邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二話 そのモノとの邂逅

1章 始まりと邪神


「いらっしゃい!」

どこかに転移したのか、一瞬の間の後にはあの純白の空間は視界から消え失せ、目の前には黒い石材で作られた神殿のような何かと、そこに漂う不気味な照明のみだった。

この神殿は水中にあるのか所々水が見えている。

そして、声をかけてきた何かの方へとシグレは振り返り、質問を投げかける。

「こんにちは、ところでここはどこでしょうか?始まりの街ではなさそうですが。あと、あなたはなんですか?」

シグレが声をかけたのは、タコの頭にイカの触腕が生えていて、背中に蝙蝠コウモリのようなぬめりのある翼を持ち、その全てが黒く染まっているナニカ。

そう。まるで神話に出てくるような、冒涜的なものの象徴。敬うべき深淵の邪神。ルルイエにて夢を見る古代の神格のようなものだった。

「へえ、驚かないってことは僕のことを知っているんだね?」

「ええ、私の記憶と予想が合っていればあなたは旧支配者グレート・オールド・ワンである蛸邪神クトゥルフ様で、ここは貴方の封印されているルルイエのはずなんですが」

「その通り!最近僕のこと知ってる人少ないから嬉しいよ!」

「何故私をここに?まぁ、だいたい分かりますが」

ゲームは始まりの街からのはずであった。
シグレがここにいるということは、眼前の邪神がシグレをここに呼んだことに他ならない

「封印を解いてもらうためさ。そのための力も与えよう」

「力というと何を?」

「まずはこれだよ」

そう言うとクトゥルフ様は封印された身でありながら器用に触手を操り、どこからか首飾りと指輪を取り出し、差し出してくる。

それを受け取ろうとすると、いきなり斥力のようなものが発生し、盛大に吹き飛ばされ、部屋の中の水たまりに飛び込んでしまった。

「あぁ、ごめん、さきにこれをあげなきゃダメだった」

ー「シグレ」が称号《蛸邪神の寵愛》を取得しましたー

とアナウンスが流れた。

「これは?」

「この称号でさっきのやつを装備できるようになるんだよ。他にも効果あるけどね。」

「鑑定」

《蛸邪神の寵愛》
???

「鑑定じゃ見えないよ。ついでだから鑑定も強化してあげよう。」

ースキル「鑑定」が「異界の神眼」に変化しましたー

「はい、これで見れるよ。」

《蛸邪神の寵愛》

クトゥルフから寵愛を受けたものの印
「水操作」の取得
「蛸邪神の加護」の取得

【蛸邪神の首飾り】☆X 
装備制限《蛸邪神の寵愛》の所持

クトゥルフの装飾がほどこされた首飾り。
INT5倍上昇 POW5倍上昇(蛸邪神との契約の所持)
封印状態であるためステータス上昇は無効

深淵からの軍勢深きものどもの取得

【蛸邪神の指輪】☆X 
装備制限《蛸邪神の寵愛》の所持

黒い石が嵌っている指輪
STR3倍 DEX2倍(蛸邪神との契約の所持)
封印状態にあるためステータスの上昇は無効

万能変化メタモルフォーゼ 
所有者がイメージした武器に姿を変える。攻撃力は武器によって変わる。矢などは魔力で補充可能。

念話 クトゥルフとの念話が可能となる。

五感共有 クトゥルフと感覚を同調させられる(同調させる感覚は選択可能)

なにこれすごい。
詳細を見るともはや空いた口が塞がらなくなっていた。

水操作Lv.1 
付近の水をどんな量でも操作可能
操作する水の量によって消費MP変動

蛸邪神の加護 
身体変性。
肉体の一部を神格へと作り替える。

異界の神眼 全てのアイテム、モンスター、スキル、称号、プレイヤーを鑑定可能(隠蔽無効)

鑑定を無言で発動可能

マップを閲覧可能

眼を使う魔術を使えるようになる

深淵からの軍勢深きものども 
深きものどもの大軍を召喚可能

「魔術もあげるねー」

ースキル 「深淵魔術」を取得しましたー

深淵魔術 

使用可能魔術一覧

治癒  対象HP回復

邪眼 ランダムに状態異常を付与

霊体の刀 INT×10のダメージの刀を射出する

「これくらいで十分かな?」

「いえ、むしろ貰いすぎですよ。」

「じゃあ僕の復活に協力してくれる?」

「ええ」

ー《蛸邪神クトゥルフとの契約(仮)》を取得しましたー
ーワールドクエスト『蛸邪神の復活』を受託しましたー

『混沌の第一試練 蛸邪神クトゥルフの復活』

成功条件 クトゥルフの封印解除

失敗条件 ???

報酬 死霊秘法ネクロノミコン クトゥルフとの契約

何かを思い出したかのようにシグレは振り返り、クトゥルフに質問を投げかける。

「今から天使召喚しますけど大丈夫ですか?」

「もちろん大丈夫だよー、というか、干渉していい?」

「干渉とは?」

「生まれてくる天使の属性を反転させて堕天使にする」

「デメリットは?」

「無い、高位の堕天使なら天使と堕天使両方に強いからやった方がいいよ」

どうやら堕天使は強いようである。そうとなればやらない道理はない。

「お願いします」

「分かったよ、じゃあ始めて」

「天使召喚」

黒一色だった床に真っ白な光が魔法陣を描いた。クトゥルフ様が干渉を開始したのか魔方陣か次第に黒へと変わっていく。
やがて完全に黒になった時、黒い光が溢れ、収まったあとには一人の堕天使がいた。

美しい金の髪に、綺麗な顔、そして二対の漆黒の翼を持った少女が、シグレをその両の眼で見つめていた。

「あなたの名前は……そうですね。
『フィー』です。これからよろしくお願いしますね?」

堕天使の少女は静かに頷くと、シグレの異空間へと消えていった。

ー堕天使「フィー」が配下に加わりました!ー

名前:フィー
種族:堕天使    Lv.1

スキル
堕天使の威光 聖属性 邪属性 
聖魔法 邪魔法 
剣術 槍術 弓術

堕天使の威光 自分より位階の低い敵対している天使、堕天使のステータスダウン。

聖属性との邪属性は両者に与えるダメージが増え、受けるダメージも増えるようである。

「さて、そろそろいきましょうか。」

「始まりの街に行く?」

「はい、お願いします」

「了解、ここにはいつでも来れるようにしとくね」

「じゃあ、行ってらっしゃい」

こうして、シグレの体は再び光に包まれた。


第二話、クトゥルフとの邂逅と装備確認回です。

AMOではアクセサリーなどにスキルが付与されていることがあります。例えば火属性なら、火属性のスキルを取得できます。ただし殆どのものには(装備時のみ)というか制限があります。それがないのは一部のもののみ、 しかもシグレが貰ったのはユニークより強い加護スキル付与のアクセ、つまりシグレが貰ったのは正真正銘の超絶レアでチートな装備なのです。

深淵魔術に消費MP軽減の効果はありません。これは、深淵魔術がこの世界のスキル、魔法ではないという設定のためです。

聖属性や暗黒属性は光と闇属性の上位属性です。

従魔のスキルにレベルはありません。プレイヤーより威力や効果が小さいですがそのスキルに関連する行動(魔法や武技)(武技については後述)を使えます。

武技 武器スキルを上げると使えるようになります。これを使うとシステムアシストが発生するため剣術をやったことがない人でも剣を扱えます。ただ、そこからPSプレイヤースキルでブーストすることもできます。

加護スキルは前にも書いた通り神から授けられたスキル(現状だと異界の神眼、クトゥルフの加護、深淵からの軍勢深きものどもの三種類)でこれらも深淵魔術と同じく消費MP軽減の効果を受けません。

誤字脱字や間違いなどあればコメントにてご指摘お願いします。
読んでいただきありがとうございます。

コメント

  • ノベルバユーザー274031

    邪神の干渉について推理したりスキルの変化へ驚きとかもっと多くても良くない?と思いました。シグレくんの胆力が強すぎる。

    1
  • 幕路

    む、御大は話しかけてきますか。
    御大を認識したシグレさんが発狂しないということは、なんらかの裏事情があるか、作者様がこの小説がクトゥルフ神話に染まりきることを避けているのでしょうか…

    1
  • レイ・ブラドル・ドラニス

    誤字報告
    聖属性と邪属性は
    そう言えば長くなるので修正後……だと思うのだけ書きます

    1
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