イセカマジックストーリー《異世界×オカマ×魔法》

毛玉毛糸

26交渉

な、なんでこんなところにあの子が?
まず、王都を抜け出せたんだ。よかった。

三人とも彼女の存在に気付いて、彼女の方へ足を向けた。
ネロが彼女に声をかける。

「あなた、さっきの子よね。王都では指名手配されてたみたいだけど。名前は?」

ビクッとして恐る恐る顔をこちらに向けるマントの彼女は動作とは裏腹に落ち着いた表情を見せている。

「エナス。」

エナスと名乗った少女は3人と目を合わせようとはしない。焦点がどこに合っているのかわからない。
そのオッドアイに今にも吸い込まれそうな感覚に陥る。

「なんで軍に追われてるの?」

質問を畳み掛けるネロ姉さん。
その質問の直後、全く合わなかったエナスの目が、ギラリとネロの目に向けられた。

「言いたくない。じゃあね、行かなきゃ。」

そう言ってエナスは踵を返して歩き出す。

「あー、待って!実は私たちも追われてるの。だから、良ければ一緒に行動しないかしら?」

ネロの提案に一瞬足を止めたエナス。
だが、少し振り返って

「やだ。誰も私のことなんて分かってくれない。」

そうしてまた歩き出した。
それを見て再びネロが説得する。

「ちょ、ちょっと!この森を抜けるまでは少なくとも一緒に行きましょう。あなたのことも心配だわ。」

今度は足を止めることはない。しかし、言った言葉ははっきりと聞こえた。

「好きにすればいい。」

それを聞いた三人は歩き出した。

四人になったが全く賑やかにはならず、むしろ気を使って静かになってしまった。

き、気まずい。どうしよう、何か話題話題ぃ

「え、エナスちゃんは何処に向かうの?」

勇気を振り絞って聞いてみた。大丈夫だろうか。

エナスはゆっくりとサラの顔へ自分の顔を向けた。
そして、さっきのようにギラリと光る目が合った。

アウトだったかーーーー!

「決まってない。とりあえず逃げてる。お姉さんは?」

あ、あれ?意外と大丈夫?てかネロの時より私の方がトゲが少ない?

「私たちもまだ……。ネロ、結局どうするの?」

森に入ってもなお地図とにらめっこをしているネロに尋ねたが、集中しているようで聞こえていない。

「とりあえず、この森を抜けてから決めた方がいいかも。それまで少しお話ししない?」

「うん。」

エナスは小さく頷いて、優しい目を向けてくれた。

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