと動かずにそれを見ていた

ー狼の宴をクリアしましたー

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