イセカマジックストーリー《異世界×オカマ×魔法》

毛玉毛糸

27詮索

は、話すって言っても何を話せばいいんだ?
友達いなかった身としては結構難しい課題なんですけど…。
いや、まあ自分が課したんだけどさ。

とりあえず全力の作り笑顔で問いかける。

「エナスちゃんはどうして一人で王都にいたの…?」

言った後になってこれはアウトなのではと思ったが、既に後の祭りだ。
ひたすらにエナスが機嫌を損ねないことを祈る。

さっきまで目を合わせてくれてたエナスは、少し俯いてしまった。

その様子を見て申し訳なさが込み上げてくるが、謝る前に意外な答えが返ってきた。

「冒険者登録のため。」

その普通の理由に一瞬戸惑ったが、変な間を開けまいとすぐに反応する。

「そ、そっか。実は私たちも冒険者登録をしたんだ。それで、1日はダンジョンに入れないからこの森を通ることにしたの。」

とりあえず自分達との共通点を示したが、それに対して返ってくる言葉はない。

避けたはずの変な間が顔をちらつかせた。

き、気まずい……。
でもこれ以上話すことなんて思い付かないよ。

「ところでエナスはいくつなの?僕と同じくらい?」

変な間に終止符を打ったウィルには感謝しかない。
そこから新たな話題も生まれるかもだし。
ウィル、グッジョブ。

「数えてないから分からない。」

そんな答えは想定外だ。反応の仕様が無い。
再び変な間がこんにちはーとでも言って来たように思える。

「で、でもまだ10代だよね。お父さんとお母さんはどこにいるの?」

必死に考えて、まずは家族について聞くのが無難だという結論に至った。

しかし、俯いた顔が上げられることはなく、サラとウィルの額には汗が滲み始める。

「お母さんは知らない。お父さんは二日前に……。」

そこまで言うと、エナスは口を止めた。
その横を一粒の水滴が下っていくのが、サラの目を惹いた。
そして察した。

やっちまった!これ完全に聞いたらダメなやつだった!

エナスがそれ以上の言葉を発することはなく、サラも黙ってエナスに抱きついた。

「辛かったね。」

エナスは声を出すことはないが、肩を上下させて泣いている。
暫くこのままでいようと思った。


空気を読むかのように太陽が沈み始めているのを見て、地図とにらめっこしていたネロが口を開いた。

「空気ぶち壊しで申し訳ないんだけど」

そこまで言ったネロの顔は苦笑いだった。

「迷ったわね、完全に。」

その冗談でも笑えないような真実に思考が停止したのは言うまでも無いことだ。

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