イセカマジックストーリー《異世界×オカマ×魔法》

毛玉毛糸

30秘密

 ペリギアのギルドが所有している宿に泊まることになったサラたち一行は、一部屋しか借りられなかったことに散々愚痴を溢した後、1日の疲れで眠りに落ちていた。

部屋の大きさは、狭くはないが四人で借りるならならもう少し欲しいといった具合である。

置いてあるのは、隙間を殆ど作ることなく並んでいる2つのシングルベッドと、ベッドに近すぎて引けないほどの距離に置いてある椅子と、そのセットの机のみ。
一切の娯楽道具は無く寝具も不揃いだが、一泊二食つきで銅貨二枚と格安だったため、彼らはこの部屋に決めたという感じだ。

窓際に置いてある方のベッドは既に布団がぐじゃぐじゃになっており、寝相の悪い人物が寝ていることが予想される。
寝返りを打って見えた顔はネロのものだった。
実は寝相が悪いキャラに認定だ。
しかし、四人で泊まっているためネロと同じベッドにもう一人居るはずだが、その姿は見えない。
ネロが大の字になってしまったのは、邪魔が無かったからだろう。

窓の外では柔らかな風が吹き、それに飛ばされた葉っぱたちが踊るように空に散っている。
その中の一枚がひらひらと、開いた窓から部屋へ入ってきた。
そしてそれは無防備に開いたネロの口へと落ちていく。
一枚の葉っぱは彼女の歯を綺麗にかわし、その奥で待つ舌と優しく衝突した。

葉っぱの独特な味を寝ぼけながらもキツく感じたのか、ネロは顔をしかめて咳き込んだ。
なおも舌に張り付く葉っぱに苛立ち、彼女は指を口に突っ込んでそれを出した後、暫く舌を口の外に出していた。

「きおちわうい(気持ち悪い)…。」

舌に残る独特な味に耐えかねた彼女は、ベッドから下りて洗面所へと向かった。

この宿の洗面所はトイレとお風呂が一緒になっていて、ビジネスホテルを思い出させるような造りだ。
しかし彼女のそんな過去の記憶は、頭が舌の気持ち悪さでいっぱいになっている状態では思い出されるものではなかった。

彼女が洗面所の扉を開けようとすると、中からシャワーの音が聞こえた。
誰が入っているのか不思議に思い一瞬ドアを開けるのを戸惑ったが、女性が二人と弟が一人というメンバー構成故に、彼女の侵入を止める感情など何処にも無かった。
早く舌を洗いたいという考えが、ドアノブを一気に引かせた。

だがその直後、彼女は舌の気持ち悪さなど忘れていた。
目の前の光景があまりに刺激的すぎたがためだ。
シャワーを浴びていたのは一人の女性だった。
ネロも知っているはずの女性だ。
しかし、ネロはその女性が誰なのかを理解できなかった。
何故なら、その女性の背中は固そうな鱗で覆われ、更に50cmほどの尻尾が生えていたからだ。

ドアが開く音に気付いて振り返った顔には、宝石のように輝く青と緑の目があった。

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