晩酌と幽霊
晩酌と幽霊
俺の名前は北口祐介。都内のIT企業で働いており、今年で28歳で、メガネをかけたいかにもサラリーマン風の容貌をしている。
最近、俺がはまっているものが一つある。
――それは、晩酌だ。俺は、仕事終わり一人暮らし用の部屋で酒を飲むのに最近ハマっている。
仕事というのはストレスが溜まるもんだ。
嫌な上司、無茶な要求をしてくるクライアント、延期できない納期など仕事というのはストレスばっかりで嫌なことが多い。
ストレスが溜まった時には、
適度にお酒を嗜み、そして『ある人』と話しながらお酒を飲むのが今の楽しみである。
「ただいまー!」
「おかえりなさい。」
帰宅すると、『その人』は機嫌よく出迎えてくれた。
「今日も遅かったね。」
「まぁな。残業していてな。」
彼女の名前は、井上美夏。三年前まで、この部屋に住んで『いた』。
――この女性は、幽霊なのである。彼女の身体は若干透けて見える。肌の色も生気を感じさせないくらいには青白い。
見た目は長い黒髪で、若々しい美しい顔立ちをしている。
以前、生前の亡くなった記憶を聞いてみたのだが、本人曰く覚えていないのだそう。
「今日もお酒飲むの?」
「まぁな。」
「北口さん、本当飲むの好きだねぇ。」
「それくらいしか楽しみがないからな......」
俺はグラスに氷を入れ、『ニッカ夜市10年』と呼ばれるウィスキーをグラスに注いだ。
基本、俺はウィスキーはロックで割って飲むことが多い。
そして、俺はウィスキーを喉へと流し込んだ。
すると、まったりとしたクリームのような味がした全体へと広がった。ニッカ夜市10年は、他のウィスキーと比べて、とてもあっさりとしていて、初心者でも飲みやすいことに定評がある。
一杯目を飲み終えると、再度グラスにウィスキー注ぎ飲み始めた。
「いやぁ、北口さん、いい飲みっぷりだねぇ。私も飲みたくなっちゃった」
「お前も飲めよ。」
冗談交じりに美夏にグラスをつき出した。
「やだなぁ。幽霊の私が飲めないことくらい知ってるじゃん」
「まぁな」
幽霊である美夏は特に飲食ということをしなくてもいいらしい。
美夏と出会ったのは、1ヶ月ほど前。
俺が仕事のせいでストレスマッハだった日。
その夜俺は自宅で泥酔するまで、飲もうと考えていた。
生ビールをたくさん流し込み、倒れるんじゃないかと思いつつ、まだ酒を飲もうと、洗練された辛口のビールとして定評のある『アサヒスーパードライ』の缶を開けた時、突然、自分以外誰もいないはずの部屋から声が聞こえてきた。
「だめだよ。そんなに飲んだら。倒れちゃうよ」
「だれだ!?」
あたりを見渡しても誰もいなかった。その時の俺は、酒を飲みすぎて幻聴が聞こえたんだろうと思っていた。
「後ろだよ後ろ」
「後ろ? わ!」
振り向くと、後ろには綺麗な女性が立っていた。だが、普通の人間と違い、身体が透けている。
「お、お前? 何者だ?」
「私は井上美夏。多分、この部屋で亡くなった幽霊かな?」
「幽霊だと? 確かに身体も透けてるが......何で亡くなったんだ?」
「それが、思い出せないの......」
「そうか。なんで突然俺の前に出てきたんだ?」
「突然も何も、この部屋に来た時から、ずっと話しかけてたんだけど。今日やっと私の存在に気づいてくれたんだよ。」
「え、本当か?」
「うん」
その話が、本当なら俺は酒をたくさん酒を飲んだことで霊感が目覚めたってことか。
「なんで、そんなにお酒飲んでるの?」
「仕事で嫌なことがあってだな......」
「よかったら、聞いてあげるよ」
美夏が艶っぽく微笑んだ。
「ほ、本当か! うちのくそ上司がな......」
それ以降、俺は適度に酒を飲み、美夏と話すようになった。
「ってな訳で、納期前でみんなピリピリしてるんだよな」
「そっか、大変なんだねぇ。」
今日も美夏に仕事の愚痴を聞いてもらっている。美夏は興味深そうに毎回俺の話を聞いてくれる。こういっちゃなんだが、とてもいい子だ。
「ところで、美夏の生前の記憶はまだ思い出せないのか?」
「うん......でも、もう思い出せなくてもいいや。北口さんと話せて今がとても楽しいし!」
「そ、そうか。」
俺はウィスキー残りのウィスキーをグラスに注いだ。今日の最後の一杯になるだろう。
「これ飲んだら寝るの?」
「ああ、明日も早いからな。」
「それじゃ、乾杯しよう!」
「まじ? まぁ、いいけど。」
「素晴らしい明日に向かって乾杯!」
「か、乾杯!」
ぐっと、残りのウィスキーを流し込んだ。さて、明日も仕事頑張るか。
最近、俺がはまっているものが一つある。
――それは、晩酌だ。俺は、仕事終わり一人暮らし用の部屋で酒を飲むのに最近ハマっている。
仕事というのはストレスが溜まるもんだ。
嫌な上司、無茶な要求をしてくるクライアント、延期できない納期など仕事というのはストレスばっかりで嫌なことが多い。
ストレスが溜まった時には、
適度にお酒を嗜み、そして『ある人』と話しながらお酒を飲むのが今の楽しみである。
「ただいまー!」
「おかえりなさい。」
帰宅すると、『その人』は機嫌よく出迎えてくれた。
「今日も遅かったね。」
「まぁな。残業していてな。」
彼女の名前は、井上美夏。三年前まで、この部屋に住んで『いた』。
――この女性は、幽霊なのである。彼女の身体は若干透けて見える。肌の色も生気を感じさせないくらいには青白い。
見た目は長い黒髪で、若々しい美しい顔立ちをしている。
以前、生前の亡くなった記憶を聞いてみたのだが、本人曰く覚えていないのだそう。
「今日もお酒飲むの?」
「まぁな。」
「北口さん、本当飲むの好きだねぇ。」
「それくらいしか楽しみがないからな......」
俺はグラスに氷を入れ、『ニッカ夜市10年』と呼ばれるウィスキーをグラスに注いだ。
基本、俺はウィスキーはロックで割って飲むことが多い。
そして、俺はウィスキーを喉へと流し込んだ。
すると、まったりとしたクリームのような味がした全体へと広がった。ニッカ夜市10年は、他のウィスキーと比べて、とてもあっさりとしていて、初心者でも飲みやすいことに定評がある。
一杯目を飲み終えると、再度グラスにウィスキー注ぎ飲み始めた。
「いやぁ、北口さん、いい飲みっぷりだねぇ。私も飲みたくなっちゃった」
「お前も飲めよ。」
冗談交じりに美夏にグラスをつき出した。
「やだなぁ。幽霊の私が飲めないことくらい知ってるじゃん」
「まぁな」
幽霊である美夏は特に飲食ということをしなくてもいいらしい。
美夏と出会ったのは、1ヶ月ほど前。
俺が仕事のせいでストレスマッハだった日。
その夜俺は自宅で泥酔するまで、飲もうと考えていた。
生ビールをたくさん流し込み、倒れるんじゃないかと思いつつ、まだ酒を飲もうと、洗練された辛口のビールとして定評のある『アサヒスーパードライ』の缶を開けた時、突然、自分以外誰もいないはずの部屋から声が聞こえてきた。
「だめだよ。そんなに飲んだら。倒れちゃうよ」
「だれだ!?」
あたりを見渡しても誰もいなかった。その時の俺は、酒を飲みすぎて幻聴が聞こえたんだろうと思っていた。
「後ろだよ後ろ」
「後ろ? わ!」
振り向くと、後ろには綺麗な女性が立っていた。だが、普通の人間と違い、身体が透けている。
「お、お前? 何者だ?」
「私は井上美夏。多分、この部屋で亡くなった幽霊かな?」
「幽霊だと? 確かに身体も透けてるが......何で亡くなったんだ?」
「それが、思い出せないの......」
「そうか。なんで突然俺の前に出てきたんだ?」
「突然も何も、この部屋に来た時から、ずっと話しかけてたんだけど。今日やっと私の存在に気づいてくれたんだよ。」
「え、本当か?」
「うん」
その話が、本当なら俺は酒をたくさん酒を飲んだことで霊感が目覚めたってことか。
「なんで、そんなにお酒飲んでるの?」
「仕事で嫌なことがあってだな......」
「よかったら、聞いてあげるよ」
美夏が艶っぽく微笑んだ。
「ほ、本当か! うちのくそ上司がな......」
それ以降、俺は適度に酒を飲み、美夏と話すようになった。
「ってな訳で、納期前でみんなピリピリしてるんだよな」
「そっか、大変なんだねぇ。」
今日も美夏に仕事の愚痴を聞いてもらっている。美夏は興味深そうに毎回俺の話を聞いてくれる。こういっちゃなんだが、とてもいい子だ。
「ところで、美夏の生前の記憶はまだ思い出せないのか?」
「うん......でも、もう思い出せなくてもいいや。北口さんと話せて今がとても楽しいし!」
「そ、そうか。」
俺はウィスキー残りのウィスキーをグラスに注いだ。今日の最後の一杯になるだろう。
「これ飲んだら寝るの?」
「ああ、明日も早いからな。」
「それじゃ、乾杯しよう!」
「まじ? まぁ、いいけど。」
「素晴らしい明日に向かって乾杯!」
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