人類がアップデートされるなかで俺は取り残されました
生徒VS先生
「一限目の授業だが......みんな体育着に着替えてグラウンドに集合してくれ。」
先生にそう言われ、俺を含めクラスの生徒たちは体育着に着替えて、グラウンドに移動した。
グラウンドでは、先生が鉢巻と眼鏡を身に付け、仁王立ちで待ち構えていた。
結構この人眼鏡、似合うな。
「君たちや私が聞いている体育着はな、アビリティによる攻撃のダメージを抑えてくれる優れものなんだ。
そこで、今日の一限目は体育と称し、君たちVS私だ。」
クラスのみんなはざわざわしだした。
当然だろう。いきなりNATUROのような展開が始まりそうなのだから。
「心配するな。手加減はするから。だが、君たちは本気でかかってこい。この鉢巻をとれば、君たちの勝ちだ。」
クラスの人たちは誰も動く気配がない。
そんな中、一人の生徒がゆっくりと近づいていった。
あれは、音を具体化させるアビリティを持つ生徒の宮口辰博だ。
「ほう、君から向かってくるかね。アビリティ力は342か。中々だな。どっからでもかかってきなさい。」
アビリティ力ってなんだ。戦闘力みたいなもんか。
それにしてもあの眼鏡はそのためにかけたのか。
「いくぜ! 水!」
水という文字が、本物の水で具体化され、先生に向かっていった。
あれを食らえば、先生が水浸しになるだろう。あんまり対したダメージにならないきがするが。
「遅いな。」
先生は目でやっと追える速さで宮口の後ろに回り込み、首に手刀を入れた。
「ぐはぁ!」
宮口は気を失い、そして倒れた。
「私のアビリティは肉体強化だ。戦闘と配達に持ってこいの能力だろ?」
ドヤ顔で先生がそう言うが、ぶっちゃけ、教師向けのアビリティではないよな。
「さぁ、どんどんかかってきなさい。大勢でかかってきても良いぞ。」
みんな固まって動かない。そりゃそうだ。あっさり、宮口が倒されたのだから。
すると、今度は氷花さんが先生に接近した。まさか、氷花さんやる気なのか?
「アビリティ力は503か。すごいな君は。高校一年生でこんなアビリティ力の人はそうそういないだろう。」
「先生、遠慮なく戦わせていただきます。」
透き通った声で、氷花さんが宣戦布告した。
「グラベルオブ・アイス!」
氷花さんが技名のようなものを叫ぶと、氷花さんの掌からツララが発生し、先生に向かっていった。
しかし、先生はこれを高速移動で避けた。
「中々、速い攻撃だな。しかし、私には通用しないぞ!」
先生はとても楽しそうである。他の生徒はレベルの高い戦いに立ち尽くすのみだった。
先生がものすごい速さでツララを避けてる途中、もう一人、生徒が参戦した。
早くてよく見えないがあれは白鳥だ。
先生とほぼ同じ速さで移動し、先生の鉢巻を取ろうと試みた。しかし、先生をこれを防ぎ、白鳥に足を引っ掛けて転ばせた。
「いたた......」
「君のアビリティ力は605か。とんでもない数値だな。それにしても、私とほとんど同じ速さで動くことができるなんて、君のアビリティ力について嘘を言っていたのか?」
「いえいえ、嘘なんかじゃありませんよ。僕の能力は時間を遅めるアビリティ。時間を遅めることによって自分の行動、思考もそれに応じて引き延ばすことができるんです。だから、高速移動とは似て非なるものですね。」
「つまり、仮面ライダーカブトのクロックアップとファイズのアクセルフォームの違いという感じか。」
「すみません、例えがよく分からないです。とにかく僕は先生と同じくらいのスピードで動くことができるんです。それじゃ、行きますよ!」
しばらくは白鳥と先生の高速対決が続いた。
結構良い勝負に見えるが、先生は鉢巻を取られないようにうまく防御している。
しかも、気のせいかさっきよりも早くなっているように見える。
疲れたのか、白鳥はアビリティを解除した。ハァアハァと息を切らしている。
「うーん。中々、鉢巻奪えないなぁ。」
すると、氷花さんが白鳥に話しかけた。
「白鳥くん、今度は私が相手をする。休んでて。」
「ええー! 協力して戦おうよ。その方が絶対勝てるよ。」
「あなたと私の能力は相性が悪い。先生の攻撃があなたに当たる可能性があるの。」
「いや、大丈夫だよ。気にしないで攻撃してよ!」
「いや、さすがにそんなわけには。」
二人のやりとりをみて、先生がイライラした様子になった。
「早くかかってきなさい!」
俺は二人の戦いを見て、参戦したい気持ちに駆られた。
よし、俺も戦おう。
「すまない、二人ともちょっといいか。」
二人に会話に割り込んだ。
「えーと、確か石橋君だっけ?」
「ああ。」
すると、氷花さんは気だるそうな声でこう言った。
「何?」
どうやら俺にはあまり興味がないらしい。当然か、アビリティを持っていないのだから。
「作戦があるんだ。聞いてくれるか?」
「作戦?」
白鳥は興味を持ってくれたようだった。
「ああ。」
俺は二人に自分の作戦を説明した。
ちなみに先生はと言うと、戦おうとしない、他の生徒に痺れを切らし、先生自ら襲いかかっていった。
他の生徒はなすすべもなく倒された。
「なるほど。石橋くんの話が本当ならやってみる価値はあるか。氷花さん協力してくれる?」
「ええ。構わないわ。」
「それじゃ、作戦実行しよう。」
先生が微笑みかけた。
「ようやく、作戦が決まったようだな。それにしても、石橋君。私は今までアビリティが使えない生徒にあったことは何度かあるのだが、数値は決まって0なのに君の数値はなぜか測定できない。何か隠してるのかな?」
「別に隠してませんよ。」
そう、隠してはいない。話していないだけだ。俺は確かにアビリティを使うことはできない。
「それじゃ、行こうか!」
白鳥君は作成開始の合図を送った。
「アイススピアー!」
氷花さんは空中からツララを発生させた。
しかし、狙ったのは先生ではなく、自分たちと先生のいる半径十メートル程度に円を描くように連続してツララを落としていった。
「なるほど......これで移動範囲を狭めようってわけか。考えたな。」
あのツララが頭に当たればただ事ではない。
「それじゃ、行きますよ!」
限定された範囲の中で、先生と白鳥は戦った。
俺は二人の動きを目で追った。
俺にも役割がある。何とかして役目を果たせなければ。
そして、うまく白鳥が先生を俺の目の前まで誘導した。
よし、チャンスだ。
俺は先生にしがみついた。女性にしがみつくにはさすがに抵抗があったが、まぁ許してくれるだろう。
「くっ! なるほど、先生にしがみついてスピードを抑えようってことか。だが、君くらいの重さは肉体強化がアビリティの私にとって、どうってことない!」
先生は俺を背負いながら高速移動しようと試みた。
残念ながら、そういう作戦ではない。
「な、なぜアビリティが出せない?」
「隙あり!」
目にも止まらぬ速さで白鳥が鉢巻を奪い去った。
「やった! 俺たちの勝ちだ!」
白鳥がハイテンションで喜んでいる。
「ああ、疲れた。」
氷花さんはそういいながらも微笑んでいる。
「二人とも、俺の作戦に乗ってくれてありがとう。」
「先生の負けだ。それにしても、アビリティが出せないのは君の力か?」
「ええ。病院の先生に君に体は超能力を受け付けない体で、自分に触れている人間すらアビリティを使うことができなくする力があるって言われたんです。」
「なるほど、それはある意味アビリティより恐ろしい力だな。」
「いいえ、役に立ちませんよ。こんな力。」
そう、全く役に立たない。この力のせいで俺は父親から軽蔑されたようなもんだ。
「いや、役に立つときは必ずくる。それじゃ、教室に戻るぞ。みんなを起こしておいてくれ。」
この人、倒れてる生徒を俺たちに丸投げしやがった。
「先生一ついいですか。」
「何だ?」
「先生のアビリティ力いくつなんですか?」
「私のアビリティ力は53万です。」
「ええー! 本当ですか?」
氷花さんが驚いた。いくらなんでも嘘に決まってるだろ。
「冗談だ。いつか教えてやる。」
先生は教室に戻った。
全く、この学校は白鳥といい、氷花さんといいとんでもない奴ばかりだな。
とりあえず俺は寝言を唱えている宮口を起こすことにした。
先生にそう言われ、俺を含めクラスの生徒たちは体育着に着替えて、グラウンドに移動した。
グラウンドでは、先生が鉢巻と眼鏡を身に付け、仁王立ちで待ち構えていた。
結構この人眼鏡、似合うな。
「君たちや私が聞いている体育着はな、アビリティによる攻撃のダメージを抑えてくれる優れものなんだ。
そこで、今日の一限目は体育と称し、君たちVS私だ。」
クラスのみんなはざわざわしだした。
当然だろう。いきなりNATUROのような展開が始まりそうなのだから。
「心配するな。手加減はするから。だが、君たちは本気でかかってこい。この鉢巻をとれば、君たちの勝ちだ。」
クラスの人たちは誰も動く気配がない。
そんな中、一人の生徒がゆっくりと近づいていった。
あれは、音を具体化させるアビリティを持つ生徒の宮口辰博だ。
「ほう、君から向かってくるかね。アビリティ力は342か。中々だな。どっからでもかかってきなさい。」
アビリティ力ってなんだ。戦闘力みたいなもんか。
それにしてもあの眼鏡はそのためにかけたのか。
「いくぜ! 水!」
水という文字が、本物の水で具体化され、先生に向かっていった。
あれを食らえば、先生が水浸しになるだろう。あんまり対したダメージにならないきがするが。
「遅いな。」
先生は目でやっと追える速さで宮口の後ろに回り込み、首に手刀を入れた。
「ぐはぁ!」
宮口は気を失い、そして倒れた。
「私のアビリティは肉体強化だ。戦闘と配達に持ってこいの能力だろ?」
ドヤ顔で先生がそう言うが、ぶっちゃけ、教師向けのアビリティではないよな。
「さぁ、どんどんかかってきなさい。大勢でかかってきても良いぞ。」
みんな固まって動かない。そりゃそうだ。あっさり、宮口が倒されたのだから。
すると、今度は氷花さんが先生に接近した。まさか、氷花さんやる気なのか?
「アビリティ力は503か。すごいな君は。高校一年生でこんなアビリティ力の人はそうそういないだろう。」
「先生、遠慮なく戦わせていただきます。」
透き通った声で、氷花さんが宣戦布告した。
「グラベルオブ・アイス!」
氷花さんが技名のようなものを叫ぶと、氷花さんの掌からツララが発生し、先生に向かっていった。
しかし、先生はこれを高速移動で避けた。
「中々、速い攻撃だな。しかし、私には通用しないぞ!」
先生はとても楽しそうである。他の生徒はレベルの高い戦いに立ち尽くすのみだった。
先生がものすごい速さでツララを避けてる途中、もう一人、生徒が参戦した。
早くてよく見えないがあれは白鳥だ。
先生とほぼ同じ速さで移動し、先生の鉢巻を取ろうと試みた。しかし、先生をこれを防ぎ、白鳥に足を引っ掛けて転ばせた。
「いたた......」
「君のアビリティ力は605か。とんでもない数値だな。それにしても、私とほとんど同じ速さで動くことができるなんて、君のアビリティ力について嘘を言っていたのか?」
「いえいえ、嘘なんかじゃありませんよ。僕の能力は時間を遅めるアビリティ。時間を遅めることによって自分の行動、思考もそれに応じて引き延ばすことができるんです。だから、高速移動とは似て非なるものですね。」
「つまり、仮面ライダーカブトのクロックアップとファイズのアクセルフォームの違いという感じか。」
「すみません、例えがよく分からないです。とにかく僕は先生と同じくらいのスピードで動くことができるんです。それじゃ、行きますよ!」
しばらくは白鳥と先生の高速対決が続いた。
結構良い勝負に見えるが、先生は鉢巻を取られないようにうまく防御している。
しかも、気のせいかさっきよりも早くなっているように見える。
疲れたのか、白鳥はアビリティを解除した。ハァアハァと息を切らしている。
「うーん。中々、鉢巻奪えないなぁ。」
すると、氷花さんが白鳥に話しかけた。
「白鳥くん、今度は私が相手をする。休んでて。」
「ええー! 協力して戦おうよ。その方が絶対勝てるよ。」
「あなたと私の能力は相性が悪い。先生の攻撃があなたに当たる可能性があるの。」
「いや、大丈夫だよ。気にしないで攻撃してよ!」
「いや、さすがにそんなわけには。」
二人のやりとりをみて、先生がイライラした様子になった。
「早くかかってきなさい!」
俺は二人の戦いを見て、参戦したい気持ちに駆られた。
よし、俺も戦おう。
「すまない、二人ともちょっといいか。」
二人に会話に割り込んだ。
「えーと、確か石橋君だっけ?」
「ああ。」
すると、氷花さんは気だるそうな声でこう言った。
「何?」
どうやら俺にはあまり興味がないらしい。当然か、アビリティを持っていないのだから。
「作戦があるんだ。聞いてくれるか?」
「作戦?」
白鳥は興味を持ってくれたようだった。
「ああ。」
俺は二人に自分の作戦を説明した。
ちなみに先生はと言うと、戦おうとしない、他の生徒に痺れを切らし、先生自ら襲いかかっていった。
他の生徒はなすすべもなく倒された。
「なるほど。石橋くんの話が本当ならやってみる価値はあるか。氷花さん協力してくれる?」
「ええ。構わないわ。」
「それじゃ、作戦実行しよう。」
先生が微笑みかけた。
「ようやく、作戦が決まったようだな。それにしても、石橋君。私は今までアビリティが使えない生徒にあったことは何度かあるのだが、数値は決まって0なのに君の数値はなぜか測定できない。何か隠してるのかな?」
「別に隠してませんよ。」
そう、隠してはいない。話していないだけだ。俺は確かにアビリティを使うことはできない。
「それじゃ、行こうか!」
白鳥君は作成開始の合図を送った。
「アイススピアー!」
氷花さんは空中からツララを発生させた。
しかし、狙ったのは先生ではなく、自分たちと先生のいる半径十メートル程度に円を描くように連続してツララを落としていった。
「なるほど......これで移動範囲を狭めようってわけか。考えたな。」
あのツララが頭に当たればただ事ではない。
「それじゃ、行きますよ!」
限定された範囲の中で、先生と白鳥は戦った。
俺は二人の動きを目で追った。
俺にも役割がある。何とかして役目を果たせなければ。
そして、うまく白鳥が先生を俺の目の前まで誘導した。
よし、チャンスだ。
俺は先生にしがみついた。女性にしがみつくにはさすがに抵抗があったが、まぁ許してくれるだろう。
「くっ! なるほど、先生にしがみついてスピードを抑えようってことか。だが、君くらいの重さは肉体強化がアビリティの私にとって、どうってことない!」
先生は俺を背負いながら高速移動しようと試みた。
残念ながら、そういう作戦ではない。
「な、なぜアビリティが出せない?」
「隙あり!」
目にも止まらぬ速さで白鳥が鉢巻を奪い去った。
「やった! 俺たちの勝ちだ!」
白鳥がハイテンションで喜んでいる。
「ああ、疲れた。」
氷花さんはそういいながらも微笑んでいる。
「二人とも、俺の作戦に乗ってくれてありがとう。」
「先生の負けだ。それにしても、アビリティが出せないのは君の力か?」
「ええ。病院の先生に君に体は超能力を受け付けない体で、自分に触れている人間すらアビリティを使うことができなくする力があるって言われたんです。」
「なるほど、それはある意味アビリティより恐ろしい力だな。」
「いいえ、役に立ちませんよ。こんな力。」
そう、全く役に立たない。この力のせいで俺は父親から軽蔑されたようなもんだ。
「いや、役に立つときは必ずくる。それじゃ、教室に戻るぞ。みんなを起こしておいてくれ。」
この人、倒れてる生徒を俺たちに丸投げしやがった。
「先生一ついいですか。」
「何だ?」
「先生のアビリティ力いくつなんですか?」
「私のアビリティ力は53万です。」
「ええー! 本当ですか?」
氷花さんが驚いた。いくらなんでも嘘に決まってるだろ。
「冗談だ。いつか教えてやる。」
先生は教室に戻った。
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