イセカマジックストーリー《異世界×オカマ×魔法》
34裏を
行く当てもなく、ただひたすらに走ってペリギアから出た私たちは、その疲れを癒すために木陰に入って休憩していた。
「、、、ペリギアからはかなり離れたと思うから、、、少しは安心できそうね。」
木にもたれ掛かってそう言ったネロは肩で息をしていた。
この世界に来てから研究しかしていなかったのがここにきて仇になるとは思っても見なかっただろう。
「ネロ、大丈夫?死にそうだよ?」
「ええ、大丈夫よ。…ンハァ、ハァ、フゥー」
全く大丈夫には見えない。
だが、それほど長く休む時間はない。
それは彼女がいちばん分かってるはずだけど。
「姉ちゃん、次はどこ行くの?」
私の代わりに聞いたウィルは汗一つかいておらず、まだまだ元気そうだ。
流石、若さって正義。
質問に答えるため、ネロは地図を広げて私を見る。
「現在地、よろしく」
「あー、はいはい」
広げられていたのは前に見た超広範囲の地図ではなく、私がジオから渡されたそれだった。
「現在地」と呟けば、赤い点がポンと現れてそれを知らせてくれる。
まだ3回目なので、やはりこの仕組みに慣れておらず感嘆してしまう。
前の世界の文明なんかよりもこちらの方が発達しているのではないか。そんな疑問さえ浮かんでくる。
「一応近くにダンジョンがあるわね。逃亡者がダンジョンに入ってるとは軍も思わないでしょうし、行ってみるのもアリかも。」
点をからダンジョンに指をスライドさせてネロが呟く。
たしかに、逃げてる奴らがわざわざ停滞を選ぶとは思っていないだろう。
「ダンジョン!?やっと僕の新しい剣が輝くときが来たね!」
どうやらウィルはノリノリらしい。
剣というよりは日本刀のようなそれを鞘から抜き、両手で中段に構えて木に向かった。 
「じゃあ決まりね。エナスもそれで来るでしょ?」
「もちろん。」
エナスは静かに、だが笑顔で答えた。
こうして見ると、エナスが素直にネロの言うことに反応するのは新鮮だ。
二人の間に何があったのかは気になるところだが、追々聞いていくとしよう。
ネロが私の方をチラッと見たので黙って首肯を返すと、ネロは立ち上がって腰を鳴らし、
「さて、行きましょうか。」
地図をしまい、ダンジョンの方へ歩き出した。
ダンジョンに到着して分かったが、どうやら今回は洞窟ではなく遺跡のようだ。
かなり古いものなのか、柱にはヒビが目立ち、今にも崩壊しそう。
入り口と思われる穴は全く光が入っていないようで、「闇」と形容するのが相応しいほどの黒が巣食っている。
その闇を見ていると、何となく胸騒ぎがした。
ここには入ってはいけない、と言われているような気がした。
だが私の想いとは裏腹に、闇はより黒を増して、吸い込まれるような感覚に陥る。
そこから救ってくれたのは、唐突にかけられたネロの声だった。
「サラ、何ぼーっとしてるのよ。行くわよ?」
「あ、ごめん。何でもない。」
怪訝そうな顔をしたネロに手を引かれるようにして、私はその遺跡に入った。
根拠もなく過った「嫌な予感」はそっと心にしまったまま。
私はこの時、この選択が正しいのか否か分からなかったが、何とかなると思っていた。
きっと取り返しのつかないことを引き起こしたこの傲慢が、私の人生の最大の失敗だったのだろう。
「、、、ペリギアからはかなり離れたと思うから、、、少しは安心できそうね。」
木にもたれ掛かってそう言ったネロは肩で息をしていた。
この世界に来てから研究しかしていなかったのがここにきて仇になるとは思っても見なかっただろう。
「ネロ、大丈夫?死にそうだよ?」
「ええ、大丈夫よ。…ンハァ、ハァ、フゥー」
全く大丈夫には見えない。
だが、それほど長く休む時間はない。
それは彼女がいちばん分かってるはずだけど。
「姉ちゃん、次はどこ行くの?」
私の代わりに聞いたウィルは汗一つかいておらず、まだまだ元気そうだ。
流石、若さって正義。
質問に答えるため、ネロは地図を広げて私を見る。
「現在地、よろしく」
「あー、はいはい」
広げられていたのは前に見た超広範囲の地図ではなく、私がジオから渡されたそれだった。
「現在地」と呟けば、赤い点がポンと現れてそれを知らせてくれる。
まだ3回目なので、やはりこの仕組みに慣れておらず感嘆してしまう。
前の世界の文明なんかよりもこちらの方が発達しているのではないか。そんな疑問さえ浮かんでくる。
「一応近くにダンジョンがあるわね。逃亡者がダンジョンに入ってるとは軍も思わないでしょうし、行ってみるのもアリかも。」
点をからダンジョンに指をスライドさせてネロが呟く。
たしかに、逃げてる奴らがわざわざ停滞を選ぶとは思っていないだろう。
「ダンジョン!?やっと僕の新しい剣が輝くときが来たね!」
どうやらウィルはノリノリらしい。
剣というよりは日本刀のようなそれを鞘から抜き、両手で中段に構えて木に向かった。 
「じゃあ決まりね。エナスもそれで来るでしょ?」
「もちろん。」
エナスは静かに、だが笑顔で答えた。
こうして見ると、エナスが素直にネロの言うことに反応するのは新鮮だ。
二人の間に何があったのかは気になるところだが、追々聞いていくとしよう。
ネロが私の方をチラッと見たので黙って首肯を返すと、ネロは立ち上がって腰を鳴らし、
「さて、行きましょうか。」
地図をしまい、ダンジョンの方へ歩き出した。
ダンジョンに到着して分かったが、どうやら今回は洞窟ではなく遺跡のようだ。
かなり古いものなのか、柱にはヒビが目立ち、今にも崩壊しそう。
入り口と思われる穴は全く光が入っていないようで、「闇」と形容するのが相応しいほどの黒が巣食っている。
その闇を見ていると、何となく胸騒ぎがした。
ここには入ってはいけない、と言われているような気がした。
だが私の想いとは裏腹に、闇はより黒を増して、吸い込まれるような感覚に陥る。
そこから救ってくれたのは、唐突にかけられたネロの声だった。
「サラ、何ぼーっとしてるのよ。行くわよ?」
「あ、ごめん。何でもない。」
怪訝そうな顔をしたネロに手を引かれるようにして、私はその遺跡に入った。
根拠もなく過った「嫌な予感」はそっと心にしまったまま。
私はこの時、この選択が正しいのか否か分からなかったが、何とかなると思っていた。
きっと取り返しのつかないことを引き起こしたこの傲慢が、私の人生の最大の失敗だったのだろう。
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